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ビジネスシーンでの正しいお詫びの仕方

スキルアップ
2018年10月9日
企業勤務経験が少ないフリーの料理家はしばしば、「ビジネスシーンでの立ち居振る舞いに自信がない」と考えることがあります。けれど、ビジネスの場といっても基本は人間関係の積み重ね。相手に真摯に向かう姿勢があれば、たいがいのことはなんとかなるものですが、ひとつだけ気を付けなければならないことがあります。それが、「お詫びの仕方」。何かあったときに即座にどういった行動がとれるかで、その後の仕事に大きく影響が出ることもあります。今回は、ビジネスシーンにおける正しい謝罪方法についてお伝えします。 >>「人間関係に悩まない方法」はこちら! >>「正しい仕事の断り方」はこちら!  

お詫びの失敗例① 誠意が感じられない  

お詫びをする目的はなんでしょうか? 「相手が怖いから」「怒らせると厄介だから」「とりあえず」、といった理由でお詫びをしているのであれば、よほど手練れの人でない限り、残念ながらせっかくお詫びをしていても、その気持ちはどこかで相手に伝わっています。気づかないうちに気持ちのこもらない常套句ばかり繰り返していたり、どこかで聞いたような中身のない言葉の羅列に過ぎないメールであったり、あるいはタイミングがまったくとんちんかんであったり……。自分で自分の気持ちを聞くような心をもって、誠意あるお詫びが出来る状態にまで自らを調えることも大切です。

お詫びの失敗例② 言い訳ばかりで責任逃れをしている 

真面目な人、優等生タイプの人にありがちなのは、お詫びをしながら同時に自分を正当化しようと努力してしまうこと。自分を弁護するのは大切なことですが、お詫びしながら弁護、というのは、傍から見ると言い訳にしか見えないことが多々あります。例えば、お詫びの際に「経緯を説明させていただきますと……」という言葉を使い、延々と状況説明が続く場合。先方が聞きたがっているならば話は別ですが、結果として相手に迷惑をかけてしまっている場合、お詫びする側の事情というものは伝えない方がよいこともあります。逆に、シンプルに真摯に「申し開きのしようもありません、すみません」とお詫びした後日に、詫びた側にものっぴきならない事情があったと相手に伝わったりすると、怒りも静まることも。どれだけ言い分があったとしても、まずは自分の非を認めお詫びが出来ることが、ビジネスパーソンとしての力量だと言えます。
また、お詫びしながら無意識に相手を責めてしまっている人も要注意です。「以前にも申し上げたとおり、………………」「〇〇様よりご指示をいただいたようにしておりましたところ…………」など、お詫びの文章は長くなればなるほど「真意はどこにあるのか」が、読む人に見えづらくなるということは、注意した方がよいでしょう。

ビジネスの場で失敗してしまったら。お詫び・謝罪の3原則

ビジネスシーンで大失敗! となったとき、どう振舞えばよいのかパニックになるかもしれません。遅刻やミス、勘違いによる失敗など、明らかにこちらに非があると認め、許しを請いたいと思うのであれば、とにかく臆することなく即座にお詫びすることです。失敗した後のお詫びの三原則は、一般的に言って下記のパターンがおすすめです。

  1. すぐに直接お詫びする
  2. 直接会えない場合は、電話かメールで連絡を入れる
  3. そのあとの対応策を誠意をもって提案する

何度もお伝えしますが、お詫びに成功法則はありません。しかし、ビジネスシーンでお詫びの心を伝えるための最低限の三原則というものがあり、それが上記の3つです。
まずはタイミング。失敗したらすぐ、が基本です。これは、少々自分にとって無理があっても、あるいは先方が相当忙しいと思われる場合でも「とにかくすぐに」が大原則。「先方も忙しそうだから、落ち着かれてから連絡する方が礼儀にかなっているかも」「自分がこのようなバタバタした状況で電話しては、かえって迷惑かも」などと思う必要はありません。「お詫びは即座に」が正解です。連絡をして「後にしてくれ」と冷たく言われてしまってもいいのです。「すぐに対応した」というその事実が、すでにお詫びの心を表しているといえます。
次に電話かメールです。電話は、相手の表情が見えないので不安ですが、メールだと相手が読んでくれたかどうかが分からず、それも不安材料に。詫びる側は相手の怒りや失望をきちんと肌で感じる方が、その時は痛手でもあとから楽になることもあります。また、メールや留守番電話の場合は、あとからでも読めたり聞いたり出来るので、急いでいても考えて形に残さないといけません。上述のとおり、言い訳や理由は端折ったほうが気持ちが相手に伝わります。
最後に「対応策の提案」。これは言い換えれば「このようにするので許してください」という代償の提供です。ビジネスのことなので、金銭面や時間、労力など、どこかで相手の損失に対して対価を支払う必要が生じているかもしれません。今後、自分の仕事のチャンスを失ってしまうことを考えれば、ここは冷静になって、相手に今後も自分と付き合いたいと思ってもらえるか、考えて提案できるとよいでしょう。

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写真/Unsplash