いんげんのジェノヴァ風

料理を職業にしているプロフェッショナルたちに、レシピの極意を教わる連載。料理教室を主宰する「料理の先生」に聞き、リクエスト率ナンバーワンの人気レシピを紹介します。おいしさはもちろんのこと、生徒たちに愛される理由が満載のひと皿に隠れた秘密を探ります。

カジュアルなのにおしゃれなイタリア料理の真骨頂

イタリアンといえば、今や和食や中華と並ぶ頻度で楽しむ人も多く、すっかり日本の食卓に定着した感がありますが、その一方、女子会やデートなどのとっておきのシーンでも選ばれるなど、やはりイタリア料理は特別な存在だという人も少なくないでしょう。そんなイタリア料理の魅力を東京・世田谷の自宅で伝えているのが、料理家の緒方美智子さん。イタリア・ミラノに6年間滞在した経験のある緒方さんは、現地で覚えたイタリア家庭料理と郷土料理のレッスンを行っており、料理本やレシピサイトなどでは出合えない料理が学べると評判です。

レシピを考えるときに緒方さんが心掛けているのは、日本でも手に入りやすい食材を使いながら、できる限り面倒な工程を省き、簡単に本場の味を再現すること。このため、レッスンを受けた生徒たちからは「イタリアンは特別な材料や調味料が必要で、手間もかかると思っていたけれど、普通に手に入るもので作れて感動」「少ない材料で食材の味を活かす調理法が多いことに、目からうろこだった」「イタリアンって、シンプルだけど奥が深いことに気付いた」という声をよく耳にするそうです。

そんな、イタリアンの真髄を知った生徒たちに一番人気のレシピが「いんげんのジェノヴァ風」。こちらはアンチョビのソースでいんげんを和えた、意外と知られていないイタリア家庭料理の一つだと緒方さん。「インゲン、アンチョビ、オリーブオイル、バター、にんにくといった少ない材料でできて、手早く、簡単に、失敗なく作れるうれしい一品です。ソースはパンに付けると止まらなくなるおいしさで、白ワインがどんどん進みますよ」

パパッと作れて味わい深いアンチョビソースは、他の野菜と合わせてもおいしく食べられる万能ソースで、毎日の食卓にもおもてなしの前菜にも使えるから覚えておいて損はナシ! 見た目も洗練された仕上がりで、料理初心者からは「料理上手になった気分になるレシピ」と呼ばれているそうです。

素材の風味と食感を残したいんげんを、オイルとバターで溶かしたアンチョビソースでいただくイタリアの家庭料理。アンチョビは、熱いオイルの中に入れると飛び散ってしまうので、必ず火からフライパンを外してから加えるようにしましょう。

2018年06月25日

レシピ作成
「クッチーナ イタリアーナ ヴィア フルア」緒方美智子さん
調理時間
15分 ※内準備時間0分

材料2人分

さやいんげん(5分ほど茹でる)
150g
にんにく(つぶす)
1片
アンチョビ
20g
バター
10g
アーモンド(軽くトーストしてざく切り)
8粒
オリーブオイル

手順

  1. 1

    アンチョビソースを作る。フライパンにオリーブオイル大さじ3とにんにくを入れ、香りが移ったらにんにくを取り出す。一度火を止め、アンチョビとバターを加えて再び火にかけ、溶かす。

  2. 2

    フライパンにさやいんげんを加え、1を全体によく絡める。

  3. 3

    さやいんげんを取り出して器に盛り、1のアンチョビソースをかけて、上からアーモンドを散らす。

撮影/神林環 スタイリング/小坂桂 取材・文/江原裕子

PROFILE
緒方美智子(オガタ ミチコ)さん
東京都出身。ミラノに6年間滞在中にシェフ、ソムリエ、各地のマンマからイタリアの料理、食文化を学ぶ。帰国後、自宅でイタリアンスタイルのおもてなし料理教室をスタート。イタリア各地の美学を、おいしいレシピで表現している。また、企業や雑誌へのレシピ提供、フードスタイリング、テーブルコーディネートなども手掛ける。

LESSON INFORMATION
教室名:Cucina ItalianaVia Frua(クッチーナ イタリアーナ ヴィア フルア)
4~6名までの少人数制のイタリア料理教室で、主に現地で学んだイタリア各地の家庭料理と郷土料理を教える。レッスンは、前菜、パスタ、メイン、デザートの中から毎月3~4品をセレクトして行われ、レシピのみならず、イタリアの食文化やテーブルコーディネートも学ぶことができる。
エリア:東京都世田谷区
URL:http://www.viafrua.com/