
人気店のシェフに2つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピと、プロの技のレシピをご紹介していきます。今回は、神楽坂にあるスペイン料理店『エスタシオン』の野堀貴則シェフ。プロの技のレシピ「エンパナーダ」を教えていただきました。
ガリシア地方の郷土料理で、子供からお年寄りまで広く愛されている「エンパナーダ」。野堀シェフもスペインで一番好きな料理に挙げるほど思い入れがあり、お店でもコースの最初に必ずお出しするスペシャリテです。
「エンパナーダはガリシア風の焼きパイで、日本でいう“おにぎり”のようなもの。具もツナやホタテ、タコ、肉、ミートソースなどさまざまで、生地もクリスピータイプから厚みがあるものまで実に多種多様です。中身を変えて楽しめるので、朝食やランチ、ワインのつまみにもなり、とても身近な存在です」
今回教えていただいたエンパナーダは、ファルサという野菜の具にツナを乗せ、クリスピー生地を合わせたお店の定番メニューです。
「私が考える理想のエンパナーダは、どこから食べても味と食感が均一なこと。そのためには、手や指を使って生地と具を均等に広げることが重要になってきます。具を一層ずつ手で乗せていくのは根気のいる作業ですが、生地と具の一体感も増して、食べた時のおいしさもひとしお。焼き立てはもちろん、冷めてもおいしいので、一日置くとまた違う味わいや食感が楽しめます。具を変える場合も、生地にファルサを乗せるところまでは同じなので、アレンジも簡単。生地の厚さも好みなので、色々と試して自分好みのエンパナーダを見つけてください」
タマネギ、パプリカ、にんにくを中火でゆっくり炒める。
具材がしんなりしてきたら、塩、白ワイン、パプリカパウダー、ホールトマトを入れて煮込む。煮詰めて水分を飛ばしたら、火から下ろして冷ます。
生地の材料をすべてボウルに入れ、粉っぽさがなくなるまで手でよくこねる。
生地を丸く整えて、ラップをかけて冷蔵庫で1時間休ませる。
生地を2等分して、1枚ずつ伸ばす。最初は麺棒で軽く押し広げる。
ある程度伸ばしたら、両手の指を使って薄く均等に伸ばしていく。