つくねと根菜のチャウダー

料理教室を主宰する人気料理家の「とっておきの一皿」をご紹介する連載。Kai House Club会員でもある先生方が考案する、教室でも生徒さんから大好評だったオリジナルレシピや、自身にとっても思い入れの深い一品をお届けします。毎日の食卓からおもてなしにまで活躍する、季節感やトレンドを感じられる自慢の味をぜひ試してみてください。

胃をリセットしてくれる、具沢山のあったかスープ

ヘルシーなカフェで提供されるような体にやさしいメニューのレシピ開発に力を入れている、料理研究家の西岡麻央さん。今回紹介してくれたメニューも、ヘルスコンシャスで美容にも嬉しい一皿です。

「野菜や玄米をメインに提供するカフェでは、メインディッシュも肉ではなく豆腐などの植物性タンパク質を使うことも多いんです。なかでも注目しているのが、良質な植物性タンパク質をしっかり摂ることができて、女性に不足しがちな鉄分やイソフラボンなどが多く含まれている高野豆腐。女性に嬉しい効能がつまった高野豆腐をもっと気軽に美味しく食べてほしいと、レシピのレパートリーを増やしていくなかで生まれたのが、つくねに混ぜ込むレシピでした。お肉のカサ増しにもなり、動物性、植物性のタンパク質をバランスよく摂れることも魅力です」

美味しく作るポイントを教えてください。
「大豆のタンパク質は、熱や酸で凝固しやすい性質があるので、豆乳を加えたら沸騰させずに加熱してください。焦って強火で煮立てると、豆乳が分離して食感も見た目も悪くなってしまいます。また、豆乳をあらかじめ常温に戻しておくことも大切です。鍋に加えたときに温度差がない方が失敗しにくくなりますよ」

どんなときにおすすめですか?
「食材によって体に働きかける効能はそれぞれ異なるのですが、今回使った材料は、胃の働きを整えてくれるものばかりです。さらに、鶏ひき肉に高野豆腐を加えて作る高野つくねは、胃にやさしくてとてもヘルシー。忘年会や新年会と、お誘いの機会が多い年末年始は、食べ過ぎたり食生活も偏りがちです。お休みの日は、疲れた胃の働きを助けてくれる根菜をたっぷり使った具沢山のスープで、胃をリセットしてあげてみてください」

栄養豊富で甘味料がわりになる甘酒を加えた、ほんのり甘い豆乳のスープは、教室でも人気のひと品です。高野豆腐入りのつくねや野菜がたっぷりで食べ応えも満点なので、食べ過ぎた翌日や胃を休めたい日のワンディッシュにぴったりです。身体にしみじみ美味しいスープで、寒い季節を乗り切りましょう。

2020年01月9日

レシピ作成
西岡麻央さん
調理時間
50分 ※内準備時間5分

材料4人分

高野つくね

高野豆腐
35g
鶏ひき肉
100g
生姜
1片
長ねぎ
20g
A
ひとつまみ
片栗粉
小さじ2
炒りごま(白)
大さじ1
溶き卵
1/2個

根菜の豆乳味噌チャウダー

にんじん
100g
さつまいも
100g
れんこん
80g
白菜
80g
だし汁
300ml
B
豆乳(無調整)※常温に戻す
300ml
甘酒(ノンアルコール)
大さじ3
味噌(撮影では麦味噌を使用)
大さじ1.5

手順

  1. 1

    小鍋に水適量(分量外)を入れて加熱し、沸騰したら火を止めて高野豆腐を加え、5分程度つけておく。菜箸などを使ってお湯から取り出し、しばらく置いて粗熱がとれたら、水気をしっかりと絞って細かく手でほぐす。

  2. 2

    生姜、長ねぎはみじん切りにする。

  3. 3

    ボウルに、鶏ひき肉、2、Aを入れて粘りが出るまで混ぜ合わせたら、1の高野豆腐を加えてさらにしっかりと混ぜ合わせる。火が通りやすいように、直径2cm程度に小さく丸める。

  4. 4

    にんじん、れんこんは皮をむき、さつまいもは皮付きのまま、それぞれ2cm角程度に切る。白菜は食べやすい大きさに切る。

  5. 5

    鍋にだし汁と4の根菜を入れて火にかけ、具材がある程度柔らかくなったら、白菜を入れてひと煮立ちさせる。いったん火を止め、Bを加えて混ぜ合わせたら、沸騰しないよう弱火で加熱しながら3を加え、火が通るまで加熱する。

撮影/結城剛太 スタイリング/鈴木裕子 取材・文/岡井美絹子

西岡麻央さん

大手航空会社の客室乗務員として4年間勤務したのち、料理研究家の井上絵美氏に師事し、料理の基礎からおもてなしの演出まで、さまざまな観点で食について学び、エコールエミーズ・プロフェッショナルコースにてディプロマを取得。客室乗務員時代の不規則な生活の経験から、身体と心に嬉しい食生活をテーマに、とくに女性のためのビューティー、ヘルシーなレシピの開発を得意としている。レシピ開発やメニュー監修、フードスタイリングなど精力的に活動中。

https://www.mao-nishioka.com

Instagram @maotomat