
こちらはビリヤニ。炒めたラム肉にスパイス類でゆでたバスマティライスをのせ、サフラン水をうずまき状にかけたところです。「あえて混ぜないのがポイントです。炊き込みご飯とは違って、味が薄いところと濃いところがあるのも、美味しさの秘訣です」と、テキパキと工程を進めながらも、「なぜこれをするのか?」という理由も必ず説明してくれるので、理解が深まります。
「美奈風ポルサンボル(スリランカのココナッツふりかけ)」や「とろとろ茄子のアチャール」など、続々とおかずも完成! 澤田さんが盛り付けのお手本を見せたあと、生徒さんも各自で仕上げます。
お楽しみの試食タイムは、持ち込みドリンクとともに、生徒さんと澤田さんみんなでトークをしながらゆったりと。終始、笑顔が絶えないアットホームな雰囲気のレッスンでした。
奥深い風味をまとったパラパラの軽やかな米が特徴の「ラムとミントの本格ビリヤニ」に「スパイスおかず6種」を盛り合わせてワンプレートに。スパイスたっぷりでやさしい甘さの「アイスマサラティ」にぴったり! ビリヤニはおかずと一緒によく混ぜて食べると絶品で、自宅でも再現できるなんて感激の味わいです。お代わりしている生徒さんもいるほど、やみつきになる美味しさだったようです。
先生はどんな人?
華奢で小柄な可愛らしい印象の澤田美奈さんですが、レッスン中は常に笑顔で元気いっぱい。プライベートではバンド活動をやっているそうで、部屋には洋楽のレコードのコレクションもずらり! 慕う生徒さんが多いのも納得のパワースポットのような存在感が魅力的です。そんな澤田さんは、2003年から料理教室を開いて今年で18年目になり、今ではキャンセル待ちが出る人気教室に。
「もともと料理系のフリーペーパーを作る編集者だったんですが、いろいろな事情があってフードコーディネーターも任されることに。料理は好きでしたが、完全に素人レベルだったし、会社も無茶ぶりですよね(苦笑)。でもやってみると意外と面白くて楽しかったんです。ところが、会社が1年で倒産するという憂き目にあいました(笑)。でもありがたいことに、料理系のお仕事をいただけるようになり、フードコーディネーターの学校に通ったり、フードスタイリストのアシスタントに就いたりしながら、キャリアを重ねました。そのうち友人から料理を教えてほしいと言われることが増えて、教室をスタートさせることになったんです。長年、無欠席で通ってくださっている生徒さんも多くて嬉しいです」
人気の理由のひとつが、オリジナリティの高い魅力的な料理の数々。多彩なスパイスと麹などの発酵調味料を使った澤田さんのレシピは、うま味の掛け算で美味しさが格段にアップするそうです。
「もともとスパイスが好きで、レバノン人やインドネシア人などに学んでいたこともあります。本場のレシピのままだとハードルが高いので、きちんと自宅で再現できるようにアレンジしていますが、少しスパイスを加えるだけで、マンネリ気味の食卓の変化球になると思います。あとは、塩麹や醤油麹、玉ねぎ麹、甘酒など、麹系調味料もよく使います。体の調子も整うし、塩やコンソメなどの調味料代わりになるので、味も決まりやすくなり、減塩効果もあるんですよ」
長年料理教室をやってきてたどり着いたのが、“料理は気軽に楽しんでほしい”ということだそう。
「“おうちでできる簡単おもてなし料理”がコンセプトなので、普段よりちょっとおしゃれなお料理や、バリエーションを増やしたい人に喜んでいただけるよう、エスニックや和食、イタリアン、ビストロ料理など、ジャンルもさまざまな料理を考えています。でも難しいことは本当にしていないんですよ。私自身、“おっちょこちょい”なところがありますが(笑)、そんな講師を見て、“料理ってアバウトでも作れるんだ”という気づきになってもらえれば嬉しいです。教える立場ですが、教えることによって知らないことにも気づかされますし、生徒さんから学ぶことも多いです。“おしゃ”べりしながら、“デリ”を楽しく作る、そんな場所でありたいと思っています」