人気店のシェフに3つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピ、思い出のレシピ、人気のまかないレシピの3品を教わります。1月はイタリアンやフレンチをベースに旬の素材を生かす「クラージュ」の大井健司シェフ。最初のテーマ“旬の食材を使った料理”は「鴨肉を使ったアニョロッティ・デル・プリン 白子と春菊添え」です。
「クラージュ」シェフ・大井健司さん。
ジビエを包む、ピエモンテの黄色い肉詰めパスタ
秋冬の寒い時季は、ハンターが仕留めるジビエが楽しみ。鴨や鹿、うさぎなどさまざまな肉をフィリングにする肉詰めパスタ「アニョロッティ・デル・プリン」は、イタリア・ピエモンテ州の郷土料理であり、大井さんが修業していた店でも人気だったメニューです。名前にある可愛らしい音感の“プリン”とは、イタリア語で“つまんだ”という意味。具を詰めて成型する際に、生地を手でつまむ動作から来ています。
「ピエモンテでは、地域や店、人によっていろんな具の組み合わせがあり、パスタのつまみ方や包み方も様々。肉も数種類混ぜたり、野菜を入れたりと、同じものはありません。僕のいまのやり方も、いろいろと試して辿り着いた僕なりの形。小さな枕のようだとも言われます」。
そして、もう一つの特徴がパスタの生地の色。大井さんが修行していたお店では贅沢に卵黄だけを使用して作っていたため、黄色が強いのです。水分が少なくて手でこねるのは非常に難しいので、水を霧吹きで加えながらマシーンで捏ねます。食感も風味も独特。作りたてもいいけれど、たくさん作って冷凍するのも可能なので、週末など時間があるときに作りおきするのもおすすめです」。では、早速作っていきましょう。
パスタ生地を作る。水分の少ない生地なので手ごねは難しい。店ではミキサーを使い、都度少量の水を霧吹きで加えながら作っている。「家庭でフードプロセッサーやハンディミキサーを使うときは、生地作りを数回に分けて行うと混ぜやすいと思います」
生地がまとまったら台の上でさらに捏ね、表面がつるりとして塊になったら4等分にしてラップでくるみ、30分ほど寝かせる。
フィリングを作る。鴨ひき肉、卵、パルミジャーノレッジャーノの粉末、塩をボウルに入れ、よく捏ねる。
寝かせた生地の表面に粉をふり、パスタマシンで数回に分けて徐々にのばす。途中で生地を半分に切り、さらにのばす。厚みの目安は8番。(約1mm)