シメサバのミキュイ

人気のシェフにプロならではの素材や調味料の選び方、食材の組み合わせ、テクニックを教えてもらう連載企画。私たちにも馴染みのある「焼きなす」がおしゃれなソースに変身。冷凍させたフランボワーズの甘酸っぱさも、脂ののったサバの旨味を引き立てます。

ベリーの酸味と焼きなすの香ばしさのハーモニー

三重県のフランス料理店「ラ・パルム・ドール」や都内の「アピシウス」といった名店で研鑽を積んだ後、南仏やパリでも働いた経験を持つ、植松裕喜シェフ。「calme」ではフランス料理の技術を根底に、素材を生かした軽やかな皿を展開。オーナーソムリエの佐野敏高さんが選ぶ厳選ワインとの相性は抜群です。

「季節感が出しやすいので魚料理が好きなんです」という植松シェフが、今回教えてくれたのは「シメサバのミキュイ 焼きなすソース、フランボワーズ和え」。

レアで仕上げるので、新鮮なサバを手に入れてください。新鮮なサバの見分け方は身に張りがあること、目が淀んでないこと。一尾購入する場合は、すぐに内臓を出してください。
骨がある場合はそのままで。この状態で骨抜きをすると、身が崩れてしまいます。マリネした後であれば身を崩さずに骨を抜くことができるそうです。

サバの身の方にだけ塩をまんべんなくまぶし、常温でそのまま30〜35分ほど置いておきます。塩の分量はサバの重量の3%を目処にしてください。常温で置いておくのは塩をなじみやすくするためです。

サバの塩を冷水で洗って取り、米酢でマリネします。ペーパータオルでサバの身を包み、その上から米酢をスプーンでかけていきます。漬け込むよりも、米酢を無駄なく使うことができるとあって、植松シェフ、さすがのアイディア!

5分〜7分で軽く表面が白っぽくなるので、真空パックにして冷凍庫に。真空機がない場合は、ビニール袋に入れ空気を抜いて封をしてください。マイナス20℃で24時間以上冷凍します。これはレアで食べるためのアニサキス対策です。料理に使う前日に冷蔵庫に移し、自然解凍させてください。

解凍したサバの身から骨抜きで骨を抜き取ります。

細かい骨もあるので、身をさわってみて確認してみてください。

ここで、焼きなすのソースを作ります。なすのへたを取り、熱の伝達をよくするために、千枚通しなどで穴を開けます。破裂を防ぐ役割もあり、一石二鳥!

ガスコンロに網を置き、中火の直火で真っ黒になるまでなすを焼きます。写真ぐらいになるまでが理想です。

焼きあがったなすを冷水に落とし、皮をむきます。ナイフの背などでこそげとると焦げた皮が簡単に剥がれます。なすはペーパータオルでよく水気を切りましょう。

焼きなすを一口大ほどに切り、コラトゥーラとしょうがの絞り汁を入れて、ミキサーやフードプロセッサーで滑らかなピューレ状になるまで攪拌します。できあがった焼きなすのピューレは茶こしやザルなどで漉して、さらになめらかにします。


マリネしたサバを焼きます。フッ素加工のフライパンにEX.バージンオリーブオイルを入れて、半分に切ったサバのフィレの皮目を下にして置き、中火で火にかけます。「フライパンが冷たいうちにEX.バージンオリーブオイルを入れて、サバを入れることが重要です。フライパンが熱くなってからサバを入れると、皮目が縮んで身が反ってしまいます」と植松シェフ。


万が一、皮目が反ってきたら、フライ返しなどで身を上から押さえて、皮目全体に焼き目がつくようにします。皮はパリッと、焼き色は写真ぐらいつくのがベストです。

1 2

サバのマリネを皮目をパリッと中はレアで焼き、フランボワーズの酸味、香ばしい焼きなすのピューレと一緒にいただく、素材そのもののおいしさを楽しむ一品。フランボワーズの赤色がチャーミングな雰囲気で、白ワインやピノ・ノワールとも合います。

2019年09月23日

レシピ作成
「Calme(カルム)」 植松裕喜シェフ
調理時間
40分 ※内準備時間20分

材料2人分

サバ(半身)
250g
粗塩
7.5g
米酢
50ml
フランボワーズ(冷凍)
3個分
フランボワーズビネガー
5g
EX.バージンオリーブオイル
10g
なす(中)
2本
コラトゥーラ (魚醤、しょうゆでも可)
10g
しょうがの絞り汁
5g
ミックスハーブ(サラダ用)
適量

手順

  1. 1

    サバに腹骨と中骨がついていたら、そのままの状態で塩を身の方だけにまんべんなくふりかけ、約30〜35分ほど常温でそのままにする。

  2. 2

    冷水でサバの粗塩を流し、バットに置き、キッチンペーパーをかぶせて米酢をかける。5分〜7分で軽く表面が白っぽくなるので、ビニール袋に入れてマイナス20℃で24時間冷凍。使う前日に冷蔵解凍して、腹骨とすき中骨を抜く。

  3. 3

    焼きなすのソースを作る。なすはヘタを落とし、熱の伝達を良くするために細い針で数箇所に穴を開ける。ガスコンロに網を置き、火をつけて赤くなるまで空焼きし、なすを真っ黒に焦げるまで焼く。冷水に落として、手で皮を剥いたらよく水気を取り、適当な大きさに切る。ミキサーかフードプロセッサーに入れて、コラトゥーラ、しょうが汁を加えて撹拌し、なめらかなピューレにする。茶こしやザルなどで漉すとよりなめらかに。

  4. 4

    2のサバのフィレの部分を半分に切ったら、フッ素加工のフライパンにEX.Vオリーブオイルを入れて中火で火にかける。途中、サバが軽く反るようなら、フライ返しで軽く抑えることできれいに焼くことができる。皮がパリッと香ばしくなったら、裏返して身の面をさっと焼いて取り出す。

  5. 5

    1:1の分量のフランボワーズビネガー(分量外)とEX.バージンオリーブオイル(分量外)、好みの量の塩、白こしょうをボウルで混ぜ合わせる。サラダ用のミックスハーブを加えてざっくり混ぜ合わせ、皿に盛る。

  6. 6

    皿に3を丸くのせて平たくならし、その上に4を乗せて、冷凍フランボワーズを手で軽くほぐしてサバの上にあしらう。フランボワーズビネガーを数滴かける。

撮影/大木慎太郎 取材・文/高山裕美子

世界各国の飲みごろのワインを揃え、グラスワインは¥900〜、ボトルは¥6,800〜。右から仏・ブルゴーニュのピノ・ノワール「アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムール ルージュ」、中央は同じ生産者の「シャブリ ユムール・デュタン2017」、左はオーストリアの「ニコライホーフ リースリング」。

シェフ紹介
植松裕喜(ウエマツ ヒロキ)さん
1984年生まれ。三重県・津市にあるフランス料理「ラ・パルム・ドール」、東京・銀座のグランメゾン「アピシウス」などを経て渡仏。南仏やパリのビストロ、レストランで働いたのち帰国。東京・白金高輪「ラ・クープ・ドール」でスーシェフを務める。2016年6月の「calme」オープンと同時にシェフに就任。

SHOP INFORMATION
店名:calme(カルム)
住所:東京都目黒区大橋1-2-5 新村ビル2F
Tel: 03-6455-1932
営業時間:月〜金曜18:30〜23:30(21:30L.O.)、土曜12:00〜14:30(13:30L.O.)、18:00〜22:30(21:00L.O.)
定休日:日曜、不定休
エリア:東京・池尻