砂肝、パクチー、ブルーチーズのサラダ

料理を職業にしているプロフェッショナルは、どんなところに気を配って日々のレシピを完成させているのでしょうか? 話題店や人気レストランのシェフ、料理人の方たちにその秘密を教えてもらう連載。華やかな完成形はもちろん、材料選びや作り方など、そこかしこにプロならではの技が光ります。

バラエティ豊かな食材を合わせたごちそうサラダ

人気店のシェフや料理家など、食のプロフェッショナルに学ぶ逸品レシピ。今月は、東京・浅草観音裏のカウンター席だけの小さなビストロ「マイクロビストロ ペタンク」のオーナーシェフの山田武志さんに教わる、ワインに合うおつまみ講座です。

第2回目のメニューは「砂肝のコンフィ、パクチー、ブルーチーズのサラダ」。具材ごとに味の強さや食感に変化を与え、ひと口食べるごとに違った味わいが楽しめるサラダです。ドレッシングも赤ワインビネガーベースとシェリービネガーベースの2種類を使うこだわりぶりで、まさにごちそうと呼ぶにふさわしいスペシャルなサラダ。さっそく作り方のポイントをチェックしていきましょう。

プロならではのテクニックが満載! 具材の作り方と合わせ方


食材の風味を良くし、保存性を高める調理法、コンフィ。砂肝をオイルで煮る際は、表面がぷくぷくとしてきたら火を止めてふたをし、なるべく温かいところに20~30分ほど置きます。その後、ふたを外して同様に加熱してから放置する作業を繰り返し、3~4時間かけて火を入れていきます。ずっと弱火で加熱し続けようとすると、途中でオイルがあふれてしまったり、自動消火システムが働いて火が消えてしまったりすることがあるため、時間はかかりますがこの方法がおすすめです。

今回は砂肝のコンフィをサラダにして食べるため、煮るときのオイルにはサラダ油をチョイス。「コンフィを温かく食べるときはラードを使ってもいいのですが、ラードは冷やすと固まって食感が悪くなるため、サラダ油を使います」。また、サラダの具材としてのバランスを考えて、塩味は強め。できたコンフィは冷蔵庫で冷やし、ドレッシングなどで調味して仕上げていきます。

全体の味が均一で途中で食べ飽きてしまうのを防ぐため、個性的な具材を積み重ねていくサラダ。「砂肝とブルーチーズに強い塩味があるため、他の具材にはほとんど塩味をつけていません。砂肝とパクチー、ブルーチーズのほかに、刻んだエシャロットや素揚げしたカシューナッツ、2種類のドレッシングがアクセントになっています」

おすすめのペアリングは?

「砂肝のコンフィ、パクチー、ブルーチーズのサラダ」のペアリングとして、山田シェフが選んだワインは「パトリック・サリヴァン ウォータースキン2017」。こちらはオーストラリアのオレンジワインで、白ぶどうを果皮や種子と一緒に長時間かけて醗酵させるスキンコンタクトをしています。「さっぱりはしているけれど、個性の強いものに負けないワイン。砂肝とブルーチーズ、パクチーなど、味の強いものを盛り合わせている皿なので、ワインもオレンジ系で醸したワインがおすすめです。ちゃんと酸味もあって、バランスがいいですよ」

洗練された見た目の裏に、プロならではの趣向を凝らした具材選びのセンスが光るサラダ。口にするたびに違った味や食感を楽しめて、まるで複数種類のサラダを同時に味わっているかのような贅沢さ。

2018年11月12日

レシピ作成
「マイクロビストロ ペタンク」山田武志シェフ
調理時間
240分 ※内準備時間0分

材料4人分

砂肝のコンフィ(作りやすい分量)

砂肝
500g
10g
サラダ油
適量

赤ワインビネガードレッシング(作りやすい分量)

赤ワインビネガー
100ml
レーズンシードオイル
1L
10g
黒こしょう
3g
エシャロット
1個

シェリービネガードレッシング(作りやすい分量)

シェリービネガー
150ml
くるみオイル
150ml
ピュアオリーブオイル
300ml
マスタード(粒なし)
120g
15g
白こしょう
3g

その他

パクチー
適量
レモン汁
適量
カシューナッツ
適量
ブルーベリー
適量
お好みのブルーチーズ(今回はゴルゴンゾーラピカンテを使用)
適量
エシャロット
適量
黒こしょう 
適量

手順

  1. 1

    砂肝のコンフィを作る。砂肝を中央で2つに切り分け、ポリ袋に入れて塩を加えて和え、冷蔵庫に一晩置く。

  2. 2

    1を小鍋に入れて、サラダ油をひたひたまで注ぎ、弱火にかける。出てきたアクを一度取り除き、表面がふつふつしてきたら火を止め、ふたをして20~30分放置する。ふたを外して再び弱火にかけ、ふつふつしたら火を止めてふたをし、20~30分放置するのを5~6回繰り返し、食べてみてやわらかくなるまで煮る。

  3. 3

    2が冷めたら、下にたまったオイルではない汁気を捨て、砂肝とオイルを保存容器に移し、オイルに浸した状態で冷蔵庫に入れて保存する。

  4. 4

    赤ワインビネガードレッシングを作る。粗く切ったエシャロット、赤ワインビネガー、塩、黒こしょうをミキサーにかけ。ひと回しさせる。さらにレーズンシードオイルを入れ、均一になるまで攪拌する。

  5. 5

    シェリービネガードレッシングを作る。シェリービネガー、マスタード、塩、白こしょうをミキサーで混ぜ、くるみオイル、ピュアオリーブオイルを加えて攪拌する。

  6. 6

    2の砂肝の油を切り、ボウルに移してシェリービネガードレッシング、黒こしょう少々、みじん切りにしたエシャロットで和える。

  7. 7

    ざく切りにしたパクチーを皿に広げてのせ、赤ワインビネガードレッシングを上から全体に回しかける。レモン汁少々を全体にざっと搾り、5の砂肝のコンフィをのせる。さらに、素揚げして粗みじんに切ったカシューナッツ、ブルーベリー、ブルーチーズを散らす。

撮影/長谷川潤 取材・文/江原裕子

愛用道具
ふたをしても中が見える「o.e.c. ミニマ 片手鍋15cm(ガラス蓋付)」(貝印)。煮物、揚げ物、汁物作りから、毎朝のお弁当のおかず作りまで、日常の料理に出番の多い、使い勝手のいいサイズの片手鍋です。

シェフ紹介
山田武志(ヤマダ タケシ) さん
1976年、東京都生まれ。調理師学校卒業後、東京・五反田「ヌキテパ」に入店し、田辺年男シェフの元で修業を開始。その後、六本木「ザ・ジョージアン・クラブ」、ハンガリー日本大使館の公邸料理人、パリ「ザ・キッチンギャラリー」などを経て、銀座「グレープ・ガンボ」4代目料理長に就任。2014年「ワインショップ&ダイナー フジマル浅草橋店」の立ち上げに参加し、料理長を務める。2017年4月に独立し、東京・浅草に「マイクロビストロ ペタンク」をオープン。

SHOP INFORMATION
店名: マイクロビストロ ペタンク
住所: 東京都台東区浅草3-23-3 上野ビル101
URL: https://www.facebook.com/petanqueasakusa/
Tel: 03-6886-9488
営業時間: 17:00~24:00、土日祝15:00~22:00
定休日: 不定休(Facebookにて告知)
エリア: 東京・浅草