人気店のシェフにプロならではの素材や調味料の選び方、食材の組み合わせ、テクニックなどを教えてもらう連載企画。フランス料理のエッセンスが随所に感じられる贅沢なサラダは、ためになるアイデアが満載です。
温かいドレッシングのご馳走サラダ
「銀座レカン」の元料理長である高良康之シェフが昨年10月に独立し、「レストラン ラフィナージュ」をオープン。国内外の厳選された食材の良さを引き出しつつも、真のフランス料理とは何か、そしてフランス料理のさらなる可能性を感じさせる高良シェフの料理は唯一無二と言えます。
今回、高良シェフが提案してくれたのは、手に入りやすい豚バラ肉を使った野菜たっぷりのご馳走サラダ。「豚バラ肉は塊が手に入らなかったら薄切りでもおいしく作れます」と高良シェフ。バージョン違いの作り方を教えていただきました。
高良シェフが豚バラ肉をふっくらおいしく焼くテクニックとして提案してくれたのは、鉄や鋳物のフライパンと網を使う方法です。
まず今回使用する材料がこちら。野菜のサラダに使う葉物は大きめにちぎり、食感をパリッとさせるために氷水に浸けます。パプリカ、湯むきしたトマト、きゅうり、軽く塩茹でしたアスパラは(写真左のバット)、冷蔵庫に入れて、盛り付ける直前まで冷やします。丁寧な下処理がおいしいサラダを作るポイントです。
豚バラ肉に塩をします。この時、こしょうはふりません。「塩は海水からの産物で水分を含むことで海水に戻るイメージですが、こしょうは植物。焼いたときに焦げて、匂いの原因になります」。今まで何も疑問を持たずに塩こしょうしていた……そんな人も多いはず。高良シェフの説明に納得。
高良シェフが教えてくれた肉を焼くときのテクニックが、フライパンと網のダブル使いです。フライパンに網(1cm以上の高さ)を入れ、その上に豚バラ肉をのせ、火をつけます。この技で、豚肉から出る脂で肉の表面を燻すことで旨みが増します。グリルパンなど浅めの溝の調理器具だと、肉から落ちた脂に肉が浸り、脂っぽい仕上がりになることもありますが、これならば安心です。
時短で調理したい場合は蓋をして中火で加熱して蒸し焼きに、蓋がない場合は弱火で加熱します。
豚バラ肉を焼いている間にヴィネグレットソースを作ります。オリーブオイルを鍋に入れ、みじん切りにしたエシャロットを弱火で香りが出るまでゆっくり炒めます。「玉ねぎだと甘ったるくなってしまうので、ぜひエシャロットを使ってください」と高良シェフ。
香りがたってきたら塩を加え、白ワインを入れて煮詰めてアルコールを飛ばした後、バルサミコ酢を加えてひと煮立ちさせて火を止め、塩、白こしょうを加えて味を整えます。
豚バラ肉に写真のような焼き色がついたら裏返し、3分ほど焼きます(中火で焼いていた場合は弱火にします)。
薄切りスライスの豚バラ肉を使用する場合はこちら。豚バラ肉は包んであった下紙があれば、そのまま一緒に3等分に切り、片面のみ塩をします。「豚バラ肉の薄切りスライスでしたら、どこのスーパーマーケットでも手に入りやすいですからね。焼く時間も短くて済みます」と高良シェフ。
フライパンの網に下紙が付いたままのせて、剥がせば手が汚れません。すぐに豚バラ肉に火が通るので、蓋をせずに調理します。焼き目がついたら裏返して、反対側も軽く焼き目がついたら豚バラ肉を鍋から降ろします。