
料理を職業にしているプロフェッショナルは、どんなところに気を配って日々のレシピを完成させているのでしょう。話題店や人気レストランのシェフに、その秘密を教えてもらう連載。華やかな完成形だけでなく、材料選びや作り方のそこかしこに、プロならではの技が光っています。
野菜を使ったおもてなしの一品「テリーヌ」を極める
さまざまなジャンルの人気レストランのシェフたちにご登場いただき、旬の素材を使ったレシピやお店自慢のメニューを教えてもらうという嬉しい新連載です。トップバッターは、東京・日本橋で人気のビストロ「イレール人形町」を営む島田哲也シェフ。身体にやさしいフレンチの先駆け的存在で、野菜料理も得意な島田シェフに、春の野菜をふんだんに使ったレシピを3点教えてもらいましょう。第1回目となる今回の料理は「ホタテと春野菜のテリーヌ」。オープン当初からの人気メニューであり、お店自慢の「野菜のテリーヌ」を、野菜の歯ごたえを楽しめるようにプレス式で作る方法をご紹介します。野菜は、素材によって塩ゆでするものとコンソメで煮るものに分けて、野菜の持つ香りと食感を最大限に生かしています。
春の味覚をぎっしり詰め込んだテリーヌ。特別な食材を使わなくても、手間とセンスでとびきりのごちそうになる代表選手です。塩ゆでした野菜は、トレハロースの保湿効果のおかげでうまみを逃さないのはもちろん、色止め効果で鮮やかな発色を保ちます。
全体をプレスして作るテリーヌでは、ゼリー液を控えめにして野菜をぎっしり詰めることがポイント。野菜を型に並べるときはカットした断面を意識しながら丁寧に、詰めるときは具材が型からはみ出すほど大胆に詰め込みましょう。
重しを平らにのせて、ゼラチン液を全体に染み渡らせます。詰めた野菜をラップで巻くときには長辺は内側で合わせるように巻き、型の外側に伸ばした両端から余分なゼラチン液を流します。重しは未開封の牛乳パックでもOK。