料理を職業にしているプロフェッショナルたちに、レシピの極意を教わる連載。料理教室を主宰する「料理の先生」に聞き、リクエスト率ナンバーワンの人気レシピを紹介します。おいしさはもちろんのこと、生徒たちに愛される理由が満載のひと皿に隠れた秘密を探ります。
冷めたらもっとおいしい! 夏野菜たっぷりのオーブン料理
国際中医薬膳師としての知識を活かし、薬膳をベースにした各国の家庭料理を教える料理家の宇田川多眞季さん。前職ではデザイナーを務めていたこともあり、センスのよいスタイリングにも定評があります。
そんな宇田川さんが、レッスンに通う生徒たちにも大人気の夏のおすすめメニューとして紹介してくれたのが「なすのパルミジャーナ」。こちらは、イタリアの定番家庭料理で、もともとはシチリア島を中心とした地方の伝統料理。クラシカルなレシピでは、衣をつけて揚げたなすとトマトソースを重ねるため、少々ヘビーな仕上がりになりますが、宇田川さんのレシピではなすは揚げずにさっぱりと食べやすくアレンジ。うま味を引き出した重ね焼きになっています。
体にこもった熱を逃がす効果があるといわれる夏野菜は、暑い季節に積極的に摂りたい食材ですが、このレシピなら旬のなすはもちろん、トマトもたっぷり食べられます。同時に、調理の過程でオーブンに入れてしっかりと加熱するので、たくさん食べてもカラダが冷えすぎないのもポイントです。
さらに、常備菜にできるのも、生徒たちに支持される理由のひとつだと宇田川さんは言います。「一般的に、オーブン料理は熱々の状態が一番おいしいのですが、こちらは冷めると味がなじんでさらにおいしい。でき立てを味わったら、残りは粗熱を取ってから冷蔵庫に入れておけば、いつでも好きなときにおいしく食べられます。お弁当のおかずにもぴったりですし、生徒さんからはギャザリングのときにも喜ばれるという声もいただいています」
よりおいしく作るためには、なすに焦げ目がつくようにオーブンに入れる前にグリルパンやフライパンで両面を焼くこと。また、なすと重ねるトマトの品種は、味の濃いフルーツトマトがおすすめだと宇田川さん。あとはテクニック要らずで、失敗せずに作れることができるので、ぜひ今晩試してみてはいかがでしょう。