里芋の炊き込み飯

シンプルな食材で、上品な味わいに

お待ちかねの食欲の秋到来。あらゆるものが美味しく感じる季節ですが、とある意識調査によると、日本人が秋に最も楽しみにしている食べ物として人気を集めたのは魚介類、野菜、きのこなど、日本の旬の食材なのだとか。そこで今月は、「秋の美味しうるわし和食」をテーマに、ご飯物、主菜、椀物を学びましょう。

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とっておきの和のごちそうを教えてくれるのは、江戸懐石近茶流嗣家の柳原尚之さん。柳原さんは、江戸時代文化文政期に興ったとされる「近茶料理(近茶流)」を継ぐ家に生まれ、祖父は江戸懐石近茶流先代宗家の柳原敏雄さんで、父は現在の同宗家の柳原一成さん。料理教室で教鞭をとるほか、ドラマや時代劇の料理所作指導、国内外での英語による和食のレッスンなど、伝統的な日本料理を幅広く伝えています。

第一回目に習うのは、「里芋の炊き込み飯」。主役となる里芋には焼きじょうゆを施し、ほんのり色づいた炊き込みご飯を作ります。

里芋は、食べやすい一口サイズの乱切りにしましょう。ぬめりはミョウバン水に浸けるか、塩をまぶしてからよく揉んで取り除くのがおすすめ。ミョウバン水にはあまり長くつけすぎず、30分程度を目安に。

ぬめりをとった里芋はごま油で炒め、角にきれいな透明感が出てきたらしょうゆを加えましょう。しょうゆの香りがして里芋に焼き色がついたら火を止め、冷まします。

よく冷まして味と色が定着した里芋、米を鍋に入れ、だし、調味料を加えていつも通りの火加減で炊いていきます。これで、家にある調味料でできるのに無限におかわりしたくなる絶品炊き込みご飯のでき上がり!

具材は里芋だけ。シンプルだけどしみじみおいしい炊き込みご飯です。焼きじょうゆで色と香りづけをした里芋のおかげで、ご飯も秋らしく色づきます。

2018年10月1日

レシピ作成
「江戸懐石近茶流嗣家」柳原尚之さん
調理時間
90分 ※内準備時間0分

材料4人分

里芋(大)
2個
ごま油
小さじ1
しょうゆ 
大さじ1
米(研ぐ)
2カップ
焼き海苔   
適量

A

だし
480ml
しょうゆ
大さじ1
大さじ1・1/2
小さじ1/4

手順

  1. 1

    里芋は包丁で皮をむき、小さい乱切りにする。水カップ2にミョウバン小さじ1/2(分量外)を加えたミョウバン水に30分ほど入れ、アクを抜く。または、塩(分量外)をまぶしてよく揉んでぬめりをとる。

  2. 2

    1を水洗いしてキッチンペーパーなどで水気をとり、熱した鍋にごま油と共に入れ、鍋を動かしながら軽く焼き目をつける。しょうゆ大さじ1を回しかけ、香りと色をつけて火から下ろし、冷ます。

  3. 3

    釜に研いだ米と2の芋を入れ、Aを加えて火にかけ、焦がさないように炊き上げる。

  4. 4

    炊き上がってから10分蒸らし、木杓子で上下を切り返して茶碗によそい、焼き海苔をちぎってのせる。

撮影/平松唯加子  取材・文/江原裕子

愛用道具
場所を取らず、調理中に小回りのきく「料理家の逸品 プチ計量カップ」。目盛りは液体が計量できるml、大さじ、小さじの3単位表示で、色はシルバーと赤の2タイプの2個セット。醤油や赤ワインなどはシルバー、酒やみりんなどには赤の目盛りというように使い分けられます。

料理人紹介
柳原 尚之(ヤナギハラ ナオユキ)さん
1979年、東京都生まれ。江戸懐石近茶流嗣家(しか)、「柳原料理教室」副主宰。「近茶料理(近茶流)」を継ぐ家に生まれ、祖父・敏雄氏、父・一成氏より和の基本を伝授される。大学在学中は発酵食品学を学び、しょう油会社の研究員、帆船のキッチンクルーを経て、現在は一成氏とともに東京・赤坂「柳原料理教室」にて日本料理、茶懐石の研究指導に当たる。また、英語で和食を教えるなど、日本料理をグローバルに広げる活動も行う。