料理教室を主宰する人気料理家の「とっておきの一皿」をご紹介する連載。教室でも生徒さんから大好評だったオリジナルレシピや、自身にとっても思い入れの深い一品をお届けします。毎日の食卓からおもてなしにまで活躍する、季節感やトレンドを感じられる自慢の味をぜひ試してみてください。
クランチ・ショコラと塩ショコラサブレがレイヤードされた大人のショコラ。
お菓子教室「ル・プティ・プレジール」を主宰する、いなむら純子さんが教えてくれたのは、バレンタインのギフトに贈れば喜ばれること間違いなしの、贅沢な大人のショコラ「メダイユ・オ・ショコラ〜ショコラのメダル〜」 です。
「レモンピールを入れたザクザクとしたクロカン・ショコラ(クランチ・ショコラ)を、ココナッツ入りの塩ショコラサブレの上に重ねました。アーモンドの香ばしさやビターなカカオニブが隠し味になったリッチな味わいです。レッスンでもバレンタイン時期に作りましたが大人気でした。ドライシリカゲルと一緒にラッピングすれば、贈り物にもぴったりですよ」
美味しく作るための注意点はありますか?
「サブレの生地には卵が入っていないので、焼くとひと回り大きくなる点に要注意です。天板に並べるときは間隔をあけないと、隣同士がくっついてしまいます。また、生地の色が黒っぽいため、焼き色がわかりにくいことも。焦がさないように気をつけましょう。
クロカン・ショコラは、チョコレートの温度管理をしっかり行ってください。最初にレンジでチョコレートを溶かすとき、50℃以上にしてしまうと風味が変わってしまったり、固まらなくなってしまいます。そしてチョコレートは、テンパリングが上手くいっていないと、冷やしたときにチョコレートが白くなってしまうブルーム現象が起こります。見た目や風味に影響するので、慎重に行ってください」
材料12個分
サブレ・ショコラ・ココ
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薄力粉
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32g
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カカオパウダー
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4g
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ベーキングパウダー
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小さじ1/8(0.5g)
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塩
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少々
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きび砂糖
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18g
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ココナッツファイン
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5g
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発酵バター(無塩)
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25g
クロカン・ショコラ
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クーベルチュールチョコレート(カカオ分55〜60%のもの)
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80g
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フィヤンティーヌ(市販品、モルトパフかコーンフレーク8gでも可)
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10g
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アーモンド(ダイス)
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20g
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フリーズドライ・ラズベリークリスピー
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適宜
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レモンピール(ダイス、オレンジピールでも可)
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適宜
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カカオニブ
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適宜
手順
下準備
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1
アーモンドダイスは、160℃に熱したオーブンかトースターで、薄く色づいて香りが出るまでローストする。
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2
バターは1cm角に切り、冷蔵庫に入れて冷たい状態にしておく。
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3
お弁当用のアルミカップ9号を、側面の波型を指でひらいて平らに伸ばし、マフィン型(底が直径5.5cmぐらいのもの)に敷き込む。
作り方
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1
サブレ・ショコラ・ココを作る。薄力粉、カカオパウダー、ベーキングパウダー、塩、きび砂糖を合わせて、ざるでふるう。ココナッツを入れておく(フードプロセッサーを使う場合は、粉はふるわずに材料を合わせておくだけでよい)。
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2
ボウルに冷蔵庫から取り出したバターを入れ、1を加える。バターをカードで切るようにして細かく刻み、粒状になるまで切り混ぜる(フードプロセッサーを使う場合も、バターが粒状になるまで混ぜる)。
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3
大きめのビニール袋を開いて2の生地を挟み、手のひらで厚みを平らにならす。ビニール袋に包んだまま冷蔵庫に入れ、1時間ほど休ませる(1晩休ませてもよい)。
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4
3を台の上に取り出し、ビニール袋に挟んだままめん棒で3mm厚さに伸ばし、直径45mmの抜型で抜く。
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5
裏返したバットの上にオーブンシートやシルパン(オーブン用シリコンマット)を敷き、3を並ベ、予熱をしている間、冷凍庫で冷やしておく。 電気オーブンなら予熱を170℃に、ガスオーブンなら160°Cにしておく。
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6
オーブンが温まったら5を取り出す。オーブンシートの場合、生地に竹串で穴をあけておく(シルパンであればそのままでよい)。天板にオーブンシートかシルパンを敷き、生地を間隔をあけて並べ、オーブンで12分焼く。焼き上がったら、網に上げておく。 冷めたら、下準備で用意した3のマフィン型に1枚ずつ敷く。
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7
クロカン・ショコラを作る。ボウルにチョコレートを入れて、電子レンジ600Wで20秒ずつ様子を見ながら加熱し、ゆっくりと溶かす。決して50℃以上にならないように注意する。
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8
別のボウルに、フィヤンティーヌとローストしたアーモンドを入れる。電子レンジ600Wで20秒ずつ様子を見ながら加熱し、人肌ぐらいの温度にしておく。
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9
7のチョコレートがしっかり溶けたら、8と合わせてゴムベラで混ぜながら冷ます。温度が27〜8℃に下がったら、ドライヤーを10秒くらいかけて、30~31°Cぐらいに温める(チョコレートのテンパリング)。
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10
すぐに9を10gずつ、6のサブレの上に乗せ、ミニヘラで平らに形を整える。あまりギュッと上から押さないように注意する。
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11
チョコレートが固まらないうちに、レモンピール、フリーズドライ・ラズベリークリスピー、カカオニブなどをトッピングする。 固まってくっつかないようであれば、ほんの少しドライヤーを当てて表面を溶かすとよい。
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12
11は涼しいところ、もしくは冷蔵庫で固める。固まったら、アルミカップをゆっくり引っ張って型から取り出す。アルミカップをそっと剥がす。
撮影/佐藤朗 スタイリング/綱渕礼子 取材・文/岡井美絹子
PROFILE
いなむら純子さん
お菓子のアトリエ「ル・プティ・プレジール」主宰。貿易会社勤務を経て渡仏。パリで製菓・製パンのディプロムを取得し、一流パティシエに師事して研鑽を積みました。“初心者でもプロのお菓子が作れる”をモットーに、2003年からスタートした教室は、作りやすくて美味しく簡単なレシピに定評があります。「毎月の季節を感じるお菓子レッスン」は、入会金5000円、レッスン代6500円〜。単発レッスンの場合、プラス1000円。申し込みはHPか公式LINE(ル・プティ・プレジールで検索)から。動画とレシピのみのオンラインレッスンは、入会金なし、レッスン代2500円。申し込みは、BASEアプリ(JUNKO INAMURAで検索)から。
https://www.junko-inamura.com/lesson/