さばのみぞれ煮

繊細な仕事で上質な味わいに仕上げる

10月に入り、空気がひんやりと冷たくなり、キッチンに立って火を使うのも楽しい季節になりました。美味しいものを自分で作れるようになるべく、今すぐに覚えたい「秋の美味しうるわし和食」の第2弾。先生は前回に引き続き、江戸懐石近茶流嗣家で和食界のプリンスとして知られる柳原尚之さんです。今回は、主菜となる「さばのみぞれ煮」を教わります。

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外国産なども含めると通年で手に入るさばですが、脂が最ものって美味しい時期は秋から初冬まで。10月~11月頃に日本近海でとれる「真さば」(秋さば)は、脂のりが良いだけでなく、海流にもまれて身が締まり、肉厚でうま味がたっぷり! このさばを竜田揚げにして、大根おろしでさっぱりといただきましょう。

さばにかける大根おろしは、水洗いして軽く絞って使います。大根おろしはお酢や温かいものと合わせると臭みが出てしまいますが、こうすることで臭いの発生を防ぐことができます。すりおろすときには、受け皿にふきんを敷いておくとよいでしょう。

すりおろした大根をふきんで包み、手で軽くもみながら流水にあて、水気を取りすぎない程度に軽く絞ればOK。

さばの皮目に切れ目を入れ、味をしみ込みやすくさせてから、辛子じょうゆに浸けます。「竜田揚げにはしょうがをよく使いますが、油が多いものにはしょうがよりも辛子が合いますよ」

さばに片栗粉をまぶしてカラッと揚げ、煮汁の中で煮て、みぞれをかけます。菊とあさつきを散らしたら完成です。

脂ののった旬のさばを竜田揚げにし、みぞれあんをたっぷりかけました。親しみのある味わい、辛子じょうゆで新鮮な美味しさに。

2018年10月8日

レシピ作成
「江戸懐石近茶流嗣家」柳原尚之さん
調理時間
30分 ※内準備時間0分

材料2人分

真さば
1/2本 
しょうゆ(下味用)
大さじ1
練り辛子
大さじ1/2
片栗粉
適量
揚げ油
適量
食用菊
5花
あさつき 
5本程度

煮汁

大根(おろす)
300g
だし
200ml
砂糖
大さじ1・1/2
本みりん 
小さじ2
うすくちしょうゆ 
大さじ1・1/2
小さじ2

甘酢

米酢
大さじ3 
砂糖
大さじ1・1/4
少々

手順

下準備

  1. 1

    甘酢の材料を混ぜ合わせておく。

作り方

  1. 1

    さばは三枚におろし、小骨をすべて抜き、3cm幅に切る。皮目に切れ目を入れ、辛子としょうゆを合わせた中でからめて、5分ほど下味をつける。

  2. 2

    1に片栗粉をつけて、180℃の油でカラリと揚げる。

  3. 3

    煮汁用の大根おろしは、布巾などに包んでもみ洗いし、軽く水気をとる。

  4. 4

    鍋に大根おろしと酢以外の煮汁の材料を合わせて火にかけ、沸いたら3を入れて4分ほど煮る。大根おろしを加えてさっと煮たら、仕上げに酢を入れて味を調える。

  5. 5

    食用菊を塩と酢(分量外)を入れた熱湯で茹でて、水にさらす。水気をしぼり、甘酢に漬けておく。

  6. 6

    器に4を盛り付け、小口切りにしたあさつきと5を散らす。

撮影/平松唯加子  取材・文/江原裕子

愛用道具
スライサー、おろし器、せん切り器、細せん切り器、指ガード(ワイドタイプ)がセットになった「SELECT100 調理器セット」(貝印)。料理のプロたちが厳しい目で考え抜かれたキッチンツールシリーズで、するどい切れ味、使いやすい角度はもちろん、フタは受け皿になるなど随所に工夫が光ります。

料理人紹介
柳原 尚之(ヤナギハラ ナオユキ)さん
1979年、東京都生まれ。江戸懐石近茶流嗣家(しか)、「柳原料理教室」副主宰。「近茶料理(近茶流)」を継ぐ家に生まれ、祖父・敏雄氏、父・一成氏より和の基本を伝授される。大学在学中は発酵食品学を学び、しょう油会社の研究員、帆船のキッチンクルーを経て、現在は一成氏とともに東京・赤坂「柳原料理教室」にて日本料理、茶懐石の研究指導に当たる。また、英語で和食を教えるなど、日本料理をグローバルに広げる活動も行う。