ホタテと春野菜のテリーヌ

料理を職業にしているプロフェッショナルは、どんなところに気を配って日々のレシピを完成させているのでしょう。話題店や人気レストランのシェフに、その秘密を教えてもらう連載。華やかな完成形だけでなく、材料選びや作り方のそこかしこに、プロならではの技が光っています。

野菜を使ったおもてなしの一品「テリーヌ」を極める

さまざまなジャンルの人気レストランのシェフたちにご登場いただき、旬の素材を使ったレシピやお店自慢のメニューを教えてもらうという嬉しい新連載です。トップバッターは、東京・日本橋で人気のビストロ「イレール人形町」を営む島田哲也シェフ。身体にやさしいフレンチの先駆け的存在で、野菜料理も得意な島田シェフに、春の野菜をふんだんに使ったレシピを3点教えてもらいましょう。第1回目となる今回の料理は「ホタテと春野菜のテリーヌ」。オープン当初からの人気メニューであり、お店自慢の「野菜のテリーヌ」を、野菜の歯ごたえを楽しめるようにプレス式で作る方法をご紹介します。野菜は、素材によって塩ゆでするものとコンソメで煮るものに分けて、野菜の持つ香りと食感を最大限に生かしています。

春の味覚をぎっしり詰め込んだテリーヌ。特別な食材を使わなくても、手間とセンスでとびきりのごちそうになる代表選手です。塩ゆでした野菜は、トレハロースの保湿効果のおかげでうまみを逃さないのはもちろん、色止め効果で鮮やかな発色を保ちます。
「ホタテと春野菜のテリーヌ」の作り方。全体をプレスして作るテリーヌでは、ゼリー液を控えめにして野菜をぎっしり詰めることがポイント。
全体をプレスして作るテリーヌでは、ゼリー液を控えめにして野菜をぎっしり詰めることがポイント。野菜を型に並べるときはカットした断面を意識しながら丁寧に、詰めるときは具材が型からはみ出すほど大胆に詰め込みましょう。
「ホタテと春野菜のテリーヌ」の作り方。重しを平らにのせて、ゼラチン液を全体に染み渡らせます。
重しを平らにのせて、ゼラチン液を全体に染み渡らせます。詰めた野菜をラップで巻くときには長辺は内側で合わせるように巻き、型の外側に伸ばした両端から余分なゼラチン液を流します。重しは未開封の牛乳パックでもOK。

オープン当初からの人気メニューで、お店自慢の「野菜のテリーヌ」を、春野菜を使って。

2018年04月1日

レシピ作成
イレール人形町 島田哲也シェフ
調理時間
60分 ※内準備時間0分

材料25.7×9.1×高さ6.2cmのスリムパウンド型1台分

ブロッコリー
1個
グリーンアスパラガス
3本
ホワイトアスパラガス
3本
いんげん
20本
ポロねぎ(縦に1本切り込みを入れ、平らに開く)
2本
赤パプリカ(直火で焼いて皮をむき、種とヘタを取って4等分する)
1個
ホタテ(貝柱)
15~20粒

A

1.5L
75g
トレハロース
45g

B

コンソメスープ(固形スープの素を表示通りに溶いたもの)
400g

C

2つまみ
トレハロース
大さじ2
板ゼラチン(冷水に浸して戻す)
18g

手順

  1. 1

    鍋にAを入れて沸かし、ブロッコリー、グリーンアスパラガス、ホワイトアスパラガス、いんげん、ポロねぎを、ほんの少し歯ごたえが残る程度まで順番にゆで、水気を切る。ブロッコリーは粗熱をとってから粗く刻む。

  2. 2

    別の鍋にBを沸かし、赤パプリカを入れてスープに香りを移しながらゆで、軽く歯ごたえが残る固さになったら取り出す。続けてホタテを入れ、軽く火が通って半生の状態になったら取り出す。

  3. 3

    コンソメのゼラチン液を作る。2を180gになるまで煮詰め、Cの塩、トレハロース、水気を切った板ゼラチンを入れて溶かす。

  4. 4

    型に霧吹きをして大きめに切ったラップを敷き、バットの中に置く。ポロねぎを型の長辺に対して垂直に、底と側面に沿って少し重ねながら敷く。刻んでおいたブロッコリーを半量ほど敷き詰めたら、型の長辺に沿って片側にホタテを、反対側にグリーンとホワイトのアスパラガスを並べる。個体の大きさや太さによって、置いたときに全体が均一になるように並べるとよい。

  5. 5

    すき間をいんげんと刻んだブロッコリーで埋めたら、ゼラチン液を1/4ほど流し入れ、さらに赤パプリカ1個分をのせて並べる。残りのホタテとアスパラガスを4と逆の位置に直線に並べ、再びすき間をいんげんとブロッコリーで埋め、最後に残ったブロッコリーを型から山盛りになるまで入れる。

  6. 6

    残りのゼラチン液を流し入れたら、詰めた野菜を包むようにポロねぎの両端を上部で重ねる。さらにラップで包んだら、両端は型の外側に逃がす。別のバットをのせて上に3kg程度の重しをのせ、ラップの両端からゼラチン液が流れ出るくらいの重量でプレスする。型内の余分なゼラチン液がすべて流れ出たら、冷蔵庫で半日冷やし固める。

撮影/川上輝明 取材・文/江原裕子

愛用道具紹介

野菜を詰め込んだ型は「お手入れラクラク加工のスリムパウンド型 大」(貝印)。エッジが丸いのでテリーヌ型としても使えます。素材はフッ素樹脂加工されているため、型離れが良く、生地のこびりつきが軽減できます。

島田哲也(シマダ テツヤ) さん
埼玉県生まれ。東京・人形町のフレンチビストロ『イレール人形町』オーナーシェフ。23歳で渡仏し、数々の星付きレストランで研鑽を重ねる。パリの3つ星「アルページュ」ではシェフのアラン・パッサール氏に師事し、野菜へのこだわり、食材の調理法を学んだのち、帰国。日本の四季折々の素材を活かした身体にやさしい料理が人気で、自身のお店を持ちながら、テレビや雑誌にて家庭で手軽に作れるフレンチを紹介するなど各メディアでも活躍している。

SHOP INFORMATION
店名:イレール 人形町
住所:東京都 中央区 日本橋人形町2-22-2
URL: http://www.irreel.jp/
Tel.: 03-3662-0775
営業時間: 17:30~23:30(22:00 L.O.)、バータイム21:00~
定休日: 日曜、第3月曜
エリア: 人形町・東京都