毛ガニのかに玉

人気店のシェフに2つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピと、プロの技のレシピをご紹介していきます。11月は、神楽坂にある中華『ENGINE(エンジン)』の料理人・松下和昌さん。今回は、プロの技のレシピ「毛ガニのかに玉」を教えていただきました。

見た目も味も、これまでの“かに玉”のイメージを一新する松下さんのかに玉は、まさにカニが主役!
「よくあるかに玉って、カニの味がしないじゃないですか(笑)。ちゃんとカニの味がするかに玉を作りたかったんです」

一口食べればカニの風味が口いっぱいに広がる贅沢な味わいですが、メインの材料は、カニの身と卵の2つといたってシンプルで、調理時間も5分ほどとスピーディ。余計な調味料でごまかしがきかないからこそ、プロの技が光ります。

「卵をふわふわにしたくて考えたのが、最初に卵を半熟状に炒めてからいったん取り出し、最後にもう一度炒めたカニの身と練るように混ぜ合わせる方法です。かに玉って炒め物だと思っている方が多いと思いますが、僕の中では“練り物”という位置づけですね。火加減はずっと強火で手早く、卵とカニの身を練り合わせるイメージで作ってみてください」

カニのむき身と生姜のせん切りはボウルに合わせておく。「生姜が太いと味が強く出るので、できるだけ細く切ってください。カニのむき身には蟹味噌も混ぜておくと味わい深くなります。手軽に作るなら、カニの缶詰を使ってもかまいません」

カニの身を炒めて調味し、とろみをつけたら、半熟に炒めた卵を戻し入れる。

お玉ですばやくかき混ぜながら、卵とカニの身をよく混ぜ合わせる。「炒めるというより、よく練り混ぜるイメージで手早く作業してください」

絶妙なトロトロ感の卵と、風味たっぷりのカニの身が一体となり、これぞ“真のかに玉”と膝を打ちたくなる贅沢な味わいです。

2020年11月12日

レシピ作成
松下和昌さん
調理時間
5分 ※内準備時間0分

材料2人分

毛ガニ(むき身)
35g
2個
生姜(せん切り)
2g
大さじ1
紹興酒
80g
鶏ガラスープ
100ml
塩、砂糖
各ひとつまみ
白胡椒
少々
水溶き片栗粉
適量
ネギ油
大さじ1

手順

  1. 1

    ボウルに卵をほぐし、油を熱した中華鍋で半熟に炒めてボウルに戻す。

  2. 2

    1と同じ中華鍋にネギ油を入れて熱し、カニの身と生姜を加えて軽く炒めて紹興酒を加え、アルコール分が飛んだら鶏ガラスープを加える。

  3. 3

    塩、砂糖、胡椒で味をととのえ、水溶き片栗粉でとろみをつけて、1の卵を戻し入れてお玉でよくかき混ぜる。

撮影/田尻陽子 取材・文/岡井美絹子

松下和昌さん
1978年、大分県生まれ。高校時代に「小さな飲食店をやりたい」と将来をイメージし、調理師専門学校へ。卒業後は数々の有名店で修行し、独自のセンスと技術を磨く。赤坂の中華の名店「うずまき」の立ち上げ時には、30歳の若さで料理長に抜擢。約7年間厨房に立ち続けた後、2015年2月に独立し、「ENGINE」をオープン。店名は、人と人との“縁”を大切にしながら、人類の進化の過程である“猿人”のように料理も進化し続けたいとの思いを込めて名付けられた。

SHOP INFORMATION
店名:ENGINE(エンジン)
住所:東京都新宿区神楽坂5-43-2 roji神楽坂1F
Tel:03-6265-0336
営業時間:11:30〜13:30LO、18:00〜22:00LO(火、木は夜のみ)
定休日:日、祝、第3月