料理教室を主宰する人気料理家の「とっておきの一皿」をご紹介する連載。教室でも生徒さんから大好評だったオリジナルレシピや、自身にとっても思い入れの深い一品をお届けします。毎日の食卓からおもてなしにまで活躍する、季節感やトレンドを感じられる自慢の味をぜひ試してみてください。
ヘルシーな万能調味料・煎り酒の作り方と活用法をマスター!
春にぜひ作ってほしいメニューが、発酵料理教室「かもしキッチン桜坂」を主宰する大橋ひろ美さんの「赤大根の煎り酒漬けと桜飯」。日本古来の調味料である“煎り酒”を使うところがポイントです。
「煎り酒は、日本酒と梅干しと昆布で作る調味料のひとつです。江戸時代に醤油が登場するまでは長く親しまれていた調味料ですが、醤油の登場でしばらく使われなくなっていました。最近また注目されるようになって、スーパーでも見かけることが増えたように思います。人気の理由は、醤油よりも塩分が低くさっぱりとした味わいで、ご飯ものや漬物、炒め物、汁物とさまざまな料理に使える万能さです。今回は、この煎り酒に赤大根を漬けて、ピンク色に染まった煎り酒を使って春の雰囲気を味わえる桜飯に。教室でも“可愛い!テンションが上がる!”と大好評のメニューなんです。一度は廃れてしまっていた昔の調味料ですが、皆さんに知ってもらえる機会になれば嬉しいですね」
煎り酒は、塩のかわりに使えばアレンジが広がるそうです。
「梅干しの塩分と昆布のうまみが入っているので、塩のかわりに置き換えると、自由自在に使えます。卵焼きに入れるのも美味しいし、野菜炒めや煮物、煎り酒に湯を注げばすまし汁に。かぶやきゅうりなどの野菜を10分ほど漬けておけば漬物ができるし、本当に万能です。煎り酒を作るときの日本酒は、高級なものでなくても大丈夫です。料理酒でもかまいませんが、塩が入っているので味をみながら梅干しの塩分と調整してみてください。冷蔵庫で2〜3日は保存ができますので、いろんな料理に使って楽しんでみてください」
材料4人分
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日本酒
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200ml
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梅干し
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中3個
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昆布
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3cm
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鰹節
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3g
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塩
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少々
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赤大根
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1/8個
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炊きたてのご飯(すし飯用モードで炊く)
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2合
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桜の塩漬け
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30g
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大葉
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4枚
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白ごま
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大さじ1
手順
下準備
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1
煎り酒を作る。前日に鍋に日本酒、梅干し(種ごと)、昆布を入れておく。中火で半分くらいになるまで5分ほど煮詰めたら、鰹節と塩(梅干しの塩分により、塩加減を調節する)を加えて5分煮る。ザルにキッチンペーパーを敷いて濾すと、100ml程度の煎り酒になる。梅干しの果肉は桜飯に使うので、とっておく。
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2
桜の塩漬けは水に漬け、塩を抜いておく。
作り方
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1
赤大根の煎り酒漬けを作る。大根はスライサーでなるべく薄いいちょう切りにする。容器に赤大根を入れ、煎り酒を適量注いで10分〜一晩漬ける(一晩漬けると濃いピンク色になるので好みで)。煎り酒がピンクに色づくのでとっておく。
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2
炊きたてのご飯に、1のピンクの煎り酒大さじ4を入れ、すし飯を作る要領で桜飯を作る。
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3
桜の塩漬け20gと、煎り酒で使った梅干しはみじん切りにする。
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4
2に、1の赤大根の煎り酒漬けと3を入れて混ぜ合わせる。せん切りにした大葉と残りの桜の塩漬け、ごまをトッピングする。
撮影/佐藤朗 スタイリング/綱渕礼子 取材・文/岡井美絹子
PROFILE
大橋ひろ美さん

東京都大田区田園調布の発酵料理教室「かもしキッチン桜坂」主宰。小学校の家庭科などで長年、子どもたちの教育や食育に携わってきました。セカンドライフとして7年前から料理教室を始め、発酵文化を伝えることをライフワークにしています。生の米麹や玄米麹などを使いながら、味噌や甘酒、塩麹などの手作り調味料を学び、発酵食品を毎日食卓に取り入れられるよう簡単&時短なヘルシーレシピを提案してくれます。発酵料理講座は初回6,800円、以降5,800円。入会金なし。特別講座・麹作り講座・オンライン講座もあります。申し込みはHPから。
https://kamoshi-kitchen.com/index.html