料理のプロフェッショナルにレシピの極意を教わる連載。料理教室を主宰する「料理の先生」による、リクエスト率ナンバーワンの人気レシピを紹介します。おいしさはもちろん、生徒たちに愛される理由が満載のメニューに隠れた秘密を探ります。
残暑疲れのボディーにエナジーチャージレシピ
残暑が厳しい毎日ですが、暦の上では秋本番。朝晩の気温が下がって過ごしやすくなり、楽しみな食欲の秋の到来です。火を使うことが億劫に感じていた夏も終わり、店頭に並ぶ旬の食材を目にして、キッチンに立つのが楽しみになっている人も多いのではないでしょうか。
夏から秋へと移る、季節の変わり目におすすめの料理を教えてほしいというリクエストに応えてくれたのが、“ココロとカラダが喜ぶレシピ”をテーマに活動する料理家のむらきじゅんさん。フランスで料理を学び、美容食学やスーパーフード、マクロビにも精通。フランスのエスプリの利いた、体にいいおもてなし料理を提案しています。今回披露してくれたおしゃれなオードブルそのものといったこちらのお料理は、なんとポテトサラダ!
「デイリーレシピのポテトサラダを、お酒のアテにもなって大人も喜ぶおもてなし料理にするなら……と考えた一品です。味付けにマヨネーズやオイルなどは使わないので、軽くてさっぱりした風味に。ヨーグルトの酸味とケイパーの塩気、鯖の旨味がバランスよく調和して、ワインや日本酒によく合います」
健康や栄養に重きを置く料理は、ともすると味や食べる楽しみがおろそかになりがちですが、体はもちろん心の豊かさも重視するむらきさんは、食べたときの味わいや見た目の美しさにも妥協しません。ヘルシーなのにおいしいから何度でも繰り返し食べたくなると、料理教室でもたちまち人気に。
「鯖に豊富に含まれるビタミンB2、ビタミンEは、夏に過酷な日差しのダメージを受けたお肌の新陳代謝を高め、修復してくれる大切な栄養素。また、鯖のEPAは、血管の健康維持に欠かせません。レッスンでは『ポテトサラダとは思えない!』『食べるのがもったいない~!』とおっしゃる生徒さんが多いのですが、食べ始めると皆さんあっという間に平らげてしまい(笑)、後をひくおいしさだと大好評でした」
ほかにも生徒たちからは、「年代・時代を問わず定番人気のポテトサラダが、ケーキのような見栄えになって、おもてなし料理になるというアイデアに感動!」「事前に作っておけるから、来客時にもバタバタすることなく、前菜としてお出しできてうれしい」「ポテトサラダはマヨネーズが苦手で食べなかったけれど、これならさっぱりしていて、いくらでも食べられる」など、絶賛のコメントが多数寄せられた様子。日常の食卓からホームパーティーまで、幅広いシーンで活躍する一品になっているようです。
思わず二度見してしまうユニークで美しいポテトサラダは、一緒にテーブルを囲む人みんなを笑顔にし、お酒も会話も弾むこと間違いなし。そんなときにあれこれ語れるように、さらにレシピのポイントを聞いてみました。
「鯖は蒸すことで余分な脂や臭みが落ち、ヘルシーかつ軽い仕上がりに。お好みで焼き鯖を使うと香ばしく、脂の旨味で味わいが増すので、違ったおいしさを楽しんでいただけます。また、形を整えるのにセルクルを使うこと、上に並べるじゃがいもをスライサーで極力薄くすることで、見た目を美しく盛り付けることができます。最後に表面をバーナーで炙るのですが、バーナーがなければ高温のトースターで表面をこんがり焼いてもOK。温かくても常温でも、おいしく召し上がっていただけます」