塩糀チキンのグリル

料理のプロフェッショナルにレシピの極意を教わる連載。料理教室を主宰する「料理の先生」が、リクエスト率ナンバーワンの人気レシピを紹介します。おいしさはもちろん、生徒たちに愛される理由が満載のメニューに隠れた秘密を探ります。

>>おしゃれでおいしいレシピはまだまだこちらでも!

お正月のおもてなしにも喜ばれる料理

旬の食材を使ったおつまみやおもてなし料理を教える、料理家の田島明日香さん。日本各地の郷土食材に造詣が深く、和のエッセンスを加えた料理を得意としています。また、広告やカタログ制作の現場でスタイリングを手掛けるなど、フードスタイリストとしても活動。器と料理を合わせるコーディネートや盛りつけレッスンを行ったり、洗練されたセンスを活かした各種レシピ考案やイベントのケータリングを行ったりするなど、食をより豊かに美しく楽しむ方法を提案しています。

そんな田島さんが紹介してくれた、生徒に人気の高い料理が「塩糀チキンのグリル」。自家製の塩糀に3日間漬け込んだ鶏もも肉をオーブンで焼くだけの簡単レシピです。生徒たちからは「冷めてもやわらかくておいしい!」「簡単で、確実においしく作れる!」「アレンジの幅が広くて助かる」というコメントが多数寄せられ、生徒の自宅でのリピート率の高い一品だそうです。

「鶏肉を塩糀に長時間漬け込むことで、お肉がやわらかくなり、味が安定します。放っておくだけで熟成が進んで味が決まるので、ちょっとしたおもてなしはもちろん、毎日の食事作りにも活躍してくれます」

塩糀は、市販のものを使う方が便利だと思いがちですが、自家製塩糀なら塩分濃度がわかりやすく、失敗知らずだと田島さん。自分で作った塩糀を使うことで、どんなに家事や仕事で忙しいときも“いつもの味”が簡単に、確実に再現できることも、生徒たちに喜ばれているポイントだそうです。

「塩糀は、素材の味を底上げしてくれるので、我が家では欠かすことのできない万能調味料。冷蔵庫には、塩糀に漬けた鶏肉や魚が常にスタンバイし、予備の糀もストックしています。最初の仕込みに使う水は、糀の活動を活発にするため、一度煮沸させてから人肌まで冷ましたぬるま湯がベストですが、水でもOKです」

また、「塩糀チキンのグリル」をベースにした、多彩な展開レシピが作れるのも大きな魅力。おもてなしには、一口サイズにカットしてピンチョスに。野菜と合わせてサラダ仕立てに。さらに、炊き込みご飯や唐揚げにもアレンジできます。

「お酒と合わせるときも万能で、お好きなアルコールと一緒にお楽しみいただけます。特に相性がいいのは、ワインならスパークリングかさっぱりとした白。日本酒は、『豊賀』や『居谷里』といった旨口のお酒がおすすめです」

鶏もも肉を自家製塩糀に3日間漬け込めば、時間がおいしくしてくれるうれしいレシピ。冷めてもやわらかいので、お弁当のおかずにもぴったり。また、柑橘、柚子胡椒などの調味料、ハーブ類を添えれば、手軽に味の変化を楽しめます。

2018年12月24日

レシピ作成
「器とおつまみとおもてなし料理 ちろり」田島明日香さん
調理時間
60分 ※内準備時間30分

材料4人分

鶏もも肉(皮付き)
1枚(300g)
自家製塩糀(塩分濃度35%)
大さじ1

自家製塩糀(作りやすい分量)

米糀
200g
70g
ぬるま湯または水
適量

手順

下準備/自家製塩糀を作る

  1. 1

    ボウルに米糀と塩を入れ、手で全体をよく混ぜ合わせる。糀のかたまりがあればほぐす。瓶やふた付きの保存容器などに移し、ひたひたになるまでぬるま湯を注いで混ぜる。そのまま15分ほど置き、糀が水を吸って水位が下がったら、再度ひたひたになる量の水を加える。

  2. 2

    常温に置き、様子を見ながら1日1~2回全体を混ぜ、発酵させる。発酵日数は、気温によって3日~1週間程度。糀がやわらかくなってとろみがつき、いい香りがしてきたらでき上がり。冷蔵庫に入れて保存する。

作り方

  1. 1

    鶏もも肉は筋を切り、厚い部分は包丁で切り込みを入れる。ビニール袋に鶏もも肉、塩糀を入れて揉み、冷蔵庫で3日間寝かせる。

  2. 2

    1の鶏もも肉をビニール袋から取り出し、塩糀を流水で洗い流し、水気を除く。オーブンまたはグリルで15~20分ほど、皮目にしっかり焼き色がつくまで焼く。

  3. 3

    2の粗熱を取ってからカットし、器に盛る。お好みで、柑橘や柚子胡椒、マスタードを添える。

撮影/神林環 スタイリング/小坂桂 取材・文/江原裕子

PROFILE
田島明日香(タジマ アスカ)さん
東京都出身。ハウスメーカー勤務後、インテリアコーディネーター資格を取得。インテリアコーディネーターとして働いたのち、「祐成陽子クッキングアートセミナー」を卒業。フードコーディネーターアシスタント等を経て、2013年にフードスタイリストとして独立。2016年、食を通じて和ごころを伝える料理ユニット「ちろり」を結成。自宅で不定期のワークショップを開催するほか、さまざまなフードスタイリングを手掛ける。2019年1月、東京都武蔵野市にアトリエをオープン予定。共著に『ストックおかずで今日のごはん』(JTBパブリッシング)。
 

LESSON INFORMATION
教室名:器とおつまみとおもてなし料理 ちろり
2~6名までの実習形式。手前味噌をはじめ、旬の食材を使ったおつまみやおもてなし料理など、季節の手仕事を主体にしたレッスン。日本酒やワインとのペアリング、器と料理を合わせるコーディネート、盛りつけ方なども学べる。
エリア: 東京都武蔵野市
URL: http://asucat.com/