
人気店のシェフに3つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピ、思い出のレシピ、お店で人気のまかないレシピの3品を教わります。12月はスペイン・バスク料理「LANBRoA(ランブロア)」の磯部美木子シェフ。2つ目のテーマ「人気のまかない料理」は「鶏のオーブン焼きマラガ風」。磯部さんがはじめてスペインを訪れたときに、ホームステイした家で習ったものだそう。たくさん作るほどおいしくなる、賑やかなスペインの食卓がイメージできるオーブン料理です。
「ランブロア」オーナーシェフ・磯部美木子さん。
ブランデーは豪快に!鶏のオーブン焼きはバルの定番まかない
磯部さんがはじめてスペインで暮らしたのは、南部の都市マラガ。まだ料理の道に進むことを決める前で、当時は現地の語学学校に通っていたそう。ところが、そのときのホームステイ先が偶然にもバルを経営する家で、これが運命だったのかも知れません。いつの間にか磯部さんもバルの手伝いをするようになり、みんなで賄いを食べたりして環境に溶け込んでいきました。「バルがあったからこそ、言葉や文化を早く覚えられたような気がします。みんな親切でとても優しくしてくれて、スペインが好きになりました。はじめて暮らしたのがマラガだったので、私が覚えたスペイン語もマラガなまりがありましたが、それからバスクの料理学校に通うようになると、今度はバスクの影響も受けて。そのまま休みの日にマラガの家族に会いに行くと、ミキコの言葉がバスクなまりだ!と言われたりして。国土の広いスペインは、地域によって文化も言葉もはっきりとした個性があるのです。最初に出会ったマラガの家族は、今も連絡を取り合う大切なスペインの家族です」。そこで教わったのが、この鶏料理。「本来は10人前ぐらいのボリュームでたっぷり作ります。バル仕事の休憩時間に、家族や働くみんなでこの料理を囲みました。香味野菜をたっぷり刻んだら、カスエラ(耐熱陶器皿)に敷いて下味をつけた鶏肉を乗せ、たっぷりのブランデーを注いであとはオーブンに任せるだけ。忙しいときは、簡単でボリュームのあるこの料理が出番です」