ラグーのリゾット添え

人気店のシェフに2つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピと、プロの技のレシピをご紹介していきます。9月は、目黒にあるイタリアン『リストランテ カノビアーノ』のシェフ・植竹隆政さん。今回は、プロの技のレシピ「鶏レバーと砂肝、ドライポルチーニのラグー チコリとしいたけのリゾット添え」を教えていただきました。また、10/16(金)~11/19(木)の期間中は、伊勢丹新宿店B1F キッチンステージで、実際にこちらのメニューがいただけるので、ぜひチェックしてみてください。

今回教えていただくのは、鶏レバーと砂肝で作るラグーに、リゾットを組み合わせたお店でも人気の味です。プロの味に近づけるためには、本格的なリゾットの作り方をマスターしましょう。成功の秘訣は、米の中心にやや芯が残るアルデンテに仕上げること。米の粘りを出さずに、一粒一粒の存在感を感じるアルデンテに仕上げるためには、いくつかのコツがあります。

「米の温度を下げないように、チキンブイヨンは“温めたもの”を“数回に分けて加える”のがポイントです。チキンブイヨンが冷たいと、米が生煮えっぽくなってアルデンテに炊き上がりません。また、一気に大量のブイヨンを注いでしまうと、対流が起こり、米がおどってぶつかり合うため、粘りが出てパラパラに仕上がりません。炊いている最中も、かき混ぜすぎは厳禁です。混ぜすぎると、米の表面が溶けて粘りを引き出す原因になってしまいます。ただ、ガスの火の場合は、鍋の周囲が焦げやすいので注意してください。またチキンブイヨンは、お店では鶏ガラを使ったものを使用していますが、市販の固形ブイヨンを使ってもOKです。その場合は、飲んでみてやや薄いなと感じるくらいがちょうどいいです」

秋らしいこっくりとした味わいのラグーも、応用範囲の広い逸品です。
「鶏レバーと砂肝のラグーは、イタリアでは家庭的な料理として有名です。ショートパスタと組み合わせてもいいし、ブルスケッタにトッピングすれば気の利いた前菜にもぴったりです。バターを加えてペースト状にするのもおすすめです」

ポルチーニはかぶるくらいの水を入れて戻す。やわらかくなればOK。戻し汁もとっておく。

玉ねぎは最初に強火で炒め、透き通ってきたら弱火にして、ポルチーニを入れる。弱火でじっくり玉ねぎの甘さを引き出すのがポイント。「o.e.c. マイティー・スパチュラ(赤)」は、耐熱性と弾力性に優れていて使いやすい。

レバーと砂肝の色が変わったら、ポルチーニの戻し汁を加える。戻し汁は、底にごみや砂などがたまりやすいので、上澄み部分だけ使うこと。

鍋底には凝縮した旨味があるので、ゴムベラでこそげる。

米は洗わずに炒めるのがコツ。米を洗ってぬらすと、水分を吸収しやすくなって粘りが出てしまうし、味を含みにくくなる。ムラなく火が入るように、平鍋がおすすめ。

米がかぶるくらいの温かいチキンブイヨンを、数回に分けて米に加え、アルデンテに炊き上げる。フツフツとした火加減と、米がかぶるくらいの水分量を保ちながら、約11分を目安に炊く。新米を使う場合は10分が目安。

米をアルデンテに仕上げたら、すぐに火を止める。チコリやチーズは余熱で火が通るので、手早くゴムベラで混ぜる。

米の粒が立っていて、微かに芯が残る絶妙な食感のリゾットは、まさにプロの味わいです。シンプルな味わいのリゾットには、肉の旨味が凝縮したラグーが好相性。思わず赤ワインが恋しくなります。

2020年09月10日

レシピ作成
植竹隆政さん
調理時間
30分 ※内準備時間0分

材料2人前

玉ねぎ
1/4個
鶏レバー
80g
砂肝
4個
ドライポルチーニ
10g
EXオリーブオイル
大さじ2
塩、白胡椒、黒胡椒
各少々
80g
チキンブイヨン
800ml
チコリ
40g
しいたけ
2枚(45g)
パルメザンチーズ(おろしたもの)
大さじ2
あればタイムかローズマリー
適量

手順

  1. 1

    ポルチーニは軽く水で洗い、かぶるくらいのぬるま湯(100mlくらい)で20〜30分戻して、みじん切りにする。戻し汁はとっておく。

  2. 2

    レバーは水でさっと洗って水気をとり、血合いがあれば取り除き、粗めに刻む。砂肝も粗めに刻んで、レバーとともに軽く塩、白胡椒する。

  3. 3

    玉ねぎは5mm角くらいの角切りにする。しいたけは、1cm角くらいに切り、軸の部分は手で細かくさく。チコリは縦半分に切って、5mm幅くらいに切る。

  4. 4

    ラグーを作る。フライパンにオリーブオイル小さじ1を入れて熱し、玉ねぎを加えて炒める。透き通ってきたら弱火にし、ポルチーニを加えて炒める。

  5. 5

    ポルチーニの香りがしてきたら、レバーと砂肝を加える。表面の色が変わってきたら、1の戻し汁の上澄み部分のみ加え、強火にする。ゴムベラで鍋底をこそげながら混ぜ、沸騰したら弱火にし、あればタイムかローズマリーを加えて汁気がひたひたになるまで煮る。塩、黒胡椒で味を整え、オリーブオイル小さじ1を加える。

  6. 6

    平鍋にオリーブオイル小さじ1を入れて熱し、米を加えて軽く炒め、温めたチキンブイヨンを数回に分けて加える。途中でしいたけを加え、米がアルデンテになったら火を止める。オリーブオイル小さじ1、チコリ、パルメザンチーズを加えて混ぜる。

  7. 7

    皿に6を盛り、5のラグーをかける。

撮影/菊池陽一郎 取材・文/岡井美絹子

「リストランテ カノビアーノ」シェフ・植竹隆政さん

1963年、神奈川県生まれ。調理師専門学校を卒業後、原宿の伝説のイタリアレストラン「バスタパスタ」の開業メンバーとして活躍。24歳のときにイタリアへ渡り、現地のレストランで修業を積む。帰国後、「ビゴロッソ」の料理長を経て、1999年に「リストランテ カノビアーノ」を開業し、野菜を中心とした自然派イタリアンを確立する。2017年5月に「ホテル雅叙園東京」内に移転し、「リストランテ カノビアーノ」をリオープン。

SHOP INFORMATION

店名:リストランテ カノビアーノ
住所:東京都目黒区下目黒1-8-1
Tel:050-3188-7570(レストラン総合案内)
営業時間:11:30~14:30LO(土〜15:00LO)、17:30~21:30LO
定休日:無休
https://www.hotelgajoen-tokyo.com/restaurant/shop/canoviano
*10/16(金)から11/19(木)まで、伊勢丹新宿店B1F キッチンステージでメニューを提供中。