料理教室を主宰する人気料理家の「とっておきの一皿」をご紹介する連載。Kai House Club会員でもある先生方が考案する、教室でも生徒さんから大好評だったオリジナルレシピや、自身にとっても思い入れの深い一品をお届けします。毎日の食卓からおもてなしにまで活躍する、季節感やトレンドを感じられる自慢の味をぜひ試してみてください。
11月26日
パーティーに華を添えるごちそうメニュー
テーブルを華やかに演出してくれるおもてなし料理を、変わらぬ美味しさで家庭でも作りやすくアレンジしたレシピが評判のこだまゆきこさん。今回教えていただいた「ポーピエット ド ヴッフ」はフランスの伝統的な料理ですが、こだまさん流に、簡単かつさらに味に深みを加えているのがポイントです。
「私がル・コルドン・ブルーでこの料理を習った時は、ひき肉を豚肉で巻いてタコ糸でしばるやり方で、自宅でやるにはちょっと面倒な部分もあったんです。そのプロセスは省略し、豚肉の代わりに牛肉を使うことで豪華さをプラスし、さらに、具材には私が大好きなシャンピニオン(マッシュルーム)を加えることで、ボリュームと旨味も格段にアップしました。これから旬のシャンピニオンを満喫できるレシピですよ」
思い出深いエピソードはありますか?
「2010年に初めて開催した料理教室で作ったメニューなんです。実はこのとき、私の友人が生徒さんとして参加してくれていたんですが、ちょうどお誕生日だったので、お祝いのメニューということで選んだんです。手間がかかってそうに見えるわりには手軽に作れるメニューがいいなと思い、このメニューを選びました。友人にも喜んでもらえましたが、生徒さんからも大好評で嬉しかったですね」
美味しく作るためのコツがあれば教えてください。
「シャンピニオンの炒め方が重要です。炒めていると水分が出てくるのですが、これには旨味も溶け出しているので、もう一度シャンピニオンに吸わせるように炒めて旨味を凝縮させるのがポイントです。フライパンに出てきた水分がなくなればOKです。炒めすぎると、今度は水分がなくなりボソボソになって、まとめにくくなるので注意してください」
どんなシーンにオススメでしょうか?
「お店で出てくるような一皿なので、特別な日のディナーやバースデー、これからのシーズンならクリスマスなど、パーティーでのメインディッシュにぴったりだと思います。何時間も煮込んだような複雑な味わいのソースですが、実は煮込み時間は何時間も必要ありません。牛肉も薄切りを使っているので、すぐに火が通ります。茶色っぽい見た目なので、イタリアンパセリの緑やピンクペッパーでおめかしし、白いプレートに盛り付けていただくと、とっても映えると思いますよ。牛肉にフォンドボーとトマトのソースを合わせるので、南フランスのAOCの赤ワインを合わせるのがいいですね」
材料4人分
-
牛薄切り肉
-
400g
-
合いびき肉
-
250g
-
小麦粉
-
適量
-
オリーブオイル(撮影では紅花油を使用)
-
大さじ1
-
塩
-
少々
-
こしょう
-
少々
シャンピニオンデュクセル
-
シャンピニオン
-
100g
-
エシャロット
-
1個
-
ニンニク
-
1片
-
オリーブオイル(撮影では紅花油を使用)
-
大さじ1
-
塩
-
少々
-
こしょう
-
少々
ソース
-
にんじん
-
1/2本
-
玉ねぎ
-
1/2個
-
ニンニク
-
1片
-
オイル(撮影では紅花油を使用)
-
大さじ1
-
トマト
-
1個
-
トマトペースト
-
大さじ1
-
赤ワイン(フルボディがオススメ)
-
100g
-
フォンドヴォー(市販品)
-
300g
-
ローリエ
-
1/2枚
-
塩
-
少々
-
こしょう
-
少々
飾り付け
-
黒オリーブ
-
適量
-
イタリアンパセリ
-
適量
-
ピンクペッパー(ホール)
-
適量
手順
-
1
シャンピニオンデュクセルを作る。エシャロット、ニンニク、シャンピニオンをフードカッターに入れてみじん切りにする(フードカッターがない場合は、包丁で細かいみじん切りにする)。フライパンにオイルを熱し、みじん切りにした具材を炒め、塩、こしょうで調味する。
-
2
ファルス(詰め物)を作る。ボウルに、合いびき肉と①を入れて混ぜ、塩、こしょうで調味してから4等分する。
-
3
牛肉を広げて横半分に切り、幅15cmくらいになるように重ね、塩、こしょうを振り、棒状にした②を包む(直径4〜5cmくらいが目安)。表面に塩、こしょうし、小麦粉をまぶす。これを4個作る。
-
4
鍋にオイルを入れて熱し、③を焼く。全体がきつね色になったら取り出す。
-
5
ソースを作る。ソースの野菜(にんじん、玉ねぎ、ニンニク)をフードカッターでみじん切りにする(フードカッターがない場合は、包丁で細かいみじん切りにする)。④の鍋にオイルを入れて熱し、野菜を炒める。野菜に火が通ったら、トマトペーストを入れてサッと炒め、赤ワインを入れて煮詰め(赤ワインが半量になるまで煮詰める。)、トマト(皮付きのまま一口大に切る)、フォンドヴォー、ローリエを加えて強火にかけ、沸騰したら中火で10分ほど煮込む。④の牛肉を戻し入れ、さらに10分ほど煮込む。最後に塩、こしょうで味を調える。
-
6
⑤から肉を取り出し、2cm幅にカットする。皿に牛肉とソース、オリーブとイタリアンパセリ、ピンクペッパーを飾る。
撮影/結城剛太 スタイリング/鈴木裕子 取材・文/岡井美絹子
PROFILE
こだまゆきこさん
「Salon d’igrekおもてなし料理教室」主宰。日本料理店の家庭に育ち、幼少の頃から祖父母、両親より料理の基礎を学び、学生時代にはフランス留学を経験。フランスの食文化に興味を持つとともに、日本料理の素晴らしさにも気づかされ、現在はフレンチと和食を中心としたおもてなし料理を行い、食の普及に努めています。ちょっとしたコツで格段に美味しくなる、家庭で再現しやすいレシピが人気。企業のレシピ開発やテレビ出演、料理レシピを紹介するなど、幅広く活動中です。https://yukikostyle.amebaownd.com