牡蠣と豚肉の炊き込みご飯

人気店のシェフに2つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピと、プロの技のレシピをご紹介していきます。2月は、南青山にある中国料理『慈華(イツカ)』の料理人・田村亮介さん。今回は、旬の食材を使ったレシピ「牡蠣と塩漬け豚肉の炊き込みご飯」を教えていただきました。

塩と塩麹に漬け込んで味わいを凝縮させた塩豚と、今が旬の牡蠣を組み合わせ、土鍋で炊き込みご飯にしました。寒い時期にピッタリの体も心も満たされるメニューです。

「中国では、豚肉と牡蠣は一緒に使うことが多い組み合わせなんですよ。とくに、上海人は大好きですね。豚の旨みと牡蠣の風味が相乗効果で底上げされ、ふっくら炊き上がったお米には、その味が余すことなく閉じ込められています。今日使った牡蠣は、北海道の厚岸湾の端に位置する仙鳳趾産のもので、身が大きく、濃厚でコクのある味わいが特徴です。北海道や東北の牡蠣は、大ぶりでクリーミーなのでおすすめですよ。牡蠣はご飯と一緒に最初から炊くのではなく、蒸らし時間に加えてふんわりと火を通すことで、身はしっとりと、牡蠣そのものの風味もしっかり味わえます」

応用範囲が広く、あれば重宝すること間違いなしなのが田村さん流の“塩豚”。
「豚肉に対して、塩麹と塩を5%ずつで漬け込むのがポイントです。塩は岩塩や焼塩などの旨みがあるものがよいでしょう。塩麹の力で、豚肉はしっとり柔らかく、塩だけでは醸し出せないまろやかな塩味と旨みがあります。多めに作っておくと、ボイルしておつまみにしたり、野菜と一緒に炒め物にしたりと便利です。1週間くらいは漬け込んだまま保存できますよ。今回使った豚は、長野の千代幻豚(ちよげんとん)という、日本では本当に珍しいヨークシャー種の豚で、繊細な味わいが魅力です。今回は野菜に青梗菜を使いましたが、小松菜やほうれん草などの青菜、きのこや銀杏とも相性がいいので、いろいろなバリエーションで楽しんでみてください」

塩豚は3mm幅に切る。「塩気と旨みがしっかりしているので、薄めに切るのがポイントです」

さっと茹でた塩豚を米の上に並べる。「豚の旨味を水に出したいので、豚肉が水に浸っているように並べ入れてください」

牡蠣を水で洗う。「牡蠣は貝柱のところに殻が入りやすいので、チェックしてください。表面の汚れを取るだけなので、塩水でなく水で洗えば大丈夫です」

牡蠣を両面香ばしく焼く。「牡蠣はこのあと、ご飯の蒸らし時間に加えて、余熱で火を加えるので、完全に火を通さなくて大丈夫です、炒めるというより、焼くイメージでさっと仕上げてください」

ご飯が炊き上がったら、牡蠣と青梗菜を加え、再び蓋をして10分間蒸らす。

豚バラ肉の脂の甘さと風味を吸い込んだ米に、牡蠣の濃厚な旨味とシャキシャキとした青梗菜がアクセントになった炊き込みご飯。何杯でもおかわりしたくなる、やみつきの味わいです。

2021年02月16日

レシピ作成
田村亮介さん
調理時間
40分 ※内準備時間0分

材料3人分

調理時間

40分 *塩豚を作る時間と米を浸水させる時間は除く

材料

豚バラかたまり肉
200g
塩麹
20g
20g
青梗菜
1株
米(洗って1時間浸水させたもの)
2合
320ml
牡蠣(生食用、加熱用どちらでも可)
6個
醤油
小さじ1/3
サラダ油(あればネギ油)
大さじ1
A
├日本酒
大さじ1/2
└醤油
小さじ1

手順

下準備

  1. 1

    塩豚を作る。ポリ袋に、豚肉、塩麹、塩を入れてまんべんなくもみ込み、冷蔵庫に入れる。1日に2〜3回もみ込むとよい。1〜2日寝かせたものを使う。

作り方

  1. 1

    塩豚は3mm厚さに切る。青梗菜は、葉は3〜4cm長さにし、芯は縦に4〜6等分に切る。

  2. 2

    鍋に湯を沸かし、塩豚を入れて30秒ほど茹でてアク抜きし、ざるに上げる。

  3. 3

    土鍋に米を入れて2を並べ、水を入れる。強火にかけて炊く(時間、火加減はお持ちの土鍋によって調整する)。

  4. 4

    牡蠣はさっと水洗いし、ペーパータオルで水気を拭き、醤油をまぶす。

  5. 5

    フライパンに油を熱し、青梗菜の芯を入れて強火で炒める。軽く炒めたら、青梗菜の葉とAを加えて炒め合わせて取り出す。

  6. 6

    同じフライパンに4を並べ入れ、両面香ばしく焼いて取り出す。

  7. 7

    3が炊き上がったら、5と6を入れ、10分蒸らす。

撮影/田尻陽子 取材・文/岡井美絹子

「慈華」 田村亮介さん
1977年、東京都生まれ。中華料理店を営む両親のもとで育ち、自然と料理の道へ。調理専門学校卒業後、いくつかの店での経験を経て、四川料理「麻布長江」へ。当時のオーナーシェフ、長坂松夫氏のもとで10年ほど修行を積む。2009年5月より「麻布長江 香福筵」のオーナーシェフに就任。2019年4月に、建物の老朽化に伴い惜しまれつつ閉店。2019年12月に、“素材を慈しみ、人を慈しみ、料理を慈しむ”をコンセプトに、新店舗「慈華」をオープン。2021年度版のミシュランガイド東京にて一つ星を獲得し、ますます注目度が高まっている。

SHOP INFORMATION
店名:慈華
住所:東京都港区南青山2-14-15 五十嵐ビル2F
Tel: 03-3796-7835
営業時間:11:30~13:00ラスト入店、17:30~21:00ラスト入店
定休日:月休(その他不定休あり)
HP: https://www.itsuka8.com/