料理教室を主宰する人気料理家の「とっておきの一皿」をご紹介する連載。教室でも生徒さんから大好評だったオリジナルレシピや、自身にとっても思い入れの深い一品をお届けします。毎日の食卓からおもてなしにまで活躍する、季節感やトレンドを感じられる自慢の味をぜひ試してみてください。
教室のレッスンでも大人気! 知られざるイタリア菓子を楽しんで
イタリア料理と和食の教室「料理教室ピアチェーレ」を主宰する長内美補子さんが教えてくれるのは、秋に食べたくなるイタリアの素朴な焼き菓子「トルタ ズブリソローナ」です。
「イタリア・ロンバルディア州のマントヴァに伝わる伝統的な郷土菓子で、お教室でも大人気のメニューです。すごく簡単なのに美味しいから、生徒さんの復習率が高いお菓子なんですよ。“トルタ”はイタリア語でケーキ全般を指す言葉、“ズブリソローナ”はほろほろに崩れるという意味で、その名の通りほろほろっと崩れる生地が魅力の焼き菓子です。マントヴァ周辺でよく栽培されているとうもろこし粉を使っているのが特徴で、現地のお菓子屋さんには必ず置いてあるような日常的なおやつです。コーヒーやカプチーノと一緒にいただくほか、食後に甘口のデザートワインに浸しながら食べるのもイタリア流ですね」
美味しく作るポイントがあれば教えてください。
「アーモンドはホールのものを用意して、フードプロセッサーなどで砕いた方が風味高く仕上がるのでおすすめ。ちょっとひと手間かけて、あらかじめアーモンドを炒っておくのも、香ばしさをプラスする秘訣です。とうもろこし粉は、一番挽きの細かいコーンフラワーを使用しましたが、コーンミールならもう少しザクザクした食感に仕上がるのでお好みでどうぞ。現地のお母さんたちが、ボウルで生地をざっくりと手で混ぜて作るような気軽なお菓子なので、生地は適当に混ぜるくらいの気持ちでOKです。逆に練りすぎると硬くなる原因になります。生地を型に入れて上から押さえる時も、ぎゅっと強く押さないようにすることが、ほろほろした食感に仕上げるポイントです」