
また、SNSの投稿では「仕事の用命があれば受けますよ」というニュアンスを漂わせておくことも大事です。季節の料理の写真に添える言葉が、その食材や料理への思い一辺倒であるよりは、「この食材を使う料理であれば和洋中スイーツといくらでもアレンジが可能。生産者の方と繋がれたら情報交換できてさらに楽しいことができそうです」などと書いておけば、見ず知らずの生産者や食材による町おこしを考えている地方の自治体などに注目してもらえるかもしれません。
そんなしたたかさが、これからのフリーの料理家には必要不可欠といえそうです。
乞われて仕事をする立場の方が楽
売り込み下手を自認する人に、売り込まずして自己アピールができるさまざまな方法についてお伝えしました。結局、自分を宣伝するのが苦手だと考えている人が、短期間で、言葉巧みに自らの価値を見ず知らずの相手に語って仕事を得るなんて難しいことなのです。慣れない営業電話をかけたり、メールで見知らぬ人に「こんな仕事があったら私にご用命ください」とお願いしたり、あるいはパーティーやイベントに参加して「私と仕事をすればいいことがありますよ」とワイングラスを片手に語るなんて、ものすごく難しそうだと思いませんか?
ありがたいことに、今ではそんなことはしなくても他にもいろんな手段が持てる時代になりました。SNSやネットの世界でプレゼンスを示すことが上手な人は、特に営業をしなくてもいろんな世界の人が注目してくれ、仕事の発注が舞い込んできます。学生や地方在住、主婦など、特に特別な世界との繋がりがなく社会経験も乏しかったとしても、LINEのスタンプ制作でブレイクしたり、ネット通販で自身の作品を展示販売するようなことも可能です。You Tuberと呼ばれる人々が自宅の部屋や学校を舞台に世界的な人気者になるケースだって珍しくありません。
自分から売り込み営業をするのが難しいと考えているなら、せめて自分の代わりに“営業”してくれるSNSやウェブサイトの制作に力を注ぐ方が、現実的ですし楽しく努力できそうです。そして、「私に仕事をさせてください」とお願いするのは大切ですが、「あなたにお仕事をお願いしたいのですが条件はどのようなものですか?」などと発注主に乞われて仕事に着手する方が、やはり精神的なアドバンテージが取れる分、楽です。
まとめ
2回にわたって「売り込み」について考えました。売り込むという行為をガツガツやると、ライトな仕事感覚が定着した現代においては、逆に相手に躊躇を与えてしまうこともあります。これからの時代は、売り込まないで自分の価値を伝えたものが勝ち。しかし、そのためには自分の作品(料理やレシピ制作、教室などすべてのことです)、自分の日常を映すもの(SNSなど)は徹底的にブラッシュアップし、あなたに代わってそれらに働いてもらわないと。
今すぐ出来ることも、お手本にしたい例も、身の回りにはたくさんあるはずです。自分をアピールする作戦について、一度立ち止まって考えてみませんか。