春菊のグラタン

料理教室を主宰する人気料理家の「とっておきの一皿」をご紹介する連載。教室でも生徒さんから大好評だったオリジナルレシピや、自身にとっても思い入れの深い一品をお届けします。毎日の食卓からおもてなしにまで活躍する、季節感やトレンドを感じられる自慢の味をぜひ試してみてください。

11月12日

テーブルを彩る、変化球グラタン

センスが光る発想で、定番料理を鮮やかにアレンジするのが得意な料理家の茂村美由樹さん。今回教えていただいたグラタンも、春菊をベシャメルソースに加えるという大胆な発想で、教室でも大人気だったそうです。

メニューが生まれたきっかけは?

「もともと春菊は大好きな食材で、和のハーブ感覚で使うことが多かったんです。さっと茹でて塩とオリーブオイルで和えたり、牡蠣と春菊でパスタにしたりして、洋風テイストに仕上げるのも新鮮で美味しいんですよ。あるとき、クリーム系のパスタに春菊を入れてみたら意外と合うことがわかって、ベシャメルソースに入れてみようと思いつきました。さらに、中華料理などで使うアニスを入れてみたら、春菊の香りにピッタリとマッチ!この春菊ベシャメルソースを使ったグラタンを、料理教室の時に一口サイズで提供したところ、生徒さんたちに大好評で『おかわりしたい!』の声が多かったんです。そこで今回は、大皿でシェアして食べるスタイルにアレンジしました」

茂村さんに美味しく作るポイントをお伺いしました。「全体の味のまとめ役として、ほんの少し加えた醤油の香りもポイントなので、省かないでくださいね。また、仕上げのパン粉は、オーブンだけで色をつけようとすると色ムラができてしまうので、ここは丁寧にフライパンでバターと一緒に炒めるのがコツです」

どんなシーンにオススメでしょうか?

「オーブン料理は、華やかに見えるわりに手間がかからないので、おもてなしに大活躍ですよ。一見すごく手間がかかってそうに見えますが、下準備さえしておけばあとはオーブンにおまかせでOKなので意外と簡単なんです。ゲストをお迎えしてからオーブンに入れるだけで作れるし、焼いている間はゆっくりゲストとおしゃべりを楽しめるのもスマートですよね。できたてアツアツのグラタンは、ベシャメルソースとチーズがとろ〜りとろけて最高です。ぜひメニューのひとつに取り入れてみてくださいね」

春菊を加えたベシャメルソースが新鮮な、いつもとはひと味違う変化球グラタンです。美しいグリーンが華やかで、見た瞬間に歓声が上がること間違いなし!これからの季節に恋しくなるアツアツメニューは、パーティの主役にもぴったりです。

2019年11月12日

レシピ作成
茂村美由樹さん
調理時間
30分 ※内準備時間0分

材料キャセロール18×23×5cm

春菊
1束(葉)
じゃがいも(メークイーン)
2~3個
パン粉
50g
バター
10g
グリュイエールチーズ
50g
適量
こしょう
適量

ベシャメルソース

バター
50g
小麦粉
50g
牛乳
250ml
生クリーム
250ml
ナツメグ
少々

フィリング

牛ひき肉
200gくらい
バター
5g
生しいたけ(みじん切り)
5~6枚
醤油
少々
スターアニス(粉末)
少々
少々
こしょう
少々

手順

  1. 1

    春菊は、葉の部分と茎の部分に切り分ける。沸いたお湯に葉を入れ、しゃぶしゃぶのイメージでお湯にくぐらせて2〜3秒くらいで取り出し、すぐに氷水で急冷する。ともに軽く水気を絞り、ミキサーでペースト状にする。(余った茎はお味噌汁やお浸しなどにご利用ください!)

  2. 2

    ベシャメルソースを作る。熱した鍋にバター、小麦粉、ナツメグを入れ炒める。粉気がなくなったら牛乳、生クリームを加え、濃度がつくまで火を入れる。でき上がったら火を止め、①を入れ混ぜ合わせる。

  3. 3

    フィリングを作る。熱したフライパンにバターを入れ、牛ひき肉を加えて塩、こしょうを振り、火が通ったらいったん取り出す。同じフライパンにしいたけを加えて炒め、しんなりしたら牛ひき肉を戻し入れ、醤油、塩、こしょうで味を整え、スターアニスを加える。

  4. 4

    じゃがいもはよく洗い、皮つきのまま蒸気の上がった蒸し器に並べ、かために蒸して(20分くらい)取り出す。皮をむいて粗熱をとり、冷蔵庫で1時間くらい休ませてから厚さ5㎜に切る(じゃがいもが温かいうちはきれいにカットできない。カットするのが難しいようなら、温かいうちに荒くつぶして作ってもいい)。

  5. 5

    フライパンにバターを入れて火にかけ、パン粉を加えて全体的に薄く色づくまで炒める。

  6. 6

    耐熱皿にバター(分量外)を薄く塗り、②のベシャメルソース→③の牛肉→④のじゃがいも→グリュイエールチーズの順に2〜3回交互に重ね、最後に⑤のパン粉を振りかける。予熱した180度のオーブンで5分くらい、おいしそうな焼き色がつくまで焼く。

撮影/結城剛太 スタイリング/鈴木裕子 取材・文/岡井美絹子

PROFILE
茂村美由樹さん

ジュエリーデザイナーから料理家へ転身した多彩な才能の持ち主です。料理でもセンスの良さを生かし、華やかでありながらも簡単なレシピが好評です。もともと料理好きで20代から和洋問わず料理教室に通い、京都の料亭や西洋料理のシェフの料理教室に通っていたそう。現在は、料理教室の主宰、料理イベント、ケータリング、レシピ制作など幅広く活躍中です。Instagram@miyu_25