
秋山シェフが腕を振るう「The ARTISAN TABLE・DEAN & DELUCA(アーティザンテーブル・ディーン&デルーカ)」は、食のセレクトショップDEAN & DELUCAが手掛ける一軒家レストラン。“ARTISAN(アーティザン)”とは食の作り手を指し、生産者と料理人という2つのアーティザンがつながる場所として、旬の食材を中心に素材の魅力を最大限に引き出しながら、そのときにしか味わうことのできない上質な料理を提供しています。都会の一等地にありながら青々とした木々に囲まれ、店内にも明るい陽射しがたっぷりと降り注ぎ、マイナスイオンの癒しを感じられる心地良い空間。参加した「Kai House Club」会員で『ELLEグルメ』公認料理家「エル・グルメ フードクリエイター部(以下FCC)」の部員20名は、リラックスした表情を浮かべながらも、真剣なまなざしで講義に聞き入っていました。
当日は、パリから「フランスシャルキュトリ・ケータリング・食肉加工工業連盟(FICT)」のクレール・ジェルデさんが来日し、その歴史から製法、品質規定、各シャルキュトリの特色などをレクチャー。日常的にシャルキュトリを楽しむフランス人としての想いを、作り手の想いと共に語ってくれました。大自然の中でのびのびと育った豚肉を中心とした肉類を、古代からの伝統的製法による加熱調理、塩蔵、乾燥、燻製で丁寧に造り上げたシャルキュトリは、世界のトップシェフから支持される銘品揃い。ひと口に食用加工肉といっても、その土地や風土に合った技法が築き上げられ、テロワールが息づく食材であることに、FCC部員たちも興味津々でした。
基本を学んだ後は、実践編。秋山シェフが、数あるシャルキュトリのなかから「生ハム」「サラミ」「パテドカンパーニュ」を使った料理3品を振る舞いながら、センスあふれる素材の組み合わせや調理法について解説してくれました。
「シャルキュトリというすでに完成された素材をメインにした料理なので、あまり難しいことはせず、シンプルに味わいを楽しんでもらうレシピにしました。その分、食感でメリハリをつけている。たとえば、『そら豆のスプレッドとパテドカンパーニュのタルティーヌ』では、バゲットを焦げ目がつくくらいにカリッと焼き上げる。また、パテはレバーが利いて旨味がしっかりしているので、さまざまな味わいを加えて、お酒が進む味に仕上げました」
存在感の強いシャルキュトリをどのように素材として活かすかは料理家としての腕の見せ所ですが、それらを「旨味のある発酵食品」と捉えて料理に使うとアレンジがしやすいと話す秋山シェフ。パテドカンパーニュと、そら豆・フムスなどの豆類、さらに「クレイジーピー(えんどう豆の幼葉)」といった表情の異なる食材による新鮮な組み合わせのタルティーヌは、パテの旨味を豆の優しいコクで包み込むような滋味深い味わい。食材選びや組み合わせの妙で料理の可能性は広がり、季節感を表現できるといいます。