
人気店のシェフに3つのレシピを教えてもらう連載企画。素材が活きるごちそうレシピ、思い出のレシピ、お店で人気のまかないレシピの3品をご紹介していきます。1月は渋谷にある予約困難な大人の居酒屋『高太郎』の林高太郎さんに、『シンプルだけど美味しい』をテーマにレシピを提案してもらいました。今回教わるのは、お店で人気のまかないレシピ「にぼバター釜玉」。バターになんと、多くの飲食店では捨ててしまう煮干しの頭とワタを混ぜ合わせた、高太郎さん考案の「にぼバター」を使うのがユニークな点です。
センスが光る、和洋折衷の大人の釜玉うどん
香川県出身の高太郎さんが、毎日足で踏んで仕込む讃岐スタイルのうどんは、〆にほぼ全員が頼む名物メニューで、まかないでも登場率が高いそう。そのうどんの出汁をとるときに捨てていたあるモノを使った、驚きの美味しさのレシピを教えてもらいます。
「うどん出汁をとるときにいりこを使うんですが、いりこのワタと頭は捨てていたんですね。これを何とか活用できないかと考えたのが、『煮干しバター(にぼバター)』。ワタと頭をミルで粉末状にしてバターと混ぜ、讃岐の定番、釜玉うどんとあわせてみたのがメニューの始まりです」
さまざまな薬味とともに、にぼバターを釜玉うどんにのせて食べると、まろやかかつほろ苦さもあり、新感覚の味わい。美味しさが後を引き、また食べたくなる魅力を持っています。作り方がシンプルなだけに、こだわりの材料を使うと一層美味しく仕上がります。飲んだあとのシメにもお食事にもぴったりなので、『にぼバター』を常備しておくと便利です。
ボウルに常温に戻したバターと煮干しの粉末などを入れます。高太郎では、日本一のいりこの名産地、瀬戸内海の小島・伊吹島産のいりこだけを使っています。
バターと煮干しの粉末をなめらかになるまでよく混ぜ合わせれば「にぼバター」の完成。小さいサイズのスパチュラがあると、無駄なくこそげられて便利です。保存容器に入れて、冷蔵なら2週間保存可能。冷凍ならより長持ちします。
乾燥うどんはお好みのもので。撮影では、岡山県のタナカ製麺所の乾麺を使いました。オーストラリア産の小麦粉を使っているので、国産小麦と比べるとプリプリとした食感が楽しめます。そのほか、稲庭うどんもおすすめです。
うどんに、まず卵を割り入れます。
真ん中ににぼバターをのせ、周囲に薬味をのせて醤油をかけます。お店では、香川県の老舗醸造所・丸尾醸造所の「マルオうま味しょうゆ」を使用しています。