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成功する料理家になる PR資料作成術

スキルアップ
2019年01月11日

料理の楽しさやテーブルコーディネートの大切さを説くのは大の得意なのに、いざ「自分をPRしてください」と言われたら何を話していいのかわからなくなるという料理家、実はあなただけではありません。ディベートやプレゼンテーションの経験が少ないフリー稼業だと、意外に多いものです。ましてや、自分を売り込むための資料を作成だなんて、何から手を付けていいものやら……。今回はそんな「売り込みベタ」な人にすぐに役立つ、ビジネスのための資料作りについてお伝えします。
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使用する文書作成ソフトはパワーポイントなどが一般的。ワードでもエクセルでももちろんOKですが、最後に提出用に保存する際にはPDF形式を選ぶようにすればよいでしょう。

結論から書くこと、長くなりすぎないこと

自分を売り込むための資料に、長々とした最初のあいさつや〆の文章は必要ありません。手紙ではないので、いきなり本題に入ってもかまわないのです。
例えば、ある新製品開発のためのプロジェクトを進めるにあたって、ご意見番としての料理家を探しているクライアントが相手だと仮定して考えてみましょう。最初の1枚目は扉なので、ごくシンプルに。バランスの良い場所に大きめに「@@@@@@@社御中 @@@@@@プロジェクトの件」などと記し、あとは自分の名前をどこかに入れる程度で問題ありません。2ページ目は、いきなり結論をシンプルに書いても大丈夫です。例えば「日常的に接している30代の女性が夕食の準備で悩んでいる点は次の3点だと考えています。1.栄養的なバランスをとるのが難しい。2.短時間で美しいビジュアルに盛り付けするのが難しい。3.作るのに時間がかかると着手しにくい。管理栄養士であり30代の女性たちが多く通う料理教室を主宰する私には、彼らの悩みと解決策を同時に御社にお伝えすることが可能です」など。もちろん、適宜改行を入れ、バランスよく仕上げることはお忘れなきように。
その上で、3~4ページ目には過去に携わった仕事例で、2ページ目に掲載した「結論」を裏付けるようなものを中心に挙げます。ここには、過去事例の画像などを入れると効果的かもしれません。最終ページにはいわゆる「履歴書」的な要素を箇条書きにして入れます。昨今、住所や家族に関する個人情報などは省略してもOKとみなされることが多いのですが、料理家としての歴史を物語るようなこと、例えば出身地や卒業校、資格などは記述しておいた方がセールスポイントだとみなされます。

料理家が活躍できるフィールドはどんどん広がっている

さて、ビジネスライクな資料作りについての話を続けてきましたが、不得意な分野だとこれだけでグッタリしてしまう人もいるかもしれません。しかし、ここでひとつ、料理家がメディアや企業など、他ジャンルのクライアントに対してアプローチする際に意外に見落としている自分たちの優れている点について考えてみましょう。
昨今、料理に対する社会の目は大きく変わってきています。女性が結婚相手を見つけるための手段として料理教室に通っていた時代ははるか昔。現代では、男性も女性もより良い人生を生きるために、生活の質を向上させるために料理に着目するようになりました。当然、メディアや企業にしてみても、そういった“ウェルビーイング”の精神をさまざまな商品やサービスに落とし込む必要が生まれてきています。そのために、以前であれば料理のレシピを伝えるということのみが料理家の仕事であったのに、現在では料理家の仕事内容は大きく変わりました。ライフスタイル向上のための料理とは何か、一人暮らしでも孤食に陥らずに楽しんでフードと向き合うにはどうすればよいか、おしゃれで毎日が楽しくなる食卓やテーブルウエアのデザインはどうあるべきか、など、食を取り巻く環境までが商売として大きく取り沙汰されるようになっています。
料理家の手腕や知識・見識が以前とは比べ物にならないほど広く求められるようになったのには、このような理由があります。

料理が好きすぎて周りが見えなくなると仕事にはつながらない

料理家に対する社会からの期待値は上昇の一途をたどっています。そんな時代のムーヴメントを感じ取れる人こそ、ビジネスで成功できる料理家になれる素質を持つ人です。

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写真/Unsplash