人気店のシェフに2つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピと、プロの技のレシピをご紹介していきます。8月最後にご登場いただくのは、恵比寿にある一軒家のフレンチレストラン「AMOUR(アムール)」のエグゼクティブシェフ・後藤祐輔さん。今回は、旬のレシピ「秋刀魚と焼茄子のロール 茗荷と紫蘇のサラダ仕立て 梅の香り」を教えていただきました。
秋を代表する食材、秋刀魚をフレンチ仕立てにした「秋刀魚と焼茄子のロール 茗荷と紫蘇のサラダ仕立て 梅の香り」。和素材使いに定評がある後藤シェフだからこそ表現できた、まさに真骨頂の一皿です。
「ベーシックなフレンチにとらわれるのではなく、日本の食材を使った軽やかなフレンチを提案したいと思っています。かといって、奇をてらったものではなくて、あくまでも日本で昔からなじみがあるような食材を使うのがポリシーです。相性の良い組み合わせを、フレンチの手法で仕立てることで、驚きのある味わいへと昇華させるのが面白いですね。今回の秋刀魚と茄子も、まさにそんな思いが込められた一品です。添えられた梅のソースや薬味も、日本ではおおなじみの素材ですが、盛り付けを工夫するだけでフレンチ風になるんです」
おいしく作るポイントはありますか?
「秋刀魚は足が早いので、とにかく新鮮なものを用意してください。3枚におろすと薄くなってしまうので、皮目をバーナーで炙るときは表面が香ばしくなればOKです。とろっとレアに仕上げたいので、加熱しすぎには注意してください。撮影で使った鮎魚醤ですが、〈原次郎左衛門〉のものを愛用しています。魚醤独特の臭みやクセが全くなくて、少量使うだけで旨みがプラスされます。なければ塩で代用してもかまいませんが、1本あるといろいろ使えて重宝しているので、ぜひお試しいただければと思います」
皮目だけバーナーで香ばしく炙って、身はレアに仕上げる。
大きめに切ったラップの上に、秋刀魚を皮目を下にしてのせ、その上に茄子を置き、最後に秋刀魚の皮目を上にしてのせる。
ラップで包み、両端を持って手前から奥に転がすようにして円柱状に形を整える。
秋刀魚と焼茄子のロールは、ラップごと切る。切れ味抜群のミシェル・ブラスの包丁No.3がおすすめ。「高さをランダムに出したいので、2〜3cm幅のものや3〜4cm幅のものを用意します」
梅のソースは大小さまざまに、バランスを考えながら配置すると、皿の上に動きが出て美しい。「秋刀魚が泳いでいるようなイメージで盛り付けましょう」