
人気店のシェフに2つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピと、プロの技のレシピをご紹介していきます。7月は、横浜にある『SALONE2007』のシェフ・弓削啓太さん。今回は、旬のレシピ「ナスのカポナータ」を教えていただきました。
旬のレシピとして弓削シェフが教えてくれるのは、夏に最盛期を迎える“ナス”を使った「カポナータ」。カポナータというと、野菜がたっぷり入った甘酸っぱいトマトの煮込み料理というイメージが強いかもしれませんが、本来はマリネ料理なのだそう。
「カポナータは、南イタリア・シチリア生まれの家庭料理で、本来は玉ねぎや松の実、ケッパー、ビネガー、トマトでソースを作り、素揚げしたナスを入れるマリネ料理なんです。あれこれ他の野菜は入らない、まさにナスが主役の料理なんですよ」
弓削シェフの手にかかると、伝統料理のカポナータも、見事に期待を裏切られる想像以上の美味しさを投げかけてくれます。イスラエル生まれのファラフェルや、シャーベット状のマグロのスライスも添えられており、おなじみのカポナータとは全く異なるビジュアルと味わいで、新鮮な驚きを与えてくれました。
「カポナータの発祥の地と言われるシチリアは、さまざまな文化が交錯している場所で、ひよこ豆を使ったファラフェルがよく食べられています。新鮮な魚介も豊富なので、カポナータに魚を合わせることもあるんです。今回は、アツアツのファラフェルと、冷たいマグロという、温冷の温度差をつけることで、味わいのコントラストを高めました。口に入ったときに、マグロの旨み、ソースの酸味、ファラフェルのスパイスの香りと、さまざまな味や香りを楽しんでもらえると思います。なんてことない料理も、ちょっと考え方を変えるだけで面白くなりますね」
凍ったままのマグロのブレザオラ(マグロの塩漬け)は、スライサーで薄くスライスする。鋭い切れ味が特徴の「SELECT100 スライサー」を使用。
水で戻したひよこ豆は、フードプロセッサーで、若干粒が残るくらいのペースト状にする。握って形作れる程度になればよい。素材を混ぜたりすくったりと大活躍の「o.e.c. マイティー・スパチュラ(赤)」が便利。
ナスは190℃の高温で揚げることが、油っぽさを感じさせない秘訣。しっかり揚げることで、ナスに含まれる水分を飛ばして旨味を引き出す。
ファラフェルは、表面が香ばしくなればOK。揚げたてを提供したいので、盛り付ける直前に揚げること。