メディアやSNSで目にする話題の料理のレシピを、その第一人者に教わるスペシャル連載。最終回は、老若男女に愛され続ける「フルーツサンド」が登場!
人気パーラー直伝! 見目麗しいフルーツサンド作りを学ぶ
食パンと食パンの間に顔を覗かせるのは、甘酸っぱいフルーツとリッチな生クリーム。日本発祥のレトロなサンドイッチ「フルーツサンド」が、ここ数年にわたって注目を浴びています(ちなみに、いつ、どこで生まれたかは諸説あり)。萌え断ブームもあいまって、人気のフルーツサンドを提供するフルーツパーラーやレストランには、女性を中心に連日ファンが押し寄せています。
でも、食べたいときにいつでも足を運べる人はほんの一握り。ならば、おいしいフルーツサンドを自分でも作れるようになりたい。それも名店の味を…!という贅沢なお願いを快く引き受け、レシピを公開してくれたのは、東京・赤坂と梅ヶ丘に2店舗を構える「ホットケーキパーラー Fru-Full(フルフル)」。東京・神田の老舗フルーツパーラーで20年以上働いていた2人の職人がはじめたお店で、その味を継承し、昔からの常連や新しくファンになった女子、甘党の男性など、老若男女に愛されています。今回は梅ヶ丘店店長の其田秀一さんが、自慢のフルーツサンドの作り方を教えてくれました。
要所要所でポイントを押さえて、プロの味に!
シンプルなレシピだけに、素材選びが肝心。フルーツはなるべく質のいいものを選びましょう。「甘味が詰まっていることは大切ですが、熟しすぎてやわらかいものはフルーツサンドには向きません。たとえばバナナなら、斑点が出る直前くらいのものが甘さと硬さがちょうどいいです」。また食パンは、スーパーなどで手軽に買える種類がベストとか。「流行りのバターやミルクの含有量が多いタイプの食パンは、フルーツの味とケンカしてしまう。また、もちもちしすぎない普通の食パンの方が歯切れがよく、フルーツサンドにはおすすめです」
何度も試作を重ね、美しい切り口にするために考案された並べ方がこちら。また、使用する4つのフルーツも、さまざまなフルーツサンドを作り続けた経験によって生み出した黄金の組み合わせ。お店でもこの組み合わせは変えていないそうです。「パパイヤのオレンジといちごの赤が利いていますね。パパイヤはハワイ産、キウイはニュージーランド産と国産の旬のもの、バナナはエクアドル産、いちごは国産のそのときの旬の品種を使っています」
フルーツと共に主役級の働きをする生クリーム。フルフル流は甘さ控えめのものをふんだんに絞ります。「クリームには生乳から作られる動物性の生クリームと、植物性脂肪を使ったホイップクリームがあります。動物性の生クリームは乳脂肪の味と香りがよく、植物性のホイップクリームはふわっと軽くてあっさりした味わい。お店では、乳脂肪分47%のコクのある純正生クリームと植物性クリームを混ぜて使っていますが、ご自宅ではお好みのものを選んで作ってください」
フルーツとクリームをのせた食パンにもう1枚の食パンをかぶせたら、形が崩れないように注意しながら上下を返します。「上に絞ったクリームを下の位置に変えて切ると、カットするときに包丁についたクリームをフルーツがぬぐい取ってくれます」
肝心の美しい断面を作るためには、よく切れる包丁を使うのもポイント。包丁は温めておいてからカットすると、きれいな切り口に。
とてもシンプルですが、丁寧に作ることで極上の味に。このレシピで、フルーツサンドのおいしさに目覚めること間違いなし! 通年入手できるフルーツを使っているので、家族や友人へ振る舞ったり、自分へのご褒美として好きなだけ味わったり、さまざまなシーンでお楽しみください。