人気店のシェフに3つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピ、思い出のレシピ、お店で人気のまかないレシピの3品をご紹介していきます。3月は、銀座にあるフレンチガストロノミーレストラン『Thierry Marx(ティエリーマルクス)』のシェフパティシエ江藤英樹さん。今回は、旬のレシピ「苺とルバーブ、エルダーフラワーの香り」を教えていただきました。
4月から旬を迎えるルバーブは、フランスではポピュラーな食材のひとつ。現地では苺と合わせるのが定番で、間違いのない組み合わせだそう。
「ルバーブは野菜なんですが、デザートの材料として使われることも多く、特に色も似ている苺とは抜群の相性です。今回はこのルバーブをポッシェ(沸騰させずに茹でる)したり、コンフィチュールにして楽しむレシピにしています。ルバーブは加熱すると色が抜けてしまうので、フランボワーズピューレを一緒に入れて、発色を手伝ってもらっています。これなら色粉を使わなくていいし酸味もプラスされるので、味の面でも申し分ありません」
江藤さんがデセールを作る上で、心がけていることがあると言います。「食事の最後のシメになるので、美味しい余韻を残したまま終わりたいと思っています。だから、食後にももたれない軽やかさと控えめな甘さにすることが多いですね。そしてやはり、レストランという場所でしか食べられないものという点も魅力の一つとして考えています。温かいものと冷たいものを一緒に食べられたり、その場でしか食せないということも美味しさのプラスになります。今回ご紹介したバレリーナのチュチュをイメージしたピンク色のチュイールペッシェも、テイクアウトでは実現できません。これ実は、同業者からも作り方を教えて欲しいとよく聞かれるんですよ。作り方のポイントとしては、焼き色が付きやすいので、淡いピンク色にするには火入れに注意すること。ちょっと足りないかな、くらいでちょうどいいです」
デセールのテーマは“淡い初恋”。スイートなピンク色にキュンと切なくなるような甘さのソルベやムースが、まさに乙女の恋心を体現しているかのようです。
ムースルビーを作る。生クリームは、生地をすくうとツノは立たないが、筋が残る程度(七分立て)までハンドミキサーで泡立てる。
生クリームやフランボワーズピューレなどを混ぜ合わせたものに、泡立てた生クリームを少量加えて泡立て器でよく混ぜる。こうしておくと濃度が近くなるので、混ざりやすい。
残りの生クリームを加えて、ゴムベラでさっくりと全体をよく混ぜる。
ルバーブポッシェを作る。真空パック器がない場合は、タッパーにルバーブを並べ入れてシロップを注ぎ、落としラップをして密着させるとよい。
コンフィチュールルバーブできあがり。ルバーブがほぐれて繊維が見えるようになったらよい。
コンフィチュールルバーブを作る。写真は出来上がりの状態。材料を鍋に入れて、泡立て器で絶えずかき混ぜながら弱火で加熱する。泡立て器でかき混ぜた跡が残るくらいの濃度になればOK。
パレットにピューレを適量とって、オーブン用シートの上にのせ、パレットでさっとシートの表面を素早くなでるようにして薄く伸ばす。10~15cmくらいの長さが目安。