バスク風ピペラード

料理教室を主宰する人気料理家の「とっておきの一皿」をご紹介する連載。Kai House Club会員でもある先生方が考案する、教室でも生徒さんから大好評だったオリジナルレシピや、自身にとっても思い入れの深い一品をお届けします。毎日の食卓からおもてなしにまで活躍する、季節感やトレンドを感じられる自慢の味をぜひ試してみてください。

12月5日

おもてなしの前菜にぴったりなおしゃれな一皿

フランス在住時に出合った料理を、日本の食材でも作りやすく再構築した、目にもごちそうのレシピにファンが多いおおにしのりこさん。今回教えていただいた「バスク風ピペラード」も、フランス時代の思い出深い大切な料理で、フランス・バスク地方での伝統的な家庭料理をパーティシーズンに活躍するレシピにアレンジしたものだそう。

「日本の家庭料理と同じで、家庭ごとに味が違う料理なんです。現地では、肉や魚のつけ合わせとして出すことが多いんですが、今回は生ハムと半熟卵を加えてごちそう感をアップし、1人分ずつココットに入れて出すことで、おもてなしにもぴったりのメニューに仕上げました」
美味しく作るコツはありますか?

「料理名の“ピペラード”とは、バスク語で“唐辛子”の意味。私も現地で習ったレシピを少しずつアレンジして完成させたのですが、やはりその名の通り、赤唐辛子が欠かせない料理です。現地に近い味を出すためには、フランス・バスク地方で有名な赤唐辛子の産地、エスプレット村で作られているものを使うのがベスト。特有のうまみと香りが特徴で、料理に使うと深みが増すのですが、日本では高級品すぎて手に入りにくいのが難点ですね。手に入らない場合、代用するならば、カイエンペッパー、チリパウダー、パプリカパウダー等をブレンドしたものがお勧めです。あとは、最後に落としてオーブンで焼く卵の火入れ。食感が悪くなってしまうので、火が入りすぎないように気をつけてくださいね」

どんなシーンにオススメでしょうか?

「友人同士で集まるときに重宝すると思います。前日までに野菜を煮込んでおいて、当日はココットに入れて焼くだけで、前菜にぴったりなアツアツメニューができるので、気持ちに余裕ができますよ。これからの寒い季節は、冷たい前菜よりもこんな温ったかメニューが喜ばれるはず。私はこれに、バスク風鶏の煮込みをメインとしてお出しすることが多いですね。ワインは、ラングドックやマディランのミディアムボディの赤がよく合います。教室の生徒さんにも好評だったので、ぜひ作ってみてくださいね」

野菜が持つ水分だけで煮込んでいるので甘みとうまみがギュッと凝縮し、生ハムの塩気とピペラードの風味でしみじみとした美味しさに。とろ〜り卵の黄身を崩し、混ぜながらいただくのも最高です。パンとワインを添えれば、お休みの日のブランチにもぴったりな一品です。

2019年12月5日

レシピ作成
おおにし のりこさん
調理時間
60分 ※内準備時間0分

材料 ココット4人分

赤ピーマン ※パプリカ(赤)に代用可能
1/2個
黄ピーマン ※パプリカ(黄)に代用可能
1/2個
ピーマン(緑)
1/2個
玉ねぎ
1/2個
茄子
2本
ズッキーニ
1/2本
ニンニク
2片
トマト(大)※熟れたもの
2個
トマトペースト
10g
ブーケガルニ
1袋(ローリエ、タイム、パセリ等)
オリーブオイル
適量
塩、粗びき黒こしょう
適量
エスプレット赤唐辛子(粉末)
適量
生ハム(バイヨンヌ産)
8枚
4個
パセリ
少量
バゲット
好みの量

手順

  1. 1

    玉ねぎは薄切りにする。赤・黄・緑のピーマン、茄子、ズッキーニは大きめのさいの目に切る。

  2. 2

    ニンニクはみじん切りにする。トマトは湯むきして一口大に切り、種はこして果汁は集めておく。

  3. 3

    鍋にオリーブオイル適量を熱し、玉ねぎを加えて透明になるまで炒めたら、ニンニクを加える。香りが出たら、①の残りの野菜を加える。

  4. 4

    ③の鍋に、トマト、トマトペースト、ブーケガルニを加え、エスプレット赤唐辛子を加えて味を調える。

  5. 5

    トマトの果汁も加え、弱火で30分程煮込む。黒こしょう、少量の塩で味を調える。

  6. 6

    ココットの内側にオリーブオイルを薄く塗る。半量の生ハムを食べやすくちぎり、ココットに敷きつめる。これを4個作る。

  7. 7

    ⑥に4等分した⑤を加えて、それぞれ真ん中に卵を割り入れる。

  8. 8

    180度に予熱したオーブンに入れ、12分~15分焼く。卵の白身が固まり、黄身が半分火が通ったところがベスト。

  9. 9

    鍋にオリーブオイル適量を熱し、残りの生ハムを軽く焼く。⑧に生ハムと刻んだパセリを散らし、バケットを添えて完成。

撮影/結城剛太 スタイリング/鈴木裕子 取材・文/岡井美絹子

PROFILE

おおにし のりこさん
「Le Plat du Jour(ル プラ デュ ジュール)」主宰。結婚と同時に夫の赴任に伴い渡仏し、バスク地方ビアリッツとパリで3年間暮らした経験を持ちます。滞在期間中は、現地のマダムに仏家庭料理を学んだり、パリ「エコール・リッツ・エスコフィエ」でパティスリーのディプロムを取得するなど精力的に活動しました。帰国後、料理サロンにてアシスタント業務を経験したのち、再び夫の赴任に伴いアメリカ・サンディエゴへ。現地のマダムに料理やお菓子を学びながら、自身のクッキングサロン「Le Plat du Jour」を現地でも主宰。帰国後、東京、世田谷の自宅にてサロンを再開しました。サロンでは、フランス料理をメインにカリフォルニアキュイジーヌなどこれまで学んだ料理を、デモンストレーション形式で紹介します。前菜、メイン、デザートを、テーマごとに合わせたテーブルコーディネートとともに学べ、優雅な時間を過ごせます。
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