かなわ水産牡蠣のココット仕立て

人気店のシェフや料理家など、食のプロフェッショナルに教わる逸品レシピ。今月は、作れるようになったら一目置かれそうな、正統派フレンチを学びます。

>>「第1回・ズワイガニとアボカド、林檎のアンサンブル」のレシピはこちら!

手間ひまかけた、贅沢なココット焼き

東京・浅草駒形のフレンチレストラン、「ナベノ-イズム」の渡辺雄一郎シェフに学ぶフランス料理。第2回は、温前菜として「かなわ水産牡蠣のココット仕立て」を教えてもらいました。

魚介、肉、野菜、きのこなど、多種多様な食材をたっぷり使い、贅沢に仕上げたココット焼き。それぞれに適した調理法でうま味を閉じ込めた食材を、丸い器に詰めて焼き上げます。味の引き出し方や食材の組み合わせ、食感へのこだわりなど、プロならではのテクニックが随所に散りばめられています。

きのこをエチュベするために用意する、牡蠣のブイヨン。牡蠣、えのき、香味野菜、ハーブなどをふんだんに入れ、コトコトと煮込みます。「牡蠣鍋を作り、そのスープだけを使うような感覚ですね。牡蠣は、広島県南部・大黒神島の清浄海域で育成された、安全で良質な『かなわ水産』の牡蠣を使用しています。かなわの牡蠣は、加熱した後の味に深みがあり、フランス料理との融合も素晴らしいんです」

できた牡蠣のブイヨンを使って、きのこを蒸し煮(エチュベ)にします。火加減は最初は強火、沸騰したら中火にして、湯気をしっかり保ちましょう。自然な形のままでうま味をたっぷり吸い込み、特別なきのこに変身。

ベーコンは、細長く切った一面だけを焼きます。ココットに入れたあと、最後に加熱して仕上げるため、ここで完全に火を入れる必要はありません。また、ベーコンを焼いているうちに脂が出てくるので、さらに太白ごま油を加えて脂が出るのを促し、ベーコン油を作ります。

できたベーコン油にバターを加え、今度は牡蠣を焼きます。ベーコンと同じく、焼くのは一面だけにして、ぷりぷりの食感をキープ。

すべての食材が調味できたら順番にココットに入れ、火にかけて仕上げましょう。「自宅でゲストに振る舞うときは、事前にここまで準備しておくのがおすすめ。あとは火を入れるだけで、でき立て熱々をサーブできます」

手間ひまはかかりますが、家庭料理とは思えないほどのごちそうが完成。おいしいお酒とともに、じっくり味わってください。

丸い陶器の中に多彩な食材のおいしさが詰まった、牡蠣のココット仕立て。牡蠣には、身が締まっていて甘味がある「かなわ水産」の牡蠣を使用。魚介、肉、野菜、きのこのうま味が染み渡ります。

2019年02月11日

レシピ作成
「ナベノ-イズム」渡辺雄一郎シェフ
調理時間
100分 ※内準備時間0分

材料10cmのココット8個分

ベーコン(細切り)
100g
牡蠣(むき身)(塩水で洗ってから流水ですすぎ、水気を切る)
24個
太白ごま油
適量
バター
適量
ほうれん草
1束
グリュイエールチーズ
適量
粗びき黒こしょう
適量

きのこのエチュベ

なめこ(石づきを取り、小房に分ける)
1パック
霜降りひらたけ(食べやすい大きさにほぐす)
1パック
ジャンボマッシュルーム(食べやすい大きさに切る)
1パック
牡蠣のブイヨン
500g
バター
50g
適量
こしょう
適量

牡蠣のブイヨン(※作りやすい分量)

牡蠣(むき身)(塩水で洗ってから流水ですすぎ、水気を切る)
500g
えのき(根元を切り落とし、長さ3cm程度に切る)
1束
エシャロット(繊維に直角に、極薄切り)
1個
長ねぎ(青い部分)(小口切り)
1本分
しょうが(皮つき)(薄切り)
10g
きのこの軸(マッシュルーム、なめこなど)
適量
昆布
10cm角×2枚
タイム
5本
ローリエ
1枚
日本酒
500ml
チキンブイヨン
500ml

手順

  1. 1

    牡蠣のブイヨンを作る。材料をすべて鍋に入れて沸かし、沸騰したら弱火~中火にして20分ほど加熱し、だしを引く。

  2. 2

    きのこのエチュベを作る。きのこ類は根元を切り落として大きめに切り、鍋に入れる。1の牡蠣のブイヨン、バターを加え、適量の塩とこしょうをふってフタをし、強火にかける。沸騰したら中火にし、5分ほど蒸す。

  3. 3

    ベーコンはフライパンで一面だけを焼く。ベーコンから脂が出てきたら太白ごま油を少量加え、焼き色がついたらベーコンを取り出す。そこにバター大さじ1を加えて牡蠣を入れ、片面だけを焼く。

  4. 4

    ほうれん草は茎と葉に分け、サッと塩茹でして、食べやすい大きさに切る。

  5. 5

    ココットにほうれん草の茎、葉を順に入れ、2のきのこを入れる。3のスープを注ぎ、牡蠣とベーコンは焼き色の付いた面を上にし、順番にのせる。粗びき黒こしょうをふり、削ったグリュイエールチーズを散らしたら、焼き網をのせたガス火の上で3分沸騰させる。

撮影/川上輝明  取材・文/江原裕子

愛用道具
耐久性の高い硬質なチタンコーティングとブランド独自のノンスティック加工を施した「mito 炒め鍋 28cm」(貝印)。炒め煮などにも最適な深型タイプで、IH機器・ガス火のいずれにも使用できます。デザイン性と機能性を両立する、イタリアの調理器具メーカーTVS社製。

シェフ紹介
渡辺雄一郎(ワタナベ ユウイチロウ)さん
1967年、千葉県生まれ。1988年、大阪あべの辻調理師専門学校を卒業後、同フランス校に進学。二ツ星クールシュヴェル「ル・シャビシュー」にて研修。リヨン「ラ・テラス」、東京「ル・マエストロ・ポール・ボキューズ」を経て、「タイユヴァン・ロブション」に入店。以降、ロブション・グループ各店で腕を磨き、2004年に東京・恵比寿「ジョエル・ロブション」のエグゼクティブシェフに就任。2016年、東京・浅草駒形に「Nabeno-Ism(ナベノ-イズム)」をオープン。

SHOP INFORMATION
店名: Nabeno-Ism(ナベノ-イズム)
住所: 東京都台東区駒形2-1-17
URL: http://www.nabeno-ism.tokyo/
Tel: 03-5246-4056
営業時間: ランチ12:00~15:00(L.O.13:30)、ディナー18:00~23:00(L.O.21:00)
定休日: 月曜日、不定休あり
エリア: 東京・浅草