料理教室を主宰する人気料理家の「とっておきの一皿」をご紹介する連載。教室でも生徒さんから大好評だったオリジナルレシピや、自身にとっても思い入れの深い一品をお届けします。毎日の食卓からおもてなしにまで活躍する、季節感やトレンドを感じられる自慢の味をぜひ試してみてください。
思わず歓声が上がる、冬のごちそう煮込みメニュー
華やかなおもてなしメニューから普段の家庭料理まで、幅広くお料理を学べる「Join us at the kitchen!」を主宰する成澤文子さんが提案してくれたのは、クリスマスシーズンにふさわしい豪華な煮込みメニュー。大切な方をお招きするときに作る一品だそうです。
「時間はかかりますが、プロセス自体は難しくなくて、手間ヒマかけたようなおもてなし感が出る牛肉の赤ワイン煮込みです。玉ねぎを炒めるところで水は使いますが、それ以外の水分は全部赤ワイン。ワイン一本丸々使っているので、奥行きのあるコクが出ます。ワインは、香りが華やかで繊細な味わいのブルゴーニュの赤がおすすめですが、ない場合は飲んだ時に好みの味のワインを。もし、ワインの酸味が強いときは、砂糖を少量足すとまろやかになります。牛肉のだしや玉ねぎの旨味との相乗効果で、コンソメなどの調味料は必要ないので、素材の美味しさを堪能していただけると思います」
美味しく作るポイントはありますか?
「あめ色玉ねぎさえ頑張ればOKです。玉ねぎを焦がさないよう、じっくりとあめ色になるまで炒めましょう。炒めていると、鍋底に玉ねぎがこびりついてくるので、水を大さじ1くらい入れてこそげて、旨味をきちんと玉ねぎに戻してあげることが大切です。牛肉の味は値段に比例するので、国産牛でちょっと奮発するのがおすすめ。味もよくて1番リーズナブルなのはスネ肉ですが、ばらなど煮込みに合う部位を予算に応じて選んでみてください。肉がかたいときは、蓋をしっかり閉じて煮込み時間を増やします。おもてなしの際は、盛り付け前に肉とにんじんを取り出して、煮汁を漉すと、なめらかで上品なソースに仕上がります。あとは時間が美味しく仕上げてくれるので、ぜひおもてなしメニューのレパートリーに加えてみてください」
材料4人分
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牛かたまり肉(すね肉、バラ肉、頬肉など)
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700〜800g
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玉ねぎ
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2個(約450g)
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にんじん
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小1本
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赤ワイン
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1本(750ml)
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塩、胡椒、砂糖、小麦粉、サラダ油、バター
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各適量
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(あれば)マッシュポテト、イタリアンパセリ
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各適量
A
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トマト缶(ホール)
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1/2缶(150〜200g)
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にんにく(つぶしたもの)
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1かけ
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ローリエ
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1枚
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タイム
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2枝
手順
作り方
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1
玉ねぎは縦半分に切ってから、繊維を断ち切るように薄切りにする。トマト缶のトマトをつぶす。にんじんは、半分の長さに切って縦4〜6等分にし、面取りする。
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2
厚手の鍋にサラダ油大さじ1を熱し、玉ねぎを入れて中火でじっくり炒める。玉ねぎが色づいてきたら、水を大さじ1ほど加えて、木べらなどで鍋底のうま味をこそげとって玉ねぎに移し、さらに炒める。これを繰り返し、あめ色になるまで40分ほど炒める。水は全部で150〜200mlほど加える。
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3
牛肉は、塩小さじ1、こしょう少々をなじませ、小麦粉適量を全体にしっかりとまぶす。フライパンにサラダ油大さじ1を熱し、強めの中火で焼く。全体に焼き色がついたら肉を②の鍋に移し、余分な脂が出ていれば捨てる。赤ワインを1/2カップ入れ、木べらなどでフライパンについたうま味をこそげ取り、➁の鍋に入れる。
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4
残りの赤ワイン、Aを③の鍋に入れ、沸騰したら蓋を少しだけずらして弱火にし、途中何度か底から混ぜながら、2時間ほど牛肉が柔らかくなるまで煮る。
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5
塩小さじ1/2、胡椒少々を加えて味をみて、酸味が強いようであれば、砂糖を1つまみずつ加えて味見しながら、味を整える。にんじんを加えてさらに30分ほど煮て、とろりとしたらローリエとタイムを取り出し、バター少々を加えて混ぜる。味をみて足りないようであれば塩、胡椒し、器に盛る。あれば、マッシュポテトとイタリアンパセリを添える。
撮影/佐藤朗 スタイリング/綱渕礼子 取材・文/岡井美絹子
PROFILE
成澤文子さん
料理家。管理栄養士。「Join us at the kitchen!」主宰。優雅なテーブルを演出してくれるおもてなし料理から、健康を意識したヘルスコンシャスなメニューまで、豊富な知識とテクニックで生み出されるオリジナルレシピが好評。レッスンは人気のため、現在受付停止中。キャンセル待ちはHPからお問い合わせを。
HP:https://www.narisawaayako.com