
絞り優先(A/Av)モードで撮影をする
一眼レフカメラには、さまざまな撮影モードがありますが、使いこなすのはなかなか難しいもの。けれど全部を使いこなそうとする必要はない、と福田さんは言います。「ピントをコントロールしたいときは絞り優先オート、ぶれをコントロールしたいときは、シャッター優先オート(S /T v)、両方ともカメラにかませたいときはプログラムオート(P)、全て自分で調整したいときはマニュアル(M)を選びますが、この中で一番自分のイメージを活かしながら簡単に撮れるのが、絞り優先オートだと思います。プログラムオートでは勝手に絞られてしまい、ニュートラルな写真になってしまいがちで、あまり一眼レフらしさを楽しめません。絞りだけ自分で決め、その状況にあったシャッター速度をカメラが決めてくれる“絞り優先オート”で始めてみましょう」
オートフォーカスでピントを合わせる
ピントの合わせ方も、オートフォーカス(AF)でいい、と福田さん。「今のAF
は人間が手動でやるよりも正しく早くピントを捉えてくれます。まして料理写真であれば動くものではありませんので、オートで十分。半押しした時にピントを合わせるタイプのカメラが多いと思いますが、まずはピントを合わせたい箇所に向けて半押しでピントを合わせ、その後手前をぼかすのか、奥をぼかすのかなど落ち着いて研究してみるといいでしょう」
シチュエーション別、プロのカメラテクニック
1)コース料理を撮影するとき
1皿だけ撮影するときは比較的簡単かもしれませんが、コース料理や定食、パーティーメニューなど、複数の料理を同時に撮影したいときに構図やポイントの作り方で困ることがあると思います。そんなときの対策を福田さんが教えてくれました。「満遍なく取ろうとするとカタログのようになってしまいます。イメージっぽい雰囲気を出したいなら、1つメインの料理を決めてピントを合わせ、他をぼかして撮るのがいいでしょう。それができるのが一眼レフの魅力ですね。一方、4〜5皿あっても全てきちんと見せながらおしゃれに撮りたいなら、真俯瞰で、真上から撮るのがいいでしょう。ただし数皿を全て見せるにはかなり高いところから撮らなくてはいけませんので、一般の家では難しいでしょう。そういうときはスマホカメラで撮った方が、それほど高い位置からでなくても広角で捉えてくれるので便利です。もしくは思い切って床にクロスを敷いてその上に料理をセッティングしてみてください。より高い位置から撮影することができます」
2)一人で撮影するときも臨場感を演出できる、セルフタイマーを使ってみよう
一人で料理撮影をするときも、ただ料理を撮るだけではつまらない。セルフタイマーで写真の幅がぐっと広がると福田さんは言います。「例えば料理のプロセスで混ぜているところや筋を取っているところ、フライパンでひっくり返しているところなどを撮りたいときは、自分の手が必要になりますね。そんなとき、三脚でカメラを構えておいて、セルフタイマーを活用すると、プロセス撮影もできるようになります。完成した料理でも、パスタをフォークで持ち上げて撮りたいときや、パッと手で割って中を見せたいスウィーツなどもセルフタイマーなら可能。またパーティーメニューなどを紹介したいときは、奥にグラスを持っている手や料理を取り分けている手、テーブルの向こうで人がいる気配などを入れたいときもあるでしょう。そんなときもセルフタイマーが大活躍。ワイワイ感を演出することができます。三脚×セルフタイマーで、思いがけないシーンが撮れるようになりますよ」。
いかがでしょうか。セルフタイマー撮影が出来るようになれば、アシスタントさんがいなくても幅広い撮影が可能です。ぜひトライしてみてください。