人気のオリーブオイル料理教室へ
フレンチとイタリアンを学び、オリーブオイルソムリエとしても活躍する尾田衣子さん。西荻窪の教室「Assiette de Kinu(アシェット ド キヌ)」では、ホームパーティに招かれたようなアットホームな雰囲気の中、ル・コルドンブルー東京校とイタリアで学んだ料理技術を身につけることができます。この日お邪魔したのは、数あるコースの中でも人気が高いという「オリーブオイル料理教室」です。レッスンの内容は、生徒さんからのリクエストで決めることが多いという尾田さん。この日はオリーブオイルを最初に選び、それに合うメニューを考えたといいます。簡単で手軽なのに、見た目にも歓声があがるのが、尾田さんのレシピが生徒さんに支持される理由です。基礎をしっかり学んだからこその手抜きを提案できる、それが尾田さんの強みです。
尾田衣子さん。ル・コルドンブルー東京校、イタリア・フィレンツェへの留学を経て、「アシェット ド キヌ」を主宰しています。
オリーブオイルを五感で味わう
レッスンのために用意されたのは、対照的な2種類のオリーブオイルです。黒い瓶はスペインの「クパージュ エキストラバージンオイル」。3種類のオリーブの品種をミックスした、複雑でスパイシーな味わいです。白いボトルはギリシャ産「パパスグローブ エクストラ バージン オリーブオイル 」。コロネイキを使った単一品種のオイルで、マイルドで軽やかな味わいが特徴です。「この2つのオリーブオイルを使いたくて、今回のレシピを考えました」という4皿のレッスン、スタートです。
右はギリシャ産のパパスグローブ エクストラ バージン オリーブオイル ゴルード。左はスペイン・アンダルシア産のエクストラバージンオイル。複数のオリーブの品種を専門家がブレンドした「クパージュ」と呼ばれるオイルで、酸度0.1%の希少な一品です。
まず初めにテイスティングを学びます。そのまま口に含むのではなく、写真のようにオリーブオイルを注いだカップをくるみ、さするようにして温めます。「オリーブオイルの香りを存分に楽しむには26度くらいが適温と言われています」(尾田さん)。手の平をはずし、まずは香りを味わいます。次に舌の上に少量のせるようにして口に含み、ワインをテイスティングするようにして空気をスッスッと少しずつ吸いながら味わいます。飲み込むプロセスも大切。喉を通った後にアロマが立ち上って来たり、舌に重く余韻を感じたり、五感を使ってオリーブオイルの魅力を感じ取ります。「この香り、好き!」など一同歓声があがり、生徒さんたちは感想を熱心にメモしていました。
調理はサラダ作りからスタートします。使う食材はレンジで蒸したカリフラワーと、食べやすい大きさにそぎ切りにしたタコの2種類です。味付けは白ワインビネガー、ハーブミックス、塩胡椒だけという、オリーブオイルを味わうためのシンプルなレシピです。クセがなく素材の持ち味を生かすギリシャのオリーブオイルをたっぷりかけていただきます。
二品目はじゃがいもとにんにくを主役にしたパスタです。じゃがいものゴロゴロした食感と揃えたいので、パスタはショートパスタを選びます。皮をむいて芽を取ったにんにくと、一口大に切ったじゃがいもをパスタを茹で始めるのと同時に鍋に加えることで、ホクホクに仕上がります。フライパンではアンチョビを炒めておき、茹で上がったパスタ、じゃがいも、にんにくを加えて混ぜ合わせます。ここでたっぷり加えるのが、軽いタイプのギリシャのオリーブオイルです。ナンプラーとパクチーも加わり、フレッシュな香りをまといつつも深い味わいのあるパスタに仕上がりました。
メインは柔らかい脂が全身に広がった肩ロースを焼きます。まずは筋を切って肉が反ってしまうことを防ぎ、塩胡椒をしっかりめに振ります。フライパンにひくのは、パンチがあるスペイン産オリーブオイルです。豚肉をのせ、スライスしたにんにくをその上にのせます。にんにくが鍋肌に直接触れて焦げ付いてしまうことを防ぐためです。両面においしいそうな焼き色がついたら、白ワインを加えて蓋をします。
弱火で蒸し焼きにしたら、頃合いを見て火を止め、あとは余熱の力でふっくらと仕上げます。その間に、テーブルではセッティングが進みます。準備もひと通り整ったところで、食べやすい大きさに肉を切ります。ご覧の通り、表面は美味しそうに焼き色がつき、中はしっとりしています。ディルをたっぷりのせて盛りつけます。