本格タイ料理 海老と春雨の蒸し焼き

料理のプロフェッショナルにレシピの極意を教わる連載。料理教室を主宰する「料理の先生」による、リクエスト率ナンバーワンの人気レシピを紹介します。おいしさはもちろん、生徒たちに愛される理由が満載のメニューに隠れた秘密を探ります。

>>おしゃれでおいしいレシピはまだまだこちらでも!

寒い時期から春にかけて喜ばれるタイ料理

タイで地元の人たちと生活を共にしながら、現地の料理学校、レストランなどで本格的にタイ料理を学んだという、料理家の鈴木佳代子さん。タイの地方を巡って郷土料理も学び、現地の食材や調味料はもちろん、文化や歴史にも精通しています。かつてのエスニックブームにより、日本でもタイ料理が手軽に食べられるようになりましたが、家庭で作るとなると話は別。「エスニックは外で食べるもの」と思っている方のために、鈴木さんの教室で人気のタイ料理を教えてもらいました。

そのメニューとは、海老と春雨の蒸し焼き「クン・オップ・ウンセン」。タイ語でクン=海老、オップ=蒸す、ウンセン=春雨のことで、土鍋などふた付きの鍋を使った、タイではおなじみの料理です。

「調味料にはオイスターソース、しょうゆ、ごま油を使いますが、タイでも地元のものではなく日本のしょうゆで作るお店があるんです。現地では、日本のしょうゆを“キッコーマン”と呼んでいて、風味がいいと好まれています」

生徒からは、「身近な食材で、タイ料理を味わえるのがうれしい」「辛くないから、子どもから大人まで家族みんなで楽しめる」「土鍋の活用レシピが広がった」と、その親しみやすさや家庭での出番の多さが、支持されているそうです。

ここで鈴木さんに、調理のコツを聞きました。

「この料理は、海老と豚肉のうま味がぎゅっと詰まった春雨が主役。弾力があって食感のいい緑豆春雨を使うのがおすすめです。春雨の食感がおいしさを左右するので、少し強めの中火で素早く加熱し、ふっくらと仕上げましょう。海老は、殻付きのものを使うと、蒸し焼きにしても身が縮みません。オイスターソースは、旨みと甘みが強いタイ産のものを使用していますが、中国産のものを使用するときは塩加減に注意してください。味を見ながら調整していくのがいいと思います」

タイ産のオイスターソースをはじめ、タイのしょうゆ「シーユーカオ」、万能調味料「シーズニングソース」、甘口しょうゆ「シーユーダム」は、輸入食材店で購入できます。一方で、シーユーカオやシーズニングソースをしょうゆで代用すると、日本人にはより親しみやすい味になるため、タイ料理に慣れていない人にはむしろ喜ばれることも多いとか。何度か作ってみて、お好みの調味料の組み合わせを発見するのもまた、楽しい作業になりそうです。

「クン・オップ・ウンセン」は、海老と春雨を蒸し焼きにしたタイの一品料理。マイルドな辛さで、ごはんのおかずやおつまみにもぴったりです。海老の代わりに渡り蟹を使ったり、セロリを万能ねぎに変えたりしても、おいしくいただけます。

2019年02月25日

レシピ作成
「鈴木佳代子タイ料理教室」鈴木佳代子さん
調理時間
25分 ※内準備時間0分

材料2人分

緑豆春雨(水で戻し、食べやすい大きさに切る)
80g
サラダ油
大さじ1/2
にんにく(包丁の腹で軽くつぶす)
1片
豚バラ肉(薄切り)
50g
パクチーの根(包丁の腹で軽くつぶす)
1本
しょうが(皮をむき、薄切り)
20g
黒粒こしょう(包丁の腹で粗くつぶす)
8粒
海老(頭の先とヒゲ、足を切り落とし、殻付きのまま背開きにし、背ワタを取り除く)
4尾
セロリ(茎は斜め薄切り、葉は食べやすい大きさに切る)
40g

A

鶏がらスープ
100ml
ごま油
大さじ1
オイスターソース
大さじ1
シーユーカオ(またはしょうゆ)
大さじ1・1/2
シーズニングソース(またはしょうゆ)
小さじ1
シーユーダム(あれば)
小さじ1
砂糖
大さじ1/2

手順

  1. 1

    ボウルにAと水気を切った緑豆春雨を入れ、よく混ぜ合わせる。

  2. 2

    鍋にサラダ油、にんにくを入れて中火で熱し、豚バラ肉、パクチーの根、しょうが、黒粒こしょうを入れて炒める。さらに海老、セロリの茎、1を入れ、ふたをして強めの中火で蒸し焼きにする。

  3. 3

    途中で一度ふたを外し、軽く混ぜる。海老に火が通り、水分がなくなって鍋底からパチパチと音がしてきたら火を止める。器に盛り、セロリの葉を散らす。

  4. 4

    *アレンジ*
    海老にはタイのシーフードソースをかけると、本場の味わいが楽しめる。
    【シーフードソースの材料と作り方】青唐辛子5本、にんにく2片、パクチーの根1本、ナムプラー大さじ2、レモン汁大さじ3、ココナッツシュガー大さじ1、塩小さじ1/4をフードプロセッサーに入れ、撹拌する。

撮影/神林環 スタイリング/小坂桂 取材・文/江原裕子

PROFILE
鈴木佳代子(スズキ カヨコ)さん
タイ料理研究家、フードコーディネーター。2000年より各国料理を学び、フードコーディネーター専門校卒業後、2004年にタイに渡る。バンコクにて料理研究家のアシスタントを務めながら、タイ文部省認定「ワンディー・カリナリー・スクール」ほか現地の料理学校、レストラン等で料理を学び、帰国。現在は、タイ料理の知識や現地での生活経験を活かし、タイ料理関連のフードコーディネートを中心に、テレビ番組の制作、イベントの企画運営、レシピ開発、執筆、講師など、幅広く活動。
 

LESSON INFORMATION
教室名:鈴木佳代子タイ料理教室
タイにて、タイ人と生活しながら現地の料理学校、レストラン、各地方を巡って郷土料理を学んだ講師が行う、臨場感あふれるレッスン。タイの文化や料理の背景にあるエピソードを交えながら、料理初心者からプロを目指す人までじっくり丁寧に指導。日本の季節の行事や食材も取り入れた、テーブルコーディネートや盛り付けなども学ぶことができる。
エリア: 東京都港区・目黒区、福島県福島市
URL: http://r.goope.jp/kayoko-suzuki/