人気店のシェフに2つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピと、プロの技のレシピをご紹介していきます。今回は、神楽坂にあるスペイン料理店『エスタシオン』の野堀貴則シェフ。旬のレシピ「真蛸のエンセボジャード」を教えていただきました。
スペインの郷土料理を得意とする野堀シェフが教えてくれたのは、南バレンシアの料理「エンセボジャード」。スペイン語でタマネギを意味するセボージャを炒めて煮込む料理のことで、今回は旬のタコを主役にした一皿に仕上げました。
「エンセボジャードに使う食材はタコに限らず、イカや魚、骨付きの鶏モモ肉などもよく合います。スペインの煮込み料理は、鍋ひとつあれば作れるシンプルなものが多く、エンセボジャードも炒めてから煮るまでひとつの鍋でOK。圧力鍋を使うと煮込む時間を短縮できます」
野堀シェフいわく、エンセボジャードはタマネギの炒め具合がすべて。この工程で味が決まるため、炒め方さえマスターすれば、メインの食材は魚介でも肉でも煮込むだけでおいしくなります。
「タマネギの炒め方は、“弱火でじっくり”ではなく、“強火でしっかり”がポイント。少し焦がすようなイメージで焼き炒めると、タマネギのやさしい甘味と香ばしさが広がる、しみじみとした味わいになります。付け合わせのジャガイモは、メークイーンより男爵がおすすめ。煮崩れないようにタコと時間差で鍋に入れて、20分ぐらい煮込むとベスト。エンセボジャードは、濃いめのロゼワインと一緒に楽しんでください」
野菜はしっかり炒めても食感が残るよう、粗みじん切りにする。
深さのある鍋に野菜を入れ、強火で炒める。混ぜ続けると水分が出てしまうので、焦げない程度に木べらで軽く混ぜる。
少し焦がすようなイメージで焼き炒める。鍋から目を離さず、音や香りの変化にも注意を払いながら、焦げるギリギリまでしっかり炒める。
タマネギがあめ色になったら、ホールトマト、パプリカパウダー、ローリエ、ブイヨンを入れる。
最後にタコを入れ、蓋をして中火でコトコト煮込む。タコは切らずに丸ごと煮込むことで、旨味を閉じ込める。
約1時間~1時間半の煮込み時間から逆算して、残り20分程度になったら鍋にじゃがいもを入れ、一緒に煮込む。
タコは本体から足を外すように大きめにカット。じゃがいもと一緒に盛り付けて、上からソースをかける。