プロの逸品 鯛のポワレ
ひよこ豆とバカリャウのスープ
プロのレシピ
パワーダウンしがちな季節をおいしく乗り切るための“食べるスープ”
ジメジメと湿気が多く、低気圧の影響で体調を崩す人が続出するシーズンが到来。食欲が落ちる季節こそ、食事は大切です。こんなときの強い味方になってくれるのが、食べやすく、時には食事代わりにもなる「スープ」。ということで、“食べるスープ”をコンセプトにしたスープ専門店「スープストックトーキョー」で、長年レシピ開発に携わってきたフードプランナーの桑折敦子さんに、体を癒して元気を与えてくれるスープのレシピを教えていただいています。
これまで数々のスープを生み出してきた桑折さんですが、その多くは料理とともにライフワークになっている“旅”からインスピレーションを受けているといいます。最終回に教わるのは、桑折さんが最近旅して感銘を受けたというポルトガルをイメージした「ひよこ豆とバカリャウのスープ」。「バカリャウ」とは、塩漬けにしたタラの干物のことで、深いうま味と適度な塩気が特徴。これを加えるだけでシンプルな料理にも奥行きを与えられると、ポルトガルのレストランや家庭で重宝されている国民食です。
干したひよこ豆とバカリャウを戻す時間が必要ですが、調理のプロセスはいたってシンプル。手間は少なく時間がおいしくしてくれるから、疲れた日にも作りやすいうれしいレシピです。適度な食べ応えもあり、食欲のない日の一食としてはもちろん、遅くまでがんばる日の夜食にもおすすめです。
タラを塩漬けにした干物「バカリャウ」は、15~17世紀初頭の大航海時代に、ヨーロッパの人々が果敢にトライした遠洋航海を支えた保存食。水で戻す時間が足りないと塩気が強く、戻し過ぎると味が抜けてしまうので、8時間ごとに水を変え、ときどき味をみながらほのかに塩分が残る程度で引き上げてください。また、バカリャウが入手できない場合は、干しダラか、塩を多めにふった生タラで代用できます。
ゆでたひよこ豆は、ハンドブレンダーなどですり潰し、スープにとろみを与えます。この自然のとろみのおかげで、お腹に優しくたまる軽食系のスープになるだけでなく、口に含んだときにうま味をよりしっかり感じられるのもポイントです。

ひよこ豆と塩漬けしたタラの干物・バカリャウを使ったごちそうスープ。どちらも保存食なので、併せて家にストックしておけば、思い立ったときに手軽に作れるレシピです。
2018年06月18日レシピ作成 | フードプランナー 桑折敦子さん |
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調理時間 | 40分 ※内準備時間0分 |
材料4人分
ひよこ豆
120g
バカリャウ(干し塩ダラ)
50g
玉ねぎ(みじん切り)
160g
にんにく(みじん切り)
1片
トマトペースト
15g
ローリエ
1枚
白ワイン
大さじ1
オリーブオイル
塩
こしょう
作り方
下準備
1.
ひよこ豆は軽く水洗いし、たっぷりの水に浸けて一晩置く。バカリャウは、水に24時間浸けて戻す。8時間ごとに水を変える。
作り方
1.
戻したひよこ豆、ローリエ、塩小さじ1を鍋に入れ、やわらかくなるまでゆでる。ゆで汁はとっておく。
2.
別の鍋にオリーブオイル大さじ2とにんにくを入れ、香りが出るまで弱火で炒める。十分に香りが出てきたら玉ねぎを加え、薄く色づくまでじっくり炒める。
3.
2に戻したバカリャウを加えてほぐしながら炒め、白ワインとトマトペーストを加えてさらに炒める。ひよこ豆とゆで汁400cc(足りなかったら水を足す)も加えて、そのまま15分煮込む。
4.
盛り付け用にひよこ豆6~8粒を別の器に取り分け、残りをすべて鍋の中でハンドブレンダーを使ってすり潰す。
5.
塩適量、こしょう適量で味を調え、好みで水を加えて食感を調える。器に注ぎ、4で取り除いておいたひよこ豆とオリーブオイル適量を添える。
撮影/川上輝明 取材・文/江原裕子
愛用道具
毎日の調理の手間を軽減してくれるハンディブレンダー、「Kai House SELECT クイックブレンダーDX」(貝印)。つぶす、混ぜる、泡立てるといった作業をこれ1台でこなすことができ、料理の幅を広げてくれます。スイッチを押した後に徐々に回転スピードが上がる「スロースタート機能」搭載で、食材の飛び散りを防いでくれる親切設計。
シェフ紹介
桑折敦子(コオリ アツコ) さん
料理家。フードプランナー。東京都内の飲食店勤務を経て、2004年に「スマイルズ」入社。同社が運営する「スープストックトーキョー」の商品開発を中心に、スマイルズが手掛ける飲食業態全般の商品開発に携わる。2017年に独立し、フードプランナーとして活躍の幅を広げている。無類の旅好きで国内外を問わずさまざまな場所を定期的に訪れ、旅先での出会いや体験をヒントに開発したレシピも多数。