人気店のシェフに3つのレシピを教えてもらう新連載がスタートしました。思い出のレシピ、お店で人気のまかないレシピ、そして旬の食材を使ったレシピの中から、ひと皿ずつ紹介していきます。10月のゲストにお迎えするのは東京のレストランシーンをリードし続ける『アロマフレスカ』の原田慎次シェフ。イタリアンの名店『ヂーノ』にて19歳でスタートさせたキャリアの中から、今回のお題「人気のまかない」として選んでくれたのはカレーうどんです。ベースとなるのは特製ミートソース。薄切りの豚肉をとろとろになるまで煮込むソースは、原田シェフならではのアイディアが詰まっています。
銀座『アロマフレスカ』のメインダイニングに立つ原田慎次シェフ。
おいしいと思ったまかないは必ず褒める
『アロマフレスカ』では、月・水・金のまかないはパスタの日と決まっています。イタリアンの主役となるパスタの力をしっかり付けてほしいという思いから。いっぽう、火・木・土はフリースタイルと呼ばれる日。このカレーうどん以外にも、マーボー茄子やチキン南蛮、ひやおろし蕎麦も登場するそうです。多いときは18人のスタッフで一緒に食事をとります。「同じ材料でも、作る人によって全然違うのがまかないの面白いところ。おいしかったものは必ず褒めるようにしています」。
豚の甘みをとことん引き出す“ふわふわ”のミートソース
まかないの中でも特に人気なのは、今回ご紹介するミートソースで作るカレーうどん。使用するのは、しゃぶしゃぶに使うような薄切りの豚バラ肉。1時間かけて煮込むことで肉の筋や繊維まで柔らかくなり、泡立て器で混ぜた時にはほろほろと崩れるくらいになります。パスタやラザニアにも使えて重宝するメニューです。
まずフライパンにオリーブオイルをひき、くし切りにした玉ねぎを炒めます。
玉ねぎが薄く色付きはじめたら、塩胡椒しておいた豚肉を加えます。このとき、玉ねぎの上に豚肉で蓋をして蒸し焼きにするようにします。「ここで豚肉に焼き色がついてしまうと、どうしても仕上がりが固くなってしまうんですよ。ふわふわに仕上げるのがこのレシピの大事なポイントです」(原田さん)
肉の色が変わったら、オレガノ、白ワイン、ブイヨン、つぶしたホールトマトを加え、弱火で1時間煮込みます。
約1時間煮込んだ状態がこちら。泡立で器を持ち、リズミカルにほぐしていきます。
豚肉も玉ねぎも、細かくほぐれてふわふわのソースができました。「玉ねぎだって、溶けこんでしまうくらい柔らかいでしょう?だから最初にわざわざみじん切りする必要がないんです」
ベースとなるミートソースができたら、カレーうどんのスープ作りをはじめます。鍋に2倍濃縮のめんつゆ、水、カレー粉、砂糖、そしてミートソースを加えてひと煮立ちさせます。
茹でておいたうどんにスープをかけ、ねぎの青い部分をのせて、この日のまかないのできあがりです。
この日原田シェフが使ったのは、人気シリーズo.e.c.のフライパン25cm(ふた付)と、関孫六 フレキシブルナイフ。ナイフは刃がしなり、骨付き肉の切り分けから野菜の皮むきまで重宝します。
撮影/中村香奈子