
料理のプロフェッショナルにレシピの極意を教わる連載。料理教室を主宰する「料理の先生」による、リクエスト率ナンバーワンの人気レシピを紹介します。おいしさはもちろん、生徒たちに愛される理由が満載のメニューに隠れた秘密を探ります。
行楽の日にうれしい、屋外ランチ
5月に入って気温はぐんぐん上がり、毎日がおだやかで過ごしやすく、行楽にはもってこいのシーズン。これからは梅雨をはさみ、夏は海や山でアクティブに、また秋には紅葉と、外遊びが楽しい時期が続きます。今月は、そんなワクワクするお出かけに華を添えるおいしいレシピを、料理家の池田愛実さんに教えてもらいました。
池田さんは、神奈川・湘南エリアで本格的なフランスのパンを学べるパン教室「クラム」を主宰。フランス流のパン作りを学び、現地フランスでも修業を積んだ池田さんによるレッスンは、小麦本来の味を楽しめる味わいも見た目も本格的なパン作りを、親しみやすい和やかな雰囲気の中で学べると好評です。そんな池田さんが、お出かけにふさわしいパンとしてレシピを公開してくれたのが、初夏から夏にかけて旬を迎えるブルーベリーをたっぷり使った「生ブルーベリーブレッド」。
「ブルーベリーをフレッシュなまま生地に練り込んだパン。原価は度外視、家庭パンだからこその贅沢なレシピです。見た目にも華やかで、行楽のお供にはもちろん手土産にもぴったり。ブルーベリーの粒とミルククリームチーズを包んで焼き、子どもから大人まで誰もが好きな味に仕上げています」
レッスンでは、紫色のあじさいを添えてテーブルコーディネートし、あじさいの色にもリンクするその愛らしい姿で生徒の心をわしづかみに。また、「生のブルーベリーを練り込んでいるから、生地の風味が濃厚でとってもフルーティー」「中に包んだブルーベリーがジャムのようにトロッとして、ミルククリームとの相性も抜群」と、その味わいも大絶賛でした。
ちなみに、生のブルーベリーが入手できない時期は、冷凍のブルーベリーを解凍して使用すればOK。だから、夏に限らず年間を通じて楽しむことができます。
「生地の色は、使うブルーベリーの色によって変わります。グレーがかったものを使うと生地もグレーになってしまうので、きれいな青紫色を出したいなら国産ブルーベリーを選びましょう。また、生地はやや柔らかめですが、しっかり捏ねることでソフトな焼き上がりになります。ご家庭にホームベーカリーがあれば、捏ねは機械にお任せしてもよいでしょう」
教室では、ブルーベリーから起こした自家製酵母でレッスンしたそうですが、今回はパン作りに慣れていない人でも手軽に焼けるようにと、イーストに置き換えたレシピを紹介してくれました。ちなみに、天然酵母とイーストは、どちらも生地をふくらませるときに必要不可欠なパン酵母。天然酵母は、フルーツや穀物などに付着する酵母菌を自然に発酵させたもので、発酵に時間と手間がかかる分、より風味豊かなパンになるとされています。一方のイーストは、パン作りに適したパン酵母菌だけを集めて人工的に培養したもの。発酵力が安定しているので、使い勝手がいいのが特長です。
こうした酵母を含む発酵のほか、小麦粉や油脂の使い分けなど、とにかく奥が深いパン作り。学べば学ぶほどもっと知りたくなり、その魅力にはまるパン作りに、ぜひチャレンジしてみてください。