人気店のシェフに3つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピ、思い出のレシピ、お店で人気のまかないレシピの3品を教わります。12月はスペイン・バスク料理「LANBRoA(ランブロア)」の磯部美木子シェフ。3番目のテーマ「思い出の料理」は「ピキージョピーマンのバカラオ詰め サルサビスカイーナ」。お店の看板メニューでもあり、お客のほとんどがオーダーする人気メニューでもあります。
「ランブロア」オーナーシェフ・磯部美木子さん。
野菜のうま味が詰まったソースとクリーミーなバカラオの組み合わせが絶品
スペイン・バスク料理を代表するソースのひとつが、サルサビスカイーナ。ビルバオのあるビスカヤ県特有のソースです。飴色を遥かに超え、カラメルソースのようなこげ茶になった炒め玉ねぎと完熟トマト、チョリセロペーストを煮込み、さらに魚介の出汁でのばします。「野菜のうま味を徹底的に引き出したソースです。これを知ったとき、スペインバスク料理の根幹がこのソースにあるように感じました。野菜のうま味をとことん引き出すためには、手間を惜しまず時間をかけるのがバスクの料理。さらに余計なものを一切加えないので、優しい味わいながらうま味が深く、飽きない。だから何度でも食べたくなります」。バカラオと呼ばれる干しダラも、この地方では欠かせない食材。捌いて塩漬けにした大西洋マダラをがちがちになるまで干したもので、使うときは水に戻します。「バカラオ特有の風味やうま味が、料理に奥行きを作ります。戻し加減が難しいのですが、バスク料理を作る上でバカラオは欠かせません」。毎回お客のほぼ全員が必ずと言っていいほどオーダーするという人気の定番メニューです。
はじめにサルサビスカイーナを作る。玉ねぎは薄切りして鍋に入れ、オリーブオイルを加えてカラメルの色になるまでじっくり2時間以上中弱火で炒める。焦げ付かせないように絶えずかき混ぜるのがポイント。店では通常1日に12人分を仕込んでいる。
トマトは湯向きしてボウルに入れ、手で潰す。
炒めた玉ねぎにトマトを加え、中火でかき混ぜながらさらに30分ほど煮る。さらにチョリセロペーストを加え混ぜ、鯛のだし汁を加える。