鮎の緑酢かけ

料理教室を主宰する人気料理家の「とっておきの一皿」をご紹介する連載。教室でも生徒さんから大好評だったオリジナルレシピや、自身にとっても思い入れの深い一品をお届けします。毎日の食卓からおもてなしにまで活躍する、季節感やトレンドを感じられる自慢の味をぜひ試してみてください。

食卓に華を添える、涼やかな味わいの鮎料理

懐石料理「温石会」を主宰する入江亮子さんが教えてくれたのは、彩りも美しい「鮎の緑酢かけ」。初夏の風物詩である鮎を使った、茶懐石の定番料理のひとつです。

「鮎ときゅうりを使った緑酢の組み合わせを楽しむ、茶懐石では向付(むこうづけ)として出すお料理です。生の鮎はウリのような香りを持っていて、ウリ科のきゅうりと相性がいいんですよ。7月の鮎はまさに旬で、脂がのっていて美味しい時期ですね。もし生の鮎が手に入らない場合は、干物でもかまいません。丸ごと焼いて骨とヒレをとれば大丈夫です。皮が香ばしくて美味しいので、取り除かずにぜひ一緒に味わってみてください」

作り方のコツや、美味しくいただくためのヒントを教えてください。

「きゅうりは酢と和えてしばらく置くと色が褪色してしまうので、緑酢は食べる直前に作るのがポイントです。今回は米酢を使いましたが、レモン汁を使うのもおすすめです。よりさっぱり仕上がるので、お好みでアレンジしてみてくださいね。
また、お酒のあてにも向きます。鮎ときゅうりのウリっぽさが、夏のあっさりとした日本酒によく合います。とくに、さらっとしていて酸が高い、加熱していない生酒とは相性抜群です。フレッシュ感ある夏酒とともに、食卓を彩ってみてください」

旬の鮎を主役にした、簡単で洒落た一品です。目にも爽やかな緑酢が鮎の香りとマッチして、酒のあてにもぴったり。みょうがと枝豆の食感の妙も楽しく、夏の暑さを忘れさせてくれるような涼を演出してくれる季節の美味です。

2022年07月7日

レシピ作成
入江亮子さん
調理時間
20分 ※内準備時間0分

材料4人分

鮎(大)
2尾
みょうが
2本
枝豆
適宜
きゅうり
1本

A

米酢
大さじ1
煮切りみりん
小さじ1/2
淡口醤油
小さじ1/2

手順

下準備

  1. 1

    鮎は三枚におろし、3%の塩水1カップ(分量外)に10分漬ける。

作り方

  1. 1

    下準備した鮎をグリラーで焼き、冷めたら4等分に切る。

  2. 2

    みょうがは縦半分に切ってから3cmの斜め切りにし、水にさらす。

  3. 3

    枝豆は塩茹でしてざるに上げ、さやから実を取り出す。

  4. 4

    きゅうりはおろし金ですりおろして水気を切り、Aで調味する。

  5. 5

    器に1と2を盛り、4をかけて3を散らす。

撮影/佐藤朗 スタイリング/綱渕礼子 取材・文/岡井美絹子

PROFILE
入江亮子さん

懐石料理「温石会」主宰。日本酒利き酒師。 “日本の食文化を伝えていきたい”という想いをモットーに、日本料理の五味五色五法を駆使した、献立力がつくようなレッスンが好評です。四季を感じる日本料理や懐石料理、精進料理、和食の基本などを教える教室でのレッスンのほか、茶懐石の出張料理、地域の特産品開発、メニュー開発などを行っています。著書『茶事の懐石料理がホントに一人で作れる本』、『八寸・強肴で困らない本』が発売中。レッスンの開催日や料金、入学金の有無はクラスによって異なります。申し込みはHPから。

HP:https://onjakukai.com/