和の伝統料理をシンプルな調理法でワンランク上の味に
正統派フレンチのテクニックを駆使しながら、和の食材や調理法を融合させた繊細かつ舌なじみのいい料理で評判の東京・神楽坂「BOLT(ボルト)」。予約が取れないこの名店のメニューを再現できるレシピを、オーナーシェフの仲田高広さんが自ら手ほどきしてくれるうれしい企画の第2回目は「うなぎのかば焼きのフリット」です。
うなぎのかば焼きといえば元は江戸の郷土料理で、長きに渡り日本人に愛され続ける一品。すでに完成されたこの料理に、手を加える狙いは?
「うなぎの調理法についていろいろ考えてみたのですが、結局、かば焼きで食べるのが一番おいしい。でも、専門店のおいしいかば焼きを自宅で温め直しても、お店のような外がパリッ、中がふわっとした食感を再現できません。そこで、それに代わる食べ方がないかと考案したのがこのフリットなんです」
完璧な温め直しが難しいなら、いっそ別の方法でもっとおいしくしてしまおうという着眼点。さすがはプロの仕事です。カラッと揚がったフリットは、外がザクザクで中はふんわり。心地よい衣の食感が加わって、いつものかば焼きとは違う新たな魅力に出合えます。
素材とのバランスと食感を追求した技あり衣
うなぎのかば焼きは市販のものでOK。手でつまみやすいように、適度な太さのあるスティック状にカットします。
仲田シェフが理想とする衣の食感は、サクサク&クリスピー。ざっくり食感を担うのが強力粉ですが、グルテンが発生しすぎると衣に粘り気が出て、揚げたときにベタッとしてしまうという弱点が。そこで投入するのが油! 油がグルテンを切るので、生地を練ってもグルテンが出すぎることなく、ちょうどよい加減の衣に仕上げることができます。
油を混ぜた衣にさらに卵を加え、生地をつなげていきます。このプロセスでダマができてしまうため、最後にビールで溶かして衣を均一にしましょう。これで、仲田シェフ考案のスペシャル衣が完成!
おすすめのペアリングは?
今回も、仲田シェフに「うなぎのかば焼きのフリット」と一緒に飲みたいアルコールを聞きました。「白でもなく赤でもなく、ロゼ。もしくは、重たいオレンジワインが合うと思います。ロゼは赤と白のいいところをあわせ持っていて、うなぎのかば焼きの甘じょっぱさには軽めの赤の性質が合うし、白の酸も持つロゼはうなぎの脂っぽさをきれいに流してくれます」