カリふわ生地のピザ「タルトフランベ」

人気店のシェフや料理家など、食のプロフェッショナルに教わる逸品レシピ。今月は、独自の食文化を持つフランス・アルザス地方の郷土料理を学びます。

>>「第1回・シュークルート」のレシピはこちら!

カリふわ生地に、なめらかなフレッシュチーズクリームが病みつきに!

自然と文化が調和するフランス・アルザス地方。そんな風光明媚なエリアで長く親しまれている郷土料理は、素朴で温かさを感じるものが多いといいます。今週も、東京・浅草橋でフランス・アルザス地方の本場の味とワインを提供する「ブラッスリー ジョンティ」の斉藤光さんに、アルザスの人々に愛され続ける料理を教えてもらいましょう。

第2回目の郷土料理は、「タルトフランベ」。アルザス風ピザとも呼ばれるタルトフランベは、地元のレストランやカフェでもおなじみのメニュー。薄くのばしたパン生地に、トマトソースではなく、フロマージュブランがベースのクリームを塗り、玉ねぎとベーコンをトッピングしただけのシンプルな構成。それでいて、カリッと焼き上がった生地の香ばしさと、クリーミーなソース、シャキシャキの玉ねぎ、塩気の効いたベーコンのうま味が一体になり、絶妙なおいしさと食感を生み出します。

繰り返し作られ、間違いなくおいしくできる黄金レシピ


ベースの生地作りは、パン生地と同様にして、三次発酵まで行いましょう。写真は二次発酵が済んだところ。発酵をきちんととった方が味が良く、また成形する際にも生地が扱いやすくなりますが、時間がない場合は二次発酵まででもよいでしょう。

発酵が済んだ生地はガス抜きをして、めん棒は使わず両手で均一にのばします。まずは両手で持ち上げ、破れないように注意しながら、生地を中心から外側に広げていきます。生地を適宜回転させながら、重力を使って下方向にものばしましょう。

ある程度まで大きくのばしたら天板にのせ、今度は指先を使ってのばします。生地は焼き上がったときによりクリスピーな食感になるように、1~1.5mmの極薄にするのがポイント。

トッピングの玉ねぎとベーコンは、できるだけ細く切りましょう。すべてカットしたら、クリームを塗った生地の上に散らします。「細かく切ったトッピングをたっぷりのせるのが、本場のアルザス流です」

アルザスでは、名物のワイン祭りのときに食される定番料理でもあるタルトフランベ。このレシピを習得して、年末年始のイベントはもちろん、ホームパーティなどでもお楽しみください。

パン生地を極薄にのばし、フレッシュチーズのフロマージュブラン、生クリーム、ナツメグを合わせたソースをたっぷりと塗って、玉ねぎとベーコンをのせたシンプルなタルトフランベ。毎日食べたくなる、飽きのこないおいしさです。
>>「第1回・シュークルート」のレシピはこちら!

2018年12月17日

レシピ作成
「ブラッスリー ジョンティ」斉藤光さん
調理時間
90分 ※内準備時間0分

材料25×25cmの生地3枚分

生地

強力粉
250g
焼き塩
5g
グラニュー糖
4.5g
イースト
3.8g
バター
12.5g
ぬるま湯 
150g

クリーム(作りやすい分量)

フロマージュブラン
500g
生クリーム
150g
11g
ナツメグパウダー
4.3 g

トッピング

玉ねぎ
60g
ベーコン
30g

手順

  1. 1

    ボウルに強力粉、塩、グラニュー糖、イーストを入れ、ホイッパーで混ぜる。スケッパーやカードに持ち替え、溶かしバターとぬるま湯を加え、よく混ぜ合わせる。まとまったら作業台に移し、台に叩きつけたり手でのばしたりを繰り返しながら、なめらかになるまで10~15分ほどこねる。

  2. 2

    生地を指で左右に広げ、ちぎれずに薄い膜になったら1つに丸める。閉じ目を下にして薄くオイル(※分量外)を塗ったボウルに入れ、濡れぶきんで覆ってからラップをして、常温に約 1~2時間置いて一次発酵させる。指で生地に穴を開け、その穴が小さくならずに跡が残ったらOK。

  3. 3

    生地をラップを敷いた作業台に移し、手のひらで押してガス抜きする。140gずつに分割し、丸め直してボウルやバットなど移し、濡れぶきん、ラップを順に被せて、常温に30分ほど置いて二次発酵させる。

  4. 4

    二次発酵させた生地をそれぞれガス抜きし、厚さ5mm程度の楕円形に整え、オーブンシートと生地を交互に重ねる。常温に30~40分置き、三次発酵させる。

  5. 5

    クリームを作る。ボウルにフロマージュブラン、生クリーム、塩、ナツメグパウダーを加え、混ぜ合わせる。

  6. 6

    具材をカットする。玉ねぎは細切りにし、ベーコンは細長い棒状に切る。

  7. 7

    4の生地のガス抜きをしたら両手で持ち、中心から外側に生地を引っ張るようにして、手でのばす。ある程度の大きさまで広げたら、天板にのせる。

  8. 8

    さらに生地をのばし、25×25cmの四角い生地に成形する。厚さは1~1.5mm程度で均一に。

  9. 9

    190℃に予熱しておいたオーブンに入れ、スチーム量40%で2分間、空焼きをする。スチーム機能がない場合は、水もしくはお湯を耐熱容器に入れてオーブンの中(天板の下)に置くとよい。

  10. 10

    空焼きした生地に、クリームを塗り、玉ねぎとベーコンを散らす。250℃に予熱したオーブンで、スチーム量40%で3分間、本焼きをする。

撮影/大木慎太郎  取材・文/江原裕子

愛用道具
貝印が長年の包丁作りで培ってきた独自の刃付け技術により、鋭い切れ味とその持続性を実現した「関孫六 10000CL 三徳包丁 165mm」(貝印)。フィット感が高く、強度に優れた積層強化木ハンドルと、特殊精密接合技術による高級ステンレスを芯材とした三層鋼の刃体を実現。野菜切り・肉切り、魚のさばきなど、さまざまな調理で活躍する万能包丁です。

料理人紹介
斉藤光(サイトウ ヒカル) さん
1970年、新潟県生まれ。20代で料理人を志し、イタリア料理店で経験を積んだ後、2010年に「ブラッスリー ジョンティ」に入店。サービスから厨房までを経験し、今やアルザス料理を知り尽くしたスペシャリスト。現在は厨房を任され、オーナーでソムリエの富田裕之さんと共にお店を盛り上げる。

SHOP INFORMATION
店名: ブラッスリー ジョンティ
住所: 東京都台東区浅草橋2-5-3
URL: http://b-gentil.com/
Tel: 03-5829-9971
営業時間: 11:30~14:45(L.O.14:00)/18:00~23:00(L.O.22:00)、土日祝12:00~15:45(L.O.15:00)/18:00~22:30(L.O.21:30)
定休日:水曜日・第3火曜日
エリア: 東京・浅草橋