日本では「イタ飯(めし)」とも呼ばれ、特別な日に選ばれることも多いイタリアン。華やかなイメージのある料理ですが、その調理法は、素材の良さを引き出すシンプルなもの。今月は、そんなイタリアンの魅力を日本に広め、“イタリアン=かっこいい”というイメージを浸透させたカリスマシェフに逸品レシピを習います。
アワビの食感がアクセントの贅沢な冷製パスタ
大好評の連載『プロに教わる逸品レシピ』。3月のテーマは、お待ちかねのイタリアン。教えてくれるのは、東京・南青山「テストキッチン エイチ」料理長、山田宏巳シェフです。
2018年、料理人歴50年を迎えた山田シェフは、日本にイタリアンブームを巻き起こした立役者のひとり。自由な発想と斬新なアイデアで数々の名料理を生み出し、素材の持ち味を活かすイタリア料理の魅力を広く伝えてきました。なかでも、「冷たいトマトのカッペリーニ」は、ざるそばをヒントに、イタリアにはない冷製仕立てにした山田シェフの代表作。2000年の沖縄サミットでは、イタリア首相の専属料理人を務めるなど、その実力は折り紙付きです。
そんな山田シェフならではの、素材の活かし方が学べる3つの料理。第1回目は、貝を使った冷製パスタ「エゾアワビのボンゴレ風」を習います。「あえて、インスタ映えは狙わずに、味重視のレシピです」と山田シェフ。さっそくポイントをチェックしていきましょう。
ソースの主役となるエゾアワビ。小ぶりながら、身が厚く引き締まったエゾアワビは、濃いうま味と、コリコリした歯ごたえが特徴です。「身を刻んで混ぜることで、エゾアワビならではの食感が楽しみます」
今回使用したパスタは、細長く平たいリボン状のタリアテッレ。こちらは、ビーツを練り込んだ「テストキッチン エイチ」オリジナルの手打ち麺で、残念ながらお店に足を運ばないと食べられません。ご自宅で作るときは、市販のお好きな麺で作ってください。
ソースは、生クリーム、太白ごま油、塩の3つで味を決め、そこにレモンで酸味を加え、最後にオリーブオイルで味を締めます。ソースの各材料は少量ずつ加えてその都度味をみて、足りない味を加えながら調味し、好みの味に仕上げていくとよいそうです。また、カッペリーニのような細い麺を使用するときは、タリアテッレのときよりもソースの量は少なめでよいでしょう。
ソースに使用するオイルは、太白ごま油とオリーブオイルの2種。香りやクセのない太白ごま油は麺などと和えるために、オリーブオイルは味の仕上げとして使います。また、酸味となるレモンは、冷製パスタには重要な存在。さっぱりと食べられるうえ、味にほど良い角を立ててくれます。なお、レモン汁を生クリームや太白ごま油と一緒に混ぜると分離してしまうため、必ず後から加えましょう。