より高みを目指すグルマンたちが集う本格イタリア料理教室
イタリア料理の研究家として、料理教室「クッチーナ デル チェーロ」を主宰する吉沼弓美子さん。管理栄養士やソムリエの資格も持ち、そのレッスンはかなり本格的です。
参加する生徒たちは、レッスン中大忙し。雰囲気は和やかですが、とにかく「学びたい」という志の高い受講者が多く、メモを取る、料理のプロセスをデジカメやスマートフォンで撮影する、自身でも実践し、先生に質問する、さらには味わうという5つの作業の繰り返しで、約3時間のレッスンはあっという間に終わります。料理初心者でも充分に楽しめる内容ではありますが、学んでいる生徒たちの意識が高く、いわゆる“食べ手”としても経験を積んだ向上心のあるグルマンであることが、会話からもうかがい知れます。
そんな生徒たちに向かう吉沼先生自身も、かつて自身が抱いた葛藤や希望を忘れず、教える内容に盛り込んでいるそうです。例えばレッスンで学ぶメニュー点数。
「うちの通常レッスンでは、前菜、パスタ、メイン、デザートの中から3品を作っていただきます。季節によってはデザートが重要な時もありますし、前菜に味わうべき食材が出回る時もありますし、ケースバイケースです。ですが、3品をみっちりやることで、今後自宅で再現する際の完成度が上がることは確か。欲張らず、確実に自分がマスターするのを実感できるので、生徒さんにも支持していただけているように思います」と話す吉沼さん。実際、一度通い始めた生徒の定着率は高く、中には「すべてのレッスンを受けてきました」と誇らしげに語る人もいます。
吉沼さんがもうひとつ、気を配っているのが、「新しい食材との出合い」。この日のレッスンでも、イタリアのフレッシュチーズ「ブッラータ」が登場した途端に、教室内の空気は一変。「よく店で売っているのを見かけるけれど、どうやって調理するのか知らなかった」「イタリアを旅した時に食べたけれど、自宅キッチンでも使えるんですね」と、生徒たちは興奮を隠せない様子です。