人気店のシェフに3つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピ、思い出のレシピ、お店で人気のまかないレシピの3品をご紹介していきます。3月は、旬の素材を豪快に料理する広尾の人気ビストロ『ヨシダハウス』の吉田佑真シェフ。今回は、旬の食材を使ったレシピから「春キャベツと菜の花 だしうまハマグリのソース」を教えていただきました。
ハマグリの深いうまみと春野菜のほろ苦さや甘さを、軽やかでクリーミーな一皿に。
目の前には有明海が広がる熊本県天草市。豊かな海の恵みで育った天草出身の吉田祐真シェフは、今でも大の魚介好きです。日々の豊洲通いから生まれる本日のおすすめメニューのなかでも、とくに魚介料理は人気が高く、常連客はもちろん、仕事が終わって深夜に食事に来る、近隣の同業シェフたちにも人気です。
「疲れていても、市場を見ないとはじまりません。じかに旬の素材を目にすることで、こう料理しよう、あれと合わせようと想像が膨らみ、常に刺激になります。冬が終わり、春の始まりを感じる頃に出てくるのが立派なはまぐり。毎年楽しみにしている魚介類の一つです。ひな祭りシーズンが終わって価格が安定しだしたら、うちで扱う本番です。アスパラや新じゃがなど、同じく旬を迎える春野菜と合わせて、その日のおすすめでお出ししています」
淡いピンクの大きなハマグリと、菜の花や新キャベツの鮮やかな緑が映える大皿は華があり、目の前に現れると、自然に歓声が上がります。ハマグリとマッシュルームの濃厚なだしで、ブイヨンもフュメ・ド・ポワソンも必要なし。ほんの少量の生クリームでまろやかさが、仕上げに振りかけるべルモットで香りのアクセントが生まれます。
鍋にはまぐりと1cm幅に切ったマッシュルーム、白ワインを入れ、蓋をして中火にかける。
口が開いたらはまぐりを取り出し、みじん切りしたエシャロットを加え、水分を飛ばしてだしを煮詰める。
煮詰まったらあらためて水を加えて沸かし、アクを取る。
生クリームを加えて軽く煮立て、味をみて必要なら塩で調える。
取り出したはまぐりを戻し、大きめにざく切りして塩茹でした春キャベツと菜の花を加え、バターを加えて軽く混ぜて中火で煮る。具材を温めるイメージ。
仕上げに香りづけのベルモットをひと振りし、レモン汁を加える。
器に盛り、オリーブオイルを回しかけ、ディルとセルフィーユをあしらう。