人気店のシェフに3つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピ、思い出のレシピ、お店で人気のまかないレシピの3品を教わります。12月はスペイン・バスク料理「LANBRoA(ランブロア)」の磯部美木子シェフ。最初のテーマ「旬の食材を使ったレシピ」は「ビンチョウマグロとじゃが芋のバスク風」。トマトやピーマンなど野菜ソースベースの軽い煮込みは、旬のマグロを気軽にいただける親しみやすさも魅力です。
「LANBRoA(ランブロア)」オーナーシェフ・磯部美木子さん。
素材の味が最大限に生かされる、スペイン・バスクの漁師料理
磯部さんが通った、スペイン・バスク地方を代表する料理学校、ルイス・イリサール。伝統的な郷土料理を文化的背景とともに教えてくれると評判で、世界中から生徒が集まってくる学校です。磯部さんもここで過ごした時間は思い出深く、今も当時の友人達との交流がずっと続いているそう。スペイン国内はもちろん、アメリカやブラジルなど、各国で開いた友人の店を訪ねるのもこれからの楽しみ。その学校でも教わったこの料理は、北の海沿いの町サンセバスチャンならではの郷土料理。そもそもは、漁師たちが船の上で作っていた料理です。「トマトやピーマン、玉ねぎなどのごく身近な野菜をベースに、じゃが芋とマグロやかつおのぶつ切りを加えて軽く煮込みます。スペイン・バスクでは欠かせないチョリセロペーストを加えて独特の風味を出すのがポイント。身体も温まる煮込み料理は、船上の漁師の身体も温めたのでしょう。チョリセロペーストとは、スペイン産赤パプリカの一種。一度干してから水に戻した果肉をペースト状にすることで、風味が生まれます。辛くもなく、また塩を入れてもいないので味はマイルド。そして、スペイン・バスク料理には欠かせません」。輸入食材専門店で購入できますが、難しい場合はパプリカパウダーを代用すれば近い風味が出るそう。では早速、作り方を教わっていきましょう。
ソースのメイン素材であるトマトは、横半分に切ってから皮ごとすりおろします。「面積の広いおろし金があれば、大きなトマトでも早くすりおろせます」
小鍋にみじん切りのにんにくとオリーブオイルを入れ、弱火で加熱し、香りが立ったらみじん切りの玉ねぎとピーマンを加え、しんなりするまで中火で炒める。さらにチョリセロペーストを加え、トマトを加えて軽く煮ます。
鯛のだし汁を加え、中火で軽く煮たらソースは完成!